2022.08.25
たっぷり貯金したい人に知ってほしい節約の心得|毎月の固定費や生命保険料、医療費の下げ余地は?
徹底した節約によって意外とたくさんのお金を貯めることは可能です(写真:saki/PIXTA)
「お金が貯まらないのは収入が少ない」からではありません。お金を貯める習慣やお金を増やす方法が身についていないからです。
どうお金と向き合い、どう上手につき合っていくか、無理なくお金を節約(ムダを省く)するポイントは? 『見るだけでお金が貯まる賢者のノート』から一部抜粋、再構成してお届けします。
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家計支出はまず固定費見直しから
家計の支出は、毎月の支出が固定されている家賃や水道・光熱費、通信費などの固定費、毎月の支出が変動する食費や日用雑貨、交際費などの変動費の2つに分けられます。固定費は一度金額の見直しをすると節約効果が継続しますので、まずは、固定費の削減から始めるといいでしょう。
主な固定費は、住居費(住宅ローンや家賃)、水道・光熱費(水道、電気、ガス)、通信費(固定電話、携帯電話、インターネット)、保険料(生命保険料、損害保険料)、その他(駐車場代、新聞代、クレジットカードの会費、スポーツクラブの会費、資格団体の年会費)などです。
毎月の固定費を1万円削減できれば、年間12万円。それを10年続ければ120万円の節約になります。塵も積もれば山となります。
住居費(住宅ローンや家賃)は、理想は月収の4分の1が目安です。極端にオーバーしている場合は、住居費が家計の大きな負担となっていることが考えられますので、住宅ローンの繰り上げ返済、借り換え、引っ越しなどが検討できるかもしれません。
電気、ガス代は、料金プランや契約アンペア数によって金額が変わりますので、自分に合ったプランを選択することで、年間数万円の節約につながることもあります。また、電力の自由化により、電力会社を乗り換えると年間1万~3万円の節約となります。Webサイトで料金の安い乗り換え先の会社を選びネットで申し込むだけで、3週間ほどで乗り換えが完了します。エコ家電の買い替えも電気代の節約につながります。
スマホは、格安SIMに換えると毎月約4000円の節約になります。もし夫婦で乗り換えたなら月8000円、10年で100万円ほどの支出減となります。スマホの料金プランの見直し、使っていない固定電話の解約、インターネット回線の変更なども検討できるでしょう。その他、駐車場代、新聞代、クレジットカードの会費、スポーツクラブの会費、資格団体の年会費なども、ほとんど使っていないものを解約すれば支出を減らせます。
(出所)『見るだけでお金が貯まる 賢者のノート──1億円貯めたFPが教える 100%トクするお金の習慣』(自由国民社、以下同)
生命保険の死亡保障額は適正か
次に確認したいのが、生命保険(死亡保障)が適切な必要保障額になっているかどうかです。
必要保障額は、もしも家計を支えている人が死亡した場合、残された家族が生活していくためのお金です。残された家族が生活していくにはいったいいくらあれば足りるでしょうか。適切な必要保障額を確保することが、余分な保険に加入することを防ぎ保険料を抑えることにつながります。
生命保険(死亡保障)は、見直すべき人生の4大イベントがあります。
1つ目は「結婚」。自分1人ではなくなり、家族を養うことへの責任が生まれます。しかし、夫婦ともに生活していくうえで十分な収入を得ている場合は、特に保険の見直しは必要なく無保険でも良いかもしれません。
2つ目は「子の誕生」。子どもが独立するまでの間はしっかりと死亡保障に加入したほうが良いでしょう。ただし、子どもが大きくなるにつれて必要保障額は減っていくことになるため、この右肩下がりの保障額に合わせて、自動的に保障額が下がる「収入保障保険」がおすすめです。定期保険に比べ保険料のムダが省けます。
3つ目は「住宅の購入」。 住宅ローン契約時に団体信用生命保険に加入した場合、住居費分の保障は不要となります。また、従来の保険で、住居費(家賃)も死亡保障に含めている場合は、その分保障額を削減してもいいでしょう。
4つ目は「子どもの独立」。子どもが独立したら、基本的に高額な死亡保障は必要ありません。ただ、お宝保険(バブルのころに契約した予定利率が高いもの)は残しておくのが良いでしょう。
医療費についても節約できる手があります。多くの人は、もしもの時に備えて、医療保険の加入はかかせないと思っていますが、医療費は「貯蓄で備える」のが基本です。日本は健康保険の制度が充実しているため、医療費の自己負担は1~3割負担です。
これに加えて「高額療養費制度」があります。
年収約370万~770万円以下の一般的な家庭の場合、医療費が100万円かかっても、自己負担の上限額は月額で8万7430円です。会社員、公務員の場合、加入の健康保険によっては「付加給付」といって、所得に関係なく「1ヵ月の自己負担額は2万円または2万5000円」というところもあります。
入院は意外と長期化しない
入院が長期化すれば月々9万円もの負担になると心配する人もいますが、厚労省の調査によりますと、近年は入院が短期化していて、10日以内の退院は59%、84%が30日以内に退院しています。同様に、日本人の死因第1位のがん(新生物)の入院の場合でも、「10日以内」は58%、「30日以内」は88%になっています。
また、がん治療の1回あたりの平均額は入院の場合約67万円(自己負担3割の場合約20万円)、外来の場合約4.4万円(自己負担3割の場合約1.3万円)となっています。
仮に毎月5000円の医療保険料を払うのならば、それを貯蓄に回していれば1年で6万円、10年で60万円、30年で180万円貯まることになり自己負担額を十分に賄うことができます。
親族にがんの人が多くてお金で安心がほしい人や公的健康保険の適用外で全額自己負担の先進医療の技術料(重粒子治療や陽子線治療など)が心配な人は、がんには「がん保険+貯蓄」、それ以外の病気は「貯蓄」で備えるのも1つの方法です。
最後に考えたいのがマイカーにかかるお金です。年間維持費は、車種などによって異なりますが、1台につき、おおむね30万~40万円(除く駐車場代で20万~30万円)。さらに、車両購入費用も加えると、年間実質負担額は40万~60万円となります。
マイカー費用を削るには?
50年間(25歳~75歳)マイカーを所有すれば、2,000万~3000万円の出費になります。どうしても車に乗る必要があるのなら、必要に応じて、カーシェリング、タクシー(バス)、レンタカーなどの代替手段を採れば、節約につながります。
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一例ですが、マイカーを普通自動車から軽自動車に買い替えると、年間約12万円(=約60万円-約48万円)のコストが、また、2台所有(普通自動車)を1台にすれば年間約60万円のコストが抑えられます。さらに、頻繁に車を利用しないのならば、普通乗用車を手放し、カーシェアリングに切り替えると、年間約43万円(=約60万円-約17万円)の支出を減らせます。
収入が増やせない中でも、必要に応じて支出を減らせば意外とたくさんのお金を貯められます。ただし、何でもかんでも節約など、ケチケチして、ストレスが多くかかる「お金の習慣」だけはやめましょう。なぜならば、人生が楽しくなくなるし、お金を貯めることが目的となってしまうからです。
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提供元:たっぷり貯金したい人に知ってほしい節約の心得|東洋経済オンライン