2022.02.10
ちゃっかり貯金したい人は、この常識を押さえよ|マネーリテラシーの中で貯蓄戦略が最も重要な訳
まずは貯蓄ができなければ何も始まりません(写真:mits/PIXTA)
コロナ禍もあり、会社の業績が悪化し、人員整理や廃業が進んでいるというニュースを目にすることが多くなりました。それに伴って、収入が減る家庭が増え、お金に関する不安も大きくなっています。
ただ、収入が減るというのは、コロナ禍の時だけなのでしょうか?
ここでいったん、日本のお金を取り巻く状況を考えてみます。
まず、われわれの収入にあたる、平均給与をみてみましょう。
2000年の平均給与は461万円。2009年はリーマンショックもあり、405.9万円まで落ち込みました。そこから回復してきてはいるものの、2009年から2020年までの間でピークだったのは、2018年で440.7万円です。そこから再びダウントレンドに入り、2020年には、433.1万円となりました。
この20年間で考えると、平均給与額は伸びず、2000年の水準にすらも達していないことがわかります。
(出所)『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)以下同
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次に、支出に関する物価はどうでしょう。
給与の動きに合わせて一定もしくは下がっているのが理想ですが、そうはなっていません。
たとえば、1991年に小麦粉1キログラムは、202円でした。
それが2021年10月には281円となり、じわじわと上がってきています。
喫茶店のコーヒー1杯の金額にしても、1991年は370円でしたが、2021年10月には、518円となり、上がっています。このようにお金の価値は下がってきているのです。
人生設計をうまく行わないとお金が足りなくなる
まとめると、この20年、平均給与額は上がっていないにもかかわらず、生活に不可欠な日用品はじわじわと値上がりしている状況なのです。
この他にも、退職金が減ってきているといった事情もあり、これからの人生設計をうまく行わないと、大事な時にお金が足りなくなってしまうことになります。
前述した状況もあり、お金がなかなか貯まらない方が多いかもしれません。しかし、これから迎える、出費が大きい結婚や子供の教育(中学校、高等学校、大学への入学)などのライフイベントに備えて、しっかりと準備をしなければなりません。
ただ、今の多くのビジネスパーソンはお金にまつわる教育を受けていません。お金の準備が必要だとわかっても「それではどうすればいいのか?」ということがわからない方が大半なのではないでしょうか。
まずは「マネーリテラシー」を身に付ける必要があります。
マネーリテラシーとは、お金の知識・知性を身に付けて、それを生かす能力のことをいいます。
これからの時代に必要な5つの力とは?
拙著『1日1分読むだけで身につくお金大全100』でも詳しく解説していますが、マネーリテラシーの中から、お金に困らないために必要な基本戦略は「節約する」「貯める」「使う」「備える」「増やす」の5つの考え方です。
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それぞれ、
(1)節約する→無駄な支出を減らして、貯蓄・投資に回せるお金を増やすこと
(2)貯める→確実に貯める仕組みを用いて、お金を貯める体制を整えること
(3)使う→お得な使い方、無駄のない使い方、満足できる使い方を身に付けること
(4)備える→万が一の時に困らないよう、自治体の補助や保険の制度を学ぶこと
(5)増やす→投資を学び、自分のお金をじっくり、堅実に増やしていくこと
となります。
今後のライフプランをしっかりと立てるためにも、5つの考え方をバランスよく学び実践していかなくてはなりません。
その中でも貯蓄はベースになる部分で、かつ、すぐに実践できるものです。簡単にできる貯蓄のテクニックについて詳しく紹介しましょう。
当然ですが、貯蓄ができなければ、節約をしてもお金が貯まりません。また、投資をして利益を出せたとしても、お金を貯めることができません。お金が貯まっていないのですから、万が一への備えも、そして自分に対しての投資や、必要な商品を買うためにお金を使うこともできません。
このように、貯蓄は、5つの考え方を身に付け、良いサイクルでお金を生み出していくために必ず必要となるものです。
