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2022.03.10

会社員なら知っておきたい将来減る「3つの収入」|これらを当てにせず将来設計することが大事


会社員なら知っておきたい、将来的に減る可能性のある「3つの収入」について解説します(写真:タカス /PIXTA)

会社員なら知っておきたい、将来的に減る可能性のある「3つの収入」について解説します(写真:タカス /PIXTA)

いま、将来への不安から「お金の増やし方」の本が人気です。しかし、そのほとんどは「投資」を勧める本です。たしかに投資でうまくいけば、大金を手にできるかもしれませんが、なかにはリスクが怖くて一歩踏み出せない人もいます。

「お金を増やす方法は投資や倹約だけではありません」と語るのは、お金の知識を活かしてセミナーや記事執筆を手がける、社労士・FPであり、元保険販売員でもある佐藤敦規さんです。「給付金や年金といった便利な仕組みをフル活用することで、リスクをかぎりなく抑え、堅実にお金を増やしていけます」。本稿では佐藤敦規さんの著書『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』から、無理なく確実に得するためのヒントを3回にわたって紹介します。

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「お金を増やす方法」について考えていく前に、まずは必要なお金について考えましょう。みなさんは、自分がいくらのお金を得ているか、そしてこれから、どのくらいのお金を稼げるかを把握していますか? 

イメージは湧いているという人も、的外れな予想をしているかもしれません。時代は変わり続け、これまでとこれからでは、もらえるお金が異なってくるからです。

上場企業でも生涯給料が2億円に満たない

かつてビジネスパーソンの生涯給料は2億7000万円ほどといわれましたが、それも幻となりました。いまでは、上場企業であっても生涯給料が2億円に満たない企業もたくさんあります。

昭和の時代と比べて、誰もが役職者になれる時代ではなくなったことも、生涯給料が変化した要因のひとつです。

私が新卒で入社した会社には、いつもひとりで行動している、課長の肩書を持った中年の男性がいました。課長なのになぜ部下がいないのだろう。その疑問を上司にぶつけたところ、こう説明されました。

「あいつは自分の仕事で精一杯でとても部下の面倒まで見る能力がない。だからひとりで動いている。いい歳の大人がヒラだとか主任だとかいったらお客様から信用されない。それで社長が課長にしてやったのさ。お前もああならないようしっかり仕事を覚えろよ」

私も30代になるとリーダー的な役職に就き、責任ある仕事を任されるようになりました。ある日の打ち合わせでは、先方の出席者が4人いて、いただいた名刺の肩書を見ると、それぞれ課長、担当課長、課長代理、主査となっていて、お礼メールの宛名をどの順番で記すか悩んだ記憶が残っています。

管理職になるには能力や資質が必要ですが、このように昭和や平成の初期は、そうでない人でも「〇〇代理」とか「〇〇補佐」といった役職、あるいは「部下なし課長」といった役職に就けたのです。これも、長年勤務さえしていれば給料が上がる、年功序列制度があったからです。しかし、今では代理や補佐といった役職者が溢れている企業は少なくなってきています。

管理職でないと収入面では大きなマイナスに

「管理職になんかなりたくない。別にそんなのは関係ない」と思う人もいるかもしれません。ただし管理職になれないと、会社勤めを続けるうえで収入面では大きなマイナスとなってしまいます。

私は仕事柄、会社の賃金規定や賃金テーブルの作成も依頼されます。賃金テーブルを作成する際は、「一般社員」「リーダー(主任・係長)」「管理職(課長・部長)」の3つのレンジに社員を分けます。管理職になれず、主任や係長に留まるのであれば、超優良企業を除き、何歳になっても年収は500万円で頭打ちとなってしまいます。

男女雇用機会均等法により、性別による待遇の差を設けてはいけないにもかかわらず、男性と女性で生涯給料に差があるのも、役職に就く女性が相変わらず少ないからです。

つまり年功序列制を廃したため、何年働いていても給料が上がらない人が出てくるようになりました。

とはいえ、個人事業主やフリーランスと比べ、会社員の給与は安定しています。出世による給料アップが望めなくても、減りさえしなければいいと思う人も多いのではないでしょうか。ですが、業績や今後の法改正などによって、減ったりなくなったりする可能性がある「3つの収入」があります。

将来的に減る可能性がある3つの収入、1つめは「手当」です。家族手当、住宅手当、資格手当、皆勤手当、食事手当など、給料とともにさまざまな名目で手当が支給されています。

手当の特徴は、役職やその人の評価や成績に関係なく、同じ金額が支給されることです。これは日本企業の特徴的なシステムのようで、歴史がある、一定規模の企業ほど多彩な手当を支給している傾向があります。

しかし現在は、同一労働同一賃金に対応するために、手当を見直そうとする企業が増えています。同一労働同一賃金は、同じ会社で働いている正社員と、契約社員やパート、アルバイトなどの非正規社員との不合理な待遇差をなくそうとする政府の施策です。仕事の内容や責任の程度(クレーム対応や数字のノルマがあるか)により、待遇に差をつけてよいかどうかを判断するものです。

