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2022.08.02

年齢が高い男性ほど自己肯定感が低い納得の訳|一方で自己に対する評価が高いのは中高年女性


年齢とともに自己肯定感が下がる男性と、上がる女性。その違いは?(写真:PanKR/PIXTA)

年齢とともに自己肯定感が下がる男性と、上がる女性。その違いは?(写真:PanKR/PIXTA)

自分の価値を認め、存在を肯定する感覚を「自己肯定感」と呼びます。人生を前向きに幸福に生きるには、自己肯定感がカギを握るのは確かでしょう。

しかし、この自己肯定感が低いばかりに、本来ならもっと前向きに生きることができるはずなのに、つまらないところでつまづき、落ち込んでしまう人が少なくないと言われています。

「それは大変もったいないことです」と言うのは、脳内科医の加藤俊徳氏です。加藤氏自身、若い頃は自己肯定どころか、自分を否定する気持ちが強い人間だったとか。それが変わったのは、「脳のおかげ」と同氏は言います。

「自己肯定感が低い人は、自分はダメだ、能力が低い、といういわば“脳の回路”ができあがっています。それに気づき、意識的に考え方や行動を変えたことで、脳の回路が変わり、自分を肯定できるようになったのです」

自己肯定感が高まる考え方や習慣とは?加藤氏の新刊『脳の名医が教えるすごい自己肯定感』をもとに3回にわたり解説します(1回目)。

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私のクリニックに来る人も含めて、自己肯定感の低さに悩む多くの人が、「自己認知」が弱いということが挙げられます。自己認知とは、ありのままの自分を認識し、受け止めることです。

この自己認知が弱いと、本来はその人の特性であり、個性であるものでさえもマイナスとして捉えてしまいます。たとえ、ほかの能力は人並み、あるいは人以上であるのに、マイナス部分にだけ引っ張られて全体の自己評価をどんどん下げてしまう……。その結果、必要以上に自信を喪失し、能力を開花させることができていないのです。

女性のほうが自己肯定感が高い理由

医師として多くの人を診るなかで、気がついたことがあります。自己認知に関して、男女で大きな違いがあるのです。結論から言うと、男性は女性に比べて自己認知力が弱い。というか、自己に関して女性ほど関心がないように感じるのです。それはなぜでしょうか?

おそらくですが、男性と女性の社会的な立場や環境の違いが大きいと考えます。男性はそもそも、初めから社会に出て仕事をすることが大前提です。仕事をして収入を得て、それで家計を成り立たせます。

自分の力や能力、評価は、社会の中での自分の肩書や地位、収入によって明確に評価されます。自分の価値は、それらの社会的な尺度である意味ハッキリと示されているのです。

一方、女性はどうかというと、男性ほど社会的な評価の軸が定まっていません。歴史的には、女性は家庭を守ることが役割とされてきました。家族からの信頼や愛情を受けることはありますが、男性のような目に見える形での社会的な評価というのは乏しい環境でした。

さらに、女性の社会進出がいわれるなかで、仮に男性と同じような、あるいはそれ以上の能力があっても、なかなか正当に評価されないという状況があります。

つまり、女性は社会的な評価に頼ることができないぶん、自分で自分を見つめ、自己評価せざるを得ない環境だったのです。それゆえ自己認知力は、はるかに女性のほうが男性よりも高い。男性は社会の基準に身をゆだね、それによって自分の価値を測ることに、すっかり慣らされてしまったといえます。

自己肯定感というのは、自己認知をもとにしています。それゆえ女性のほうが、自己肯定力も自己肯定感も高いといえます。男性は、女性ほど自己認知に意識を向けないため、そもそも自己肯定感を育むのが苦手なのだと考えます。

社会の評価に依存する男性の悲劇

男性の場合、自己認知ではなく「他者認知(=社会評価で自分を判断する傾向)」が強いといえます。男性が社会でバリバリと働いているうちは、それでもとくに問題はないかもしれません。ところが定年を迎え、それまで自分が属していた集団から離れると、途端に自分の評価のよりどころを失ってしまうことになります。

自分なりの価値基準や評価基準で、自分を判断することに慣れていない多くの熟年男性は、突然、自己評価、自己認知の必要に迫られることになります。

・自分が得意とするもの、苦手とするものは何なのか?
・自分とはどういう人間で、どんな価値をもっているのか? 
・自分が好きなことは何なのか? 何をしたいのか?

