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2022.05.18

インフレ時代到来?「安物買い」を見直すべき理由|貴金属やブランド品の買い取り店も増加?


インフレが進むこれからの時代、何を買うべきなのでしょうか(写真:kou/PIXTA)

インフレが進むこれからの時代、何を買うべきなのでしょうか(写真:kou/PIXTA)

今、世界中でインフレが急速に進んでいるという。教科書どおりに書くなら、インフレとはモノの値段が上がることで、100円で買えたものが150円出さないと買えなくなる状況だ。

よく「インフレに強いのは金や投資商品」と言われ、筆者も「インフレ対策に買ったほうがいいものは?」と質問を受けることが増えてきた。インフレではお金の価値が下がっていくので、モノに替えたほうがいい場合もあるが、はたして何を買うべきだろうか?

手に入れたいのは持ち家、パソコン、車だが…

そんな折に、興味深いアンケートを見た。2022年3月にリサーチ会社マイボイスコムが行った「消費スタイルに関するアンケート調査」における、自分にとって“手に入れる価値があると思うものは?と”いう質問への答えだ。

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最も多かったのは、「持ち家」で36.6%、続いて 「パソコン」29.5%、「車」25.9%、そして「スマートフォン・携帯電話」が21.7%の順で上位を占める。

かたや、“なくてもかまわないと思うもの”については、「高級ブランドの服・バッグ」63.7%、「宝飾品」63.3%、「ゲーム機」が52.1%、と半数を超え、「コレクターズアイテム」「美容・エステ」「高級レストランでの外食」が各40%台となっている。

なお、回答者は10代~70代の男女だが、分布としては40・50・60代の占める割合が多めだ。

また、「自分の収入や資産にあった範囲で、堅実な生活がしたい」という考えに近い人が約9割で、 「多少家計で無理をしても、 高級なもの・質の高いものに囲まれた生活がしたい」という考えに近い人は1割強。「バブル景気の時代をうらやましく感じる」「車や高級ブランドを持っていることはステイタスになる」と考えている人は1割に満たない。見栄より実利を取る、非常に堅実な消費スタイルが伺える。

手に入れる価値があるモノ=「消耗品」?

改めて先ほどの”手に入れる価値がある”と考えられているものを眺めると、いわゆる生活必需品ばかりが揃う。価格が変動する持ち家を除き、「パソコン」「車(高級車やビンテージカーではないだろう)」「スマートフォン・携帯電話」は、購入時点の価格が最も高く、その後は価値がどんどん下がっていく。いわば消耗品に近い。

逆に、“なくてもかまわないと思うもの”にあげられたものは、ゲーム機はともかく、「高級ブランドの服・バッグ」「宝飾品」など、不要不急の贅沢品が並ぶ。日本では長らく使えるお金(可処分所得)が増えていないため、暮らしに必要なものしか買う余裕がないようにも読み取れる。

しかし、“なくてもかまわないと思うもの”に資産価値があるものが含まれているのは、皮肉だ。「贅沢品にお金を使うなんて、前時代的だ。自分が価値を見出せるものにこそお金をかけるべきだ」という声が聞こえてきそうだし、全面的に同意する。しかし、「インフレに強いものを買う」という観点ではどうだろう。

最近、貴金属や高級腕時計、ブランド品の買い取り店の看板をよく見るようになった。繁華街だけでなく、住宅地の駅前でも目にするほどだ。

こうした買い取り店は昔ながらの質屋とは違って、フランチャイズ契約が多い。手元に何社かのパンフレットがあるが、リユース市場は2022年には約3兆円規模となり、今後も伸びていくと期待されているとの記述がある。家庭に眠っているブランド品の潜在市場は約15兆円だそうだ。それに対して、まだまだ店舗数が足りないので、今後も成長の余地があると実に鼻息が荒い。

フランチャイズというと外食やコンビニのイメージが強いが、買い取り店は在庫を持たなくていいので始めやすいとの触れ込みだ。店長1人でも開店でき、店舗は狭くてもいいうえ、必ずしも家賃の高い都心に出店する必要もない。ブランド品が押し入れに眠っているのは、繁華街より郊外の住宅地だからだ。