貯蓄はきちんと戦略を立てれば誰にでもできます。
また、実践しやすいテクニックも多数あります。
まずやってほしいのが、前回の記事(「たっぷり貯金したい人は、この仕掛けを押さえよ」1月30日配信)でも紹介したように、銀行口座を2つつくり、貯蓄口座と生活費口座に分けることです。そのうえで、給与などの収入を得たら自動的かつ強制的に貯蓄口座に振替えると、お金が貯まる仕組みをつくれます。
式に表すと、「収入―貯蓄=支出」でしたね。
強制的に貯蓄をすることで支出として使える限度額も決まるため、貯蓄金額が減ることがないという仕組みでした。そして、これは多くのお金持ちが実践している方法である旨、お伝えしました。
今回は、さらに身近な銀行口座に関する貯蓄術をお伝えします。
「たっぷり貯金したい人は、この仕掛けを押さえよ」1月30日配信 ※外部サイトに遷移します
銀行口座がたくさんあっても不利でしかない
まず、銀行口座の「持ち方」に関してお話します。
たくさんの銀行があるため、銀行口座をたくさん持っている方がよくいらっしゃいますが、それは要注意です。銀行口座を持ちすぎると、3つの危険があるからです。
1つ目は、不正利用される可能性があることです。
2020年の「ドコモ口座」の不正利用事件は、何者かが不正に取得した銀行口座の情報を悪用したことで発生しました。つまり、銀行口座を不用意に持っていると、不正の標的にされる可能性があるのです。もちろん、この事件では、不正利用された口座を持っていた方に補償がなされましたが、今後もこういった不正利用がある可能性がありますので、いずれにせよ注意が必要です。
2つ目は、口座に手数料がかかる可能性があることです。
2021 年、大手銀行を中心に「口座維持手数料」「通帳発行手数料」の導入が相次ぎました。知らない間に手数料を請求されるかもしれません。
3つ目は、「休眠預金」になる可能性があることです。
休眠預金は、10 年間取引のない銀行預金のこと。休眠預金となった場合は、お金が公益事業などに活用される可能性があります。休眠預金となったあとも、手続きをすれば返金されますが、手間や時間がかかってしまいます。
こういったことがあるので、もし銀行口座をたくさん持っているならば、2つは残して、あとは解約することをおすすめします。
次に、銀行口座でのお得な貯め方をお伝えします。
開設する銀行口座はネット銀行の口座です。
貯蓄をするなら断然ネット銀行がいい理由
ネット銀行の中には預金金利が0.1%も得られるところがあります。
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大手の銀行でも年利は0.001%ほどですから、100倍の差があります。
このように、同じお金を預けていても貯まり方が大きく違うので、ネット銀行の預金金利は口座開設前に必ず確認しましょう。
また、ATMで現金を引き出す際にも、ネット銀行によっては、利用状況に応じて振込手数料や出金手数料が無料になるなどの特典を利用できる場合があります。
なぜなら、ネット銀行は店舗を持たなくてもよいため、その面でコストがかからず、金利や手数料のサービスを充実させることができる仕組みになっているからです。
そういった状況であるため、現在、メガバンクをはじめとする大手銀行で口座を開設するメリットは、残念ながらほとんどありません。ですから、生活費口座・貯蓄口座は手数料が安くてサービスも充実しているネット銀行から選ぶといいでしょう。
おすすめの口座は下記に記載しましたので、ご覧ください。
貯蓄はこのように生活に密着しているテーマです。この他にも、財形貯蓄制度や経済圏をうまく利用する貯蓄テクニックもありますが、まずは商品を購入するためにお金を引き出したり、振込を行ったりするために利用する機会が多い銀行口座をスマートに使う貯蓄術から始めてみる手があります。
日々お得に貯蓄することを意識していくことで、マネーリテラシーを磨き、残りの4つの力も楽しみながら高めていけるようになるでしょう。
千里の道も一歩から。
すべてのベースになるのは貯蓄力です。
前回:たっぷり貯金したい人は、この仕掛けを押さえよ(1月30日配信) ※外部サイトに遷移します
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提供元:ちゃっかり貯金したい人は、この常識を押さえよ|東洋経済オンライン