突然突きつけられるこれらの問題に、即答できず途方に暮れてしまう男性が少なくありません。それに対して、中高年の女性たちは元気です。若いときから自己認知によって自己評価せざるを得なかった彼女たちは、先ほどのような問題を若いときから突きつけられてきたわけです。

そのなかで自己を見つめ、自分の特徴や長所をひそかに磨いてきた結果、年を取るほど自己肯定感が高まり、心の余裕と自由度が増えます。

子育てが終わって自由な時間が増えたら、何をしたいか。彼女たちは明確な目的と方向性を持っています。積極的に前向きに人生を楽しみたいという気持ちであふれているのは、熟年女性のほうが圧倒的に多いのです。

ただし、男女の差はありますが、現代は誰しもが競争社会の中を生きています。ビジネス社会でも売上評価、出世争いなど、結局は会社や社会が作ったモノサシ=社会評価で順位づけられてしまいます。その意味で、現代社会は「他者認知社会」といっても過言ではありません。

それにどっぷりとハマってしまうと、男性、女性関わらず「自己認知」よりも「他者認知」のほうが優先になってしまいます。

「自分に対する周囲の評価はどうなのか?」

「社会の中で自分はどんな位置にいるのか?」

他人の目線や評価が、そのまま自分の評価になってしまう。つねに他人と比較することで、自分の価値や位置付けを測るようになります。そのことに疑問を持たず、ただただ他人の賞賛と評価を得たいがために競争に身をゆだねるのです。

もちろん、社会的な評価に添うように努力し、成果を上げることは大事なことです。人間は社会的な動物ですから、社会の中での評価は重要なことに変わりありません。実際、学歴や肩書、収入は自分の価値であり、自信やモチベーションの源になっている事実は否めません。

ただし、その「自信」は社会的な評価が揺らいだり、なくなったりしてしまうと、あっという間に崩れ去る危険があります。さらに、社会的な評価や基準に自分を合わせているうちに、本当に自分がやりたいことは何か、自分にとって何が一番大切かということを見失ってしまう可能性があります。前述した定年後の男性の悲劇などは、まさにその典型でしょう。

「他律性」の自己肯定感はもろい

以上から、私は自己肯定感の中にも、「社会評価に基づいた自己肯定感」と、「自分の内的な基準に基づいた自己肯定感」の2つがあると考えます。前者を「他律性自己肯定感」と呼び、後者を「自律性自己肯定感」と呼んで、この2つを区別したいと考えます。

現代社会は、社会的な基準と評価が優先しがちな社会です。放っておくと、どうしてもそちらに引っ張られ、「他律性」が優勢になる傾向があります。

注意しなければならないのは、他律性の自己肯定感は非常に不安定なことです。

社会的な評価や基準は、時代が変わり環境が変わればコロコロと変わります。私たちは意識的にも、無意識的にも、その心もとなさを感じているのです。それゆえ、他律性自己肯定感には、つねにある種の不安がつきまといます。

「自己愛型パーソナリティ障害」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは自己愛が肥大化することにより、社会生活や人間関係に支障をきたす障害を指します。自己愛が強いので、一見すると自分が好きで自信満々に見えますが、無意識の中では自分を否定しています。なぜなら、それが正確な自己認知から生まれたものではないからです。

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本来の自信のない自分から目をそらすべく、必死で自分を優れた存在とか、きれいで美しい存在だと思い込もうとするのです。思い込みによって作られた自己肯定感を保つため、自己愛型パーソナリティ障害の人は、他人からの絶え間ない賞賛が必要不可欠になります。

「素晴らしいね」「優秀だね」と、つねにほめられていないとダメなのです。そして、それを脅かす人や言動に対して、異常と思えるほどの攻撃性を示すといいます。

いま、自己愛型パーソナリティ障害の人が増えています。それは、社会全体が他者認知優勢になっていることと、大いに関係していると考えます。同時に、このような社会は「自律性自己肯定感」を作りにくい社会だともいえるのです。

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提供元:年齢が高い男性ほど自己肯定感が低い納得の訳|東洋経済オンライン

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