しかし、鑑定スキルが一番のポイントになるはずの買い取り店が、未経験者でも簡単に始められるのだろうか。

その点は、いまどきのITが解決する。商品画像をAI鑑定させたり、本部によるリモート鑑定も簡単にできるのだとか。ビジネスモデルの詳細は割愛するが、買い取り資金となるキャッシュさえあれば気楽に始められる印象だ。

買取ビジネスの活況はインフレの兆しか

話が脱線したが、これだけ買取ビジネスのフランチャイズが乱立しているということは、今のタイミングで高級品・ブランド品が注目され、買い集められている現状を示す。中古品であっても、リセールバリューが期待できると考えられているわけだ。

筆者は昔、「ブランドのバックも100均のバックも入る容量は同じ」「高級腕時計をしても1日は24時間のまま、25時間に増えるわけではない」と笑い飛ばしたものだが、その高いお値段に見合うほどの性能はともかく、資産価値だけはあるのが「高級品」というやつらだ。

生活必需品は消費されて終わりだが、高額品は不要になったからと言って捨てられるものではない。中古であっても欲しいと思われるブランド品はあり、例えばロレックスの人気モデル、エルメスのバーキンなど、すでに流通量が限られているものは価値が大きく落ちないという。インフレが好景気を呼ぶとすれば(現在の日本はさておき)、中古品を含めた高級品市場は賑わうだろう。

なぜ人は高級品を欲しがるのか。消費の歴史や経済学書を読んでいると、西欧では貴族や上流階級の持ち物を真似したいという動機が、贅沢品の消費につながった面もあるとか。また、上流階級に近づくためにも必要だった。100円グッズばかり持つ暮らしをしていても、富裕層となかなか知り合えないのと同じ理屈だろう。贅沢品が買えるのだという財力の“見せびらかし”であり、豊かさを示す“記号” として買われたともいう。

しかし、日本がデフレに入る前のバブル景気では、もっと日本人らしい動機で売れていたような気がする。つまり、「みんなが買っていたから」だ。女性側の視点で言うと「みんながヴィトンのバッグをもっていたから」「みんながティファニーのアクセサリーをプレゼントしてもらうから」で、「みんながW浅野のヘアスタイルだったから」と、あまり変わらないのではなかったか。むろん、背景には給料が右肩上がりに増えるだろうとの楽観的な空気があったせいもあるが。

使用するモノと所有するモノとの消費が二極化

三十数年ぶりにインフレが到来して、再び「高級ブランド品が欲しい」という人が増えとしたら、当時とはやや違う理由ではないかと思う。それは将来を見据えての資産価値だ。

われわれはデフレ時代を生きてきたため、購入する製品の多くがギリギリまでコストを下げることを命題とされてきた。そこで買うものは、100均グッズやファストファッション同様、長持ちすることを前提とされていない。そういう消費に慣れてきたために、パソコンやスマホであっても短いサイクルで買い替える。しかし、インフレへ続く未来を考えると、使い捨ての短シーズン商品に資産的な価値はほとんどない。

今後モノの価値が上がってくるとしたら、使用目的の消耗品はひたすら安さにこだわり、保有し続けるものは一定のブランド価値がある高額品……という、消費の二極化が起きるのではないか。

とはいえ、給料が上がらないのに物価が上がるという今、贅沢品に手を出す余裕などないのだ。せいぜい、実家に帰った時に押し入れの不用品を親と一緒に整理し、高級品を発見したら、くれぐれも燃えないゴミに出してはいけないと説得し、くれるというならありがたくもらっておくくらいか。

個人的には、アクセサリーを買う時はせめて18金のものを選ぶ、新品は買えないがブランド質屋で手が届きそうな中古品を物色する……といった方法で、ささやかな資産防衛に取りくんでいる。

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提供元:インフレ時代到来?「安物買い」を見直すべき理由|東洋経済オンライン

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