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2022.08.17

意思力?「ダイエットに挫折する人」の残念な真実|なぜ人はこれほど「目先の利益」に弱いのか


私たちはついつい目に入ったものに思考を奪われてしまいがちです(写真:Eshma/iStock/Getty Images Plus)

私たちはついつい目に入ったものに思考を奪われてしまいがちです(写真:Eshma/iStock/Getty Images Plus)

ジムの会員になったのに、2、3回行っただけ。ダイエットを始めたのに、爆食してしまった……。3日坊主は「意思が弱い」と思われがちだが、そうではない。全米でベストセラーになった『マッピング思考:人には見えていないことが見えてくる「メタ論理トレーニング」』の著者ジュリア・ガレフによると、ある判断力が欠けていることが原因だ。「短期的なメリット」と「長期的なメリット」というもったいないトレードオフをしているから、せっかく始めたことを続けられないでいるのだ。

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先延ばしは「人間の悲しい習性」

私たちの日常的な判断にはさまざまな認知バイアス(思い込みや偏向)が強くかかっていて、真実をフラットに判断することのメリットとデメリットを見誤ってしまうことが多々ある。

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高い会費を払ってせっかく会員になったジムに足を運ぼうとせず、張り切って始めたダイエットにもすぐに挫折し、論文を書くのを締め切り前夜まで先延ばしにする。

追い詰められ、苦境に立たされてはじめて、「あのときこうしておけばよかった」と過去の自分を呪う。「大切だとわかっているはずの目的を軽視してしまう」のは人間の悲しい性である。

私たちが、やらなければならないことをつい先延ばしにしてしまう原因には、「現在バイアス」と呼ばれる認知バイアスが関わっている。「現在バイアス」とは「目先のことに気を取られ、将来のことを気にしなくなる」という、人間の直感的な意思決定に見られる特徴のことだ。

具体例を持ち出すまでもなく、現在バイアスが人間の行動の選択に大きく影響しているのは誰もが知っているはずだ。だが、このバイアスが人間の思考の選択にも大きく影響している事実はあまり知られていない。

二度寝する。ダイエットを中断する。仕事を後回しにする。こういった目先のことを優先させれば、その場ではメリットが得られるが、その後でツケが回ってくる。

優先順位を間違えて「幸せ」が犠牲になる

早起きしてジムで運動することで得られるメリットは、カロリーを多く消費したり筋肉を鍛えたりできることだけではない。ジム通いの習慣化につながるのはもちろん、「困難なことに挑戦する」「自分との約束を守る」といったスキルや習慣も向上できる。

ただし、朝6時に目覚まし時計が鳴ったときに、ジム通いがもたらす長期的なメリットを思い出すのは難しい。「たった1日サボったくらいで大差ないだろう。また明日行けばいいや」と思いながらアラームを止めようとするのが人間のサガだ。

たしかに1日ジムに行かなかったからといって、体力がいきなり衰えたりはしないだろう。だが翌朝もまた、同じように「今日はやめておこう」と誘惑に負けてしまうのである。

「悪影響は遅れて生じ、かつ予測できない」という事実には注意しておくべきだ。人は、この「遅れて生じる、予測できない損失」を軽視してしまいがちだ。

人は「どの目的を優先させるかの選択」を無意識に行っている。大きな失敗をした人が「私は悪くない」と自分に言い聞かせれば、その場では心が救われる。だがそのかわりに「失敗から学ぶ」ことによって得られるはずの将来的なメリットを逃してしまう。その結果、小さなデメリットを避けようとして、大きな幸福を犠牲にするという、じつにもったいないトレードオフをしてしまうことになる。

後で大きなツケが来そうだという場合でも、人は目の前の報酬に強く引かれてしまうことがある。間違った信念にしがみつくことで積み重なるデメリットの大きさと、真実を追求する習慣を持つことで積み重なるメリットの大きさを軽視しているのだ。

その結果、目先の感情や他人からの評価と引き換えに、「真実をくもりのない目で見ること」を犠牲にしてしまっている。

大学進学適性試験(SAT)の成績が悪い人は、「この手の標準テストでわかるのは、頭のよさではなく、テストで点数を取るのがどれだけうまいかだ」といった言葉に共感しやすくなる。1990年代後半に行われたある研究では、学生の「期待していた成績」「実際の成績」「成績の重要性に関する考え」の変化を大学4年間にわたって追跡調査した。

選択肢が増えても、考えるべきことは1つ

その結果、つねに自分の期待を下回る成績しかとれなかった学生は、時間の経過とともに「成績はそれほど重要ではない」と考えるようになっていた。世の中に対する私たちの考えは、自分が経験することに合わせてしだいに調整されていく。

あらゆる種類の考えは、エゴを守るために使われることがある。人間の思考は、自分の長所や短所になんらかの形で関係しているからだ。

先進国で暮らす人なら、どこに住むか、どんな仕事に就くか、誰と交際し、結婚するか、子どもを持つかどうか、どこに投資するか、心身の健康をどう管理するかなど、さまざまなことを自由に選べる。よい選択ができるかどうかは、自分の判断にかかっている。そしてその判断を大きく左右するのが、私たちの基本的な思考(マインドセット)だ。

現代人は、思いどおりにいかないことを自力で変えていく方法も手にするようになった。苦手なことがあれば、学校に行く、入門書を読む、ユーチューブで専門家による解説動画を観る、家庭教師を雇う、代わりに誰かにやってもらう、などの選択肢がある。
もちろん、こうした解決策が誰にでも効くとはかぎらないし、努力やコストに見合うかどうかもわからない。

つまり、どの解決策を試すべきかは、自分自身がいい判断をできるかどうかにかかっている。人生で直面する数々の問題のなかで、どれを解決し、どれをやりすごすのかを決めるのも「判断の問題」だ。

現代では選択肢が増えたが、物事を正確に見極める目を持つことが、(特に、長い目で見れば)大きな価値をもたらすようになっている。現代は、生まれ育った境遇によってあてがわれた生き方や職能、社会集団に自分を合わせなくても、幸せをつかめる世界なのだ。

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提供元:意思力?「ダイエットに挫折する人」の残念な真実|東洋経済オンライン

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