正社員と非正規社員の仕事内容や責任の程度が明らかに異なる場合は、給与に差があっても問題ありません。しかし同じであれば、非正規社員の給料も正社員に近づけなくてはならないとされています。言い換えれば、正社員か非正規社員かといった身分の差があるだけでは、差をつけてはいけないのです。

ここで問題となるのが手当です。

手当を廃止すればよいと考える企業も

家族手当は役職にかかわらず、扶養家族がいれば支給されます。非正規社員でも扶養家族がいれば、その人たちに手当を支給しないのは不合理と判断されるため、今後、企業は非正規社員にも家族手当を払う必要があります。正社員にのみ転勤制度があり、単身赴任をしている人に住宅手当を払っているのであれば問題ないですが、皆勤手当や食事手当などは仕事の難易度などは関係なく支給されるものなので、非正規社員にも払わなくてはなりません。

今まで正社員にのみ支給していた手当を非正規社員にも支払うとなると、企業には大きな負担がかかります。そこで、手当そのものを廃止すればよいと考える企業も出てきているのです。

働く女性や非婚者の増加により、家族手当の制度自体が時代に合わなくなってきているという意見もあります。一定の年齢になれば役職に就けた年功序列制度同様、要件さえ満たせば仕事の成果とは関係なく支給されていた手当の制度は、縮小されていく方向にあるのです。

非正規社員との差を指摘されないように、手当という名目ではなく、給与や賞与に上乗せして正社員にのみ払おうとする企業もあります。「手当が給与や賞与に変わるだけなら、別に問題はなさそうだ」と思う人もいるかもしれません。毎月の給与に上乗せされるのであればよいですが、賞与に上乗せされる場合は要注意です。

賞与は「ボーナス」や「一時金」とも呼ばれ、一般的には「基本給×月数×評価係数(個人の勤務成績)」といった計算式で算出されます。

ただし毎月の基本給とは異なり、何パーセントまで減額してはいけないとする規定が労働法にはありません。会社の業績によっては、支給されないこともありえます。

また、評価によって額が上下する恐れもあります。そのため住宅ローンなどを組む際は、将来の収入シミュレーションから賞与は外したほうが得策です。住宅ローンが払えなくなって持ち家を手放す人は、賞与による多額の返済を見込んでいたケースが多いのです。

次は、「残業代」です。

月給制の場合、残業代は月給を所定労働時間で割って、「残業時間×1時間あたりの基礎賃金×割増率」で求められます。割増率は25%以上で、深夜の時間帯(夜10時から翌朝5時まで)は、50%になっています。また、月に60時間以上の残業をした場合も50%増しにしなければなりません。

係長までは残業代が支給される会社が多いため、基本給が上がらないぶん、長時間の残業をこなして給料を補う方法もありました。ですが、これからは難しくなるでしょう。

働き方改革によって、過剰な残業をさせた会社には罰則が設けられるようになり、月に45時間を超える残業を禁じる会社が増えているからです。2023年以降は、中小企業も月に60時間を超えたぶんの残業代支払いの割増率が、25%から50%になります。

働き方改革以降、残業について月〇〇時間以内までと規制している会社も多いですが、その傾向はさらに強まるでしょう。過重労働に関する労働局の取り締まりも強化されています。残業代で稼ぐ考え方はあらためたほうがよいでしょう。

退職金の支給額が減額される可能性も…

将来的に減るかもしれない「3つの収入」。最後は退職金です。

税制の優遇制度もあり、会社員にとっては大変魅力ある制度です。これを頼りに住宅ローンの一括返済や老後資金の計画を立てる人は多いのではないでしょうか? ただし退職金も、支給額が減額されることがあります。

退職金の計算方法は会社によって異なりますが、勤務年数や役職により、「退職時の基本給×勤務年数に応じた月数(30年なら360月)」という計算式を採用している会社が大半です。そのため、他の人の話を聞いて安心していたとしても、昇給しないと額は少なくなります。また、労働基準法で定めがないため、ある程度、企業の裁量で変更できます(退職金規定の変更や従業員からの意見の聴取などは必要)。

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さらには、退職金を確定拠出年金に移行する会社もあります。確定拠出年金は企業年金のひとつで、自分で選んだ投資先で運用し、退職金を準備する制度です。この個人版が、iDeCoです。基本は投資と同じなのでしっかりと運用しないと資産が目減りする恐れがあります。

ここで紹介した3つの収入は、将来的になくなってしまう恐れがあるため、ローンを組むときは少なく見積もるようにしましょう。より堅実にいきたい人であれば、こういった収入は除外して、将来の収入シミュレーションをしておくのがよいでしょう。

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提供元:会社員なら知っておきたい将来減る「3つの収入」|東洋経済オンライン

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