2022.01.25
「芸人の家計簿」分析!お金が貯まらない人の盲点|「いつの間にかお金がない!」の根本理由は?
お金が貯まらない人が陥りがちな「盲点」と、貯金を阻む「見えない支出」について解説(写真:タカス/PIXTA)
東京国税局で国税職員として勤めた後、NSC(吉本総合芸能学院)に入学し、芸人の道へ。Twitterで税やお金に関する情報を投稿したことが話題になり、執筆や講演、メディアへの出演など各方面で活躍する、さんきゅう倉田氏。
コミュニケーション力、トーク力を生かした「お金」や「税」の話が「わかりやすい」と評判で、税理士会、法人会、医師会、各種学校、中小企業などで5000人以上に講演をするなど、人気を呼んでいる。
自他共に認める「6000人の吉本芸人の中で一番お金に詳しい芸人」の、さんきゅう倉田氏が、この度、『お金持ち 貧困芸人 両方見たから正解がわかる! 世界一やさしいお金の貯め方増やし方 たった22の黄金ルール』を上梓した。
「節約」「節税」「貯金」「保険」など、お金の基本的なことを初心者にもわかりやすく解説しつつ、お金持ち、お金がない貧困芸人両方の「実際に目撃したエピソード」が満載の1冊で、発売わずか20日で増刷するなど話題を呼んでいる。
さんきゅう倉田氏が、「お金の流れを把握することの大切さ」について解説する。
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「意志」だけでなく「ルール」が大事
ぼくは、「元国税職員のお笑い芸人」として、「お金」や「税」について講演会でお話したり、収入が増えずに困窮する人たちの話を聞いたりする機会が多くあります。また、芸人仲間をはじめ、「お金がない」と困っている人へのアドバイスを、たびたびしてきました。
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「お金が貯まらない」人に限って、よく言うセリフがあります。それは、「いつのまにかお金がなくなっている」というものです。
もちろん、お金が自然と消えるはずはなく、「使うからなくなっている」わけですが、ぼくも含めて、よほどの聖人君子でない限り、欲望に負けてついお金を使ってしまいがちです。そして、気がつけばお金は減っていて、貯金はなかなか増えません。
だからこそ、「お金を貯めよう」と思うならば、自分の「意志」だけに頼らず、「ルール」をきちんと決めて、それを守ることが必要になります。「いつのまにかお金がなくなっている」という人へ、まずおすすめしたいのは、「出ていくお金の流れ」を把握することです。
本記事では、いつも「お金がない」と嘆いていた芸人仲間の1カ月の収支を例に挙げ、「お金が貯まらない人が陥りがちな盲点」を解説します。
家計における主な「お金の流れ」は、収入と支出の2つです。まずは「支出」が「収入」を超えないようにお金の流れを管理することが大切になります。
貯金を阻んでいるのは「見えない支出」
みなさんは、先月の食費や遊興費、洋服代がいくらだったか覚えていますか? スラスラと答えられる人もいるでしょうか?
「自分の支出」としてカウントした金額が、「自分の収入」を下回っているならば、「貯金」が増えているはずです。
ここで「『支出』より『収入』のほうが多いのに、なぜかお金が増えない」と思った人は要注意です。「見えない支出」が潜んでいる可能性が考えられます。
ぼくの知人の芸人コンビ「じゃパン」の2人は、いつもお金に困っているようです。「西日本」「東日本」それぞれに1カ月の支出を尋ねてみました。結果は次のとおりです。
「西日本」(じゃパン)の1カ月の収支
収入:23万円(芸人としての収入はほぼゼロのため、アルバイトのみ)
支出:
・家賃 1万円(実家暮らしのため)
・水道光熱費 0円
・食費 3万円
・交通費 2万円
・お笑いライブ等の費用 1万3000円
・遊興費 5万円
・その他買い物代 3万円
・ガソリン代 2万円
支出合計 17万3000円
「西日本」の収支を計算すると、5万7000円のプラスになっているようですが……。相方の「東日本」の支出も見てみましょう。
芸人コンビ、「じゃパン」の2人のうち、もう1人の「東日本」は次のとおりです。
「東日本」(じゃパン)の1カ月の収支
収入:21万円(芸人としての収入はほぼゼロのため、アルバイトのみ)
支出:
・家賃 4万円
・水道光熱費 1万1000円
・食費 7万円
・交通費 4000円
・お笑いライブ等の費用 1万2000円
・遊興費 4万円
・その他買い物代 5000円
支出合計 18万2000円
数字の上ではプラスなのに「借金」まで!?
それぞれの収支を計算すると、「西日本」は5万7000円、「東日本」は2万8000円のプラスになっています。この生活を10年以上続けているそうなので、本当なら、2人ともそれなりに貯金があるはずです。
ところが、実際には2人ともいつも「お金がない」と嘆いており、貯金はゼロだといいます。さらに、「西日本」は5年間で270万円の借金まで抱えることになってしまったといいます。
つまり、この結果からわかるのは、彼らは「自分の支出を正確に把握していない」という事実です。お金が貯まらない人は「そもそも自分が何に月々お金を使っているのか」をきちんと把握しておらず、「見えない支出」というものが、いかに恐ろしいかがよくわかる例ではないでしょうか。
先ほどの「じゃパン」のようなケースを、ぼくはほかにも知っていて、「いつのまにかお金がなくなっている」という人は、そもそも「自分の支出を正確に把握できていない」という盲点に陥っているケースがじつに多いことが、これまで多くの人から話を聞いて明らかになりました。
たとえば、「貯金ができない人」に話を聞くと、クレジットカードで買い物している人がとても多いです。
クレジットカードは便利でぼくも使いますし、そのこと自体が悪いわけでは当然ありません。問題は、「何にいくら使っているのか」を把握しないまま、クレジットカードでの買い物を重ねている人も少なくないという点にあります。
そして、「いつのまにかお金がなくなっている」「何に使ったかわからない」「来月から、がんばればいい」という人たちを、じつにたくさん見てきました。
実際、カードローンの残高がある人に「どれくらいあるの?」と聞いても、「よくわからない」という答えが返ってくることが、思いのほか多いのです。
貯まらない人も「見える化」で変わる
「見えない支出」を気にとめずそのままにしている無頓着さは、「お金が貯まらない人」の特徴の1つといえます。「見えない支出」は友達のふりをして、あなたに近づいてきます。絶対に仲良くしてはいけません。
だからこそ大切なのは、「自分のお金の流れを『見える化』する」ことです。「よくわかっていない支出」つまり「見えない支出」をしっかり認識し、自分の支出を把握するようにしましょう。
先ほどの例のような「お金が貯まらない人」にも、「支出を見える化」するルールをアドバイスすると、「貯金ができるようになった!」と感謝されることが多々あります。
「いつのまにかお金がなくなっている」という人は、ぜひ一度、クレジットカードでの買い物も含めて、「自分が月々『何に』『いくら』使っているか」をしっかり把握することから始めてみましょう。
たったそれだけで、「見えない支出」がぐんと減り、「お金が貯まる」ステップへ、着実に近づくことができるはずです。
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提供元:「芸人の家計簿」分析!お金が貯まらない人の盲点|東洋経済オンライン