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2022.06.23

「膠原病」早期発見するための知られざる特徴|「消化器や皮膚の疾患」に見えて気づきにくい


膠原病を正しく知り、早期発見する方法をお伝えします(写真:hirost/PIXTA)

膠原病を正しく知り、早期発見する方法をお伝えします(写真:hirost/PIXTA)

みなさんは膠原病という言葉を周囲で見聞きしたことはあるでしょうか。何だか堅苦しい言葉ですが、リウマチというとピンとくる方が多いかもしれません。膠原病の症状は、一見消化器の疾患や皮膚の疾患のように見えることも多く、正しく受診・治療がされていないために長引いてしまうケースが少なくありません。今回は、膠原病を正しく知り、早期発見するための特徴をお伝えできればと思います。

膠原病は「病気のグループ」を表す

膠原病とはひとつの病気の名前ではなく、感染症や悪性腫瘍(がん)のように病気のグループを表す言葉です。診療科は「膠原病内科」またはわかりやすく「リウマチ科」と呼ばれます。

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膠原病のメカニズムについてですが、本来、身体は外から入ってきた細菌等の異物に対して抗体という物質をつくって排除することで病気から自分自身を守っています。しかし何らかの原因で免疫が暴走し、自分自身に対して抗体を作ってしまうことで皮膚や関節、臓器などを自分で傷つけてしまうのです。そのため膠原病は「自己免疫疾患」とも呼ばれており、どのような抗体が作られ、そしてどのような症状が表れるかによって病気が種類分けされています。

したがって診断は、がんのように内視鏡で腫瘍そのものが見つかることで診断されるのではなく、いくつかの症状を組み合わせてそれに合致する病気を判断します。全身の症状から、免疫が暴走した証拠を集めて犯人を推理するようなものです。採血でも異常な抗体が増えているかがわかりますが、それだけでは診断にならないため、患者さん自身の訴えが大切な疾患グループでもあります。

なお、膠原病は中高年女性に多いと言われていますが、男性や若い世代でも発症することもあるため、どの性別・年代においても注意する必要はあります。

では、どのような症状の組み合わせがあれば「膠原病」が疑われるのでしょうか。

一般的に最も馴染みが深いと思われる「関節リウマチ」は、その名の通りまず関節の炎症が主体です。指の第2関節に痛みが出ますが、第1関節には症状が出ないことが特徴です。また朝に手が強張ることが多く、病気が進行すると関節、すなわち手の形が変形してしまいます。

「強皮症」は寒い時に血流が悪くなることで手指が真っ白になるレイノー現象が特徴です。また、皮膚や消化管が硬くなることで逆流性食道炎や下痢を起こしやすくなります。

「ベーチェット病」は口内炎やデリケートゾーンの深く痛い潰瘍のほか、黒目の炎症が起こり失明につながる場合もあります。また、下痢がひどくなるタイプもあります。

「シェーグレン症候群」は涙や唾液の分泌が少なくなる病気です。このためドライアイやそれに伴う角膜障害による眼のひりつき、口の中の乾燥が挙げられます。

じわじわと進行し、気づきにくい

このように、少し列挙しただけでも症状は病気によってさまざまであり、気になる症状があってもすぐに膠原病内科を受診することは難しいかもしれません。

たしかに、膠原病はじわじわと進行し、症状自体も最初は単なる体調の変化によるものと考えられてしまうことから気づかれにくい病気です。下痢なら消化器内科、口内炎なら皮膚科の受診をまず考えてしまうのも当然といえます。

しかし、受診してもなかなか治らず、とくに2つ以上の場所に慢性的に続く症状がある場合は膠原病が隠れている場合があります。ひとつひとつの症状を治療しても全身状態が良くならないときは、膠原病内科の受診を考えてみてもいいかもしれません。

膠原病はそれ自体で命を落とすことは稀ですが、あくまで免疫や炎症を抑える治療が主であるため、長期にわたってじっくりと付き合っていく必要がある疾患グループでもあります。

治療でよく使われるのはステロイドという薬剤です。白内障、むくみ、他の感染症に弱くなるといった副作用から敬遠されることもありますが、抗炎症作用と免疫抑制作用をあわせもつため、正しく使えば膠原病にとても有効な薬です。

ステロイドの注意点

ただし、注意することとしては、急に内服をやめてはいけないという点です。ステロイドは健康な人でも副腎という腎臓の上にある器官から分泌される、生命維持に不可欠なホルモンですが、しばらく薬で補うことを続けていると副腎が休んでしまい、ホルモンの分泌が減ってしまいます。このとき急に内服を止めてしまうと、発熱や頭痛、全身のだるさのほか、意識障害やショックといった生命にかかわる状態になる場合があります。そのため、ステロイドをやめるときは少しずつ量を減らすことが重要です。内服を続けることによる副作用が心配な場合は、担当医に早めに相談しましょう。

また、一部の膠原病には生物学的製剤という、直接異常な免疫の場所を叩く薬が開発されています。例えば関節リウマチは、以前は痛みを一時的に抑える治療しかなく、関節の変形が止められず患者さんがつらい思いをする疾患でした。生物学的製剤の登場によってこうした症状が劇的に改善しており、他の膠原病でも開発が進められている分野です。

膠原病は症状も種類もさまざまであるため馴染みづらい疾患グループではありますが、そのどれもが特徴的であるため、一度基本的な症状を知っておくと早期発見と早期治療に役立ちます。今回の記事がその一助となれば幸いです。

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提供元:「膠原病」早期発見するための知られざる特徴|東洋経済オンライン

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