2022.01.17
年間10万円以上「医療費」かかった人が損しない技|翌年に確定申告をすると税金が戻ってくる
誰でも始められる「お金の増やし方」。まずは「医療費控除」に取りかかりましょう(写真:laymul/iStock)
マネー初心者は株や不動産投資などに手を出しても失敗するのがオチ。
新著『お金の増やし方』では、誰でも始められる「お金の増やし方」を、FPの西山美紀さんが解説しています。
西山さんによると、まず取りかかるべきは「スマホや光熱費などの現状を見直して、安い会社やプランに乗り換える」「ふるさと納税、医療費控除などのお得な制度をしっかりモレなく利用する」「積立投資やつみたてNISAなどのほったらかし投資にトライ」という3つのアクションだといいます。
本稿では、同書から一部を抜粋・再構成しお届けします。
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「医療費控除」で税金が戻ってくる
1年間で医療費を多く支払った人に、「払いすぎた税金を戻しますよ」というのが、医療費控除です。1月1日から12月31日までの1年間の医療費が10万円(または所得金額の5%。どちらか少ない金額)を超えた場合、確定申告をすると税金が戻ってきます。この10万円は、生計を一緒にする家族分を合算できます。夫婦や子ども、同居の父母や義父母、単身赴任中の家族、下宿中の大学生の子どもの医療費をあわせて確認しましょう。治療費や入院費、薬代のほか、公共交通機関の交通費も入れられます。
また、「年間10万円を超える医療費はかかっていない」という人は、ドラッグストアで販売されているスイッチOTC医薬品などの購入が年間1万2000円を超えた場合に、「セルフメディケーション税制」という医療費控除の弟妹分のような仕組みを利用できます。どちらでも税金(所得税)が還付され、さらに住民税が下がる可能性があるので、該当すれば挑戦してみましょう。
かかった医療費や交通費の1年間の総額から、10万円(または所得の5%)と、公的制度や保険から給付されたお金を差し引いた金額が、医療費控除の金額です。
1年間の医療費の総額
−
補てんされる金額
*医療保険や生命保険、傷害保険などから受けとった保険金(手術給付金や入院給付金など)高額療養費制度で戻ってくるお金、出産育児一時金(不妊治療の場合は)助成金
※ただし、その給付の目的となった医療費から差し引く(例えば、入院給付金なら、入院にかかわる医療費から差し引く)。引ききれない金額が出ても、ほかの医療費から引く必要はない。
−
10万円(または所得の5%)
=
医療費控除の金額
※医療費控除の上限は200万円です。
医療費控除の対象となる人は?
1年間の医療費が10万円を超えた人が対象です。10万円を超えていなくても、所得金額が200万円未満の人は、所得金額の5%を超えていれば対象となります。
どんな支払いが対象になる?
「治療はOK、予防はNG」と覚えましょう!
医療費控除の対象になるものは、基本的に「治療」が目的のもの。予防接種や健康増進のためのサプリメント、マスクなどの「予防」が目的のものはNGです。
『お金の増やし方』(主婦の友社)
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セルフメディケーション税制とは……
1年間に10万円を超える医療費はかかっていなくても、特定の医薬品(スイッチOTC医薬品など。品目名は厚生労働省のHPで確認できる)の購入で年間1万2000円を超えた場合に申告できます(8万8000円が限度)。申告の際には下記が必要なので保存しておこう。
(1) 該当する薬を購入した際のレシートや購入明細
(印がついていることが多い)
(2)「健康の維持増進および疾病の予防へのとり組みをしている」ということがわかる結果通知書や領収書
(健康診断やインフルエンザの予防接種記録など)
「医療費控除」“あるある”疑問にお答え
Q 夫婦どちらで医療費控除を申請したほうがいい?
A 所得税率が高い人(所得が多い人)で申告を
医療費控除は、生計を一緒にする家族分の医療費を合算でき、その家族のうち誰が申告してもOK。夫婦の場合、夫と妻のどちらでも申告できますが、所得が多い人(所得税率が高い人)が申告すると、還付される税金が増える可能性があります。
Q 医療費は、どう管理するとわかりやすい?
A ファイルやクリップでまとめておこう
医療費の領収書や医薬品のレシートは、クリアファイルにまとめるのがおすすめ。公共交通機関を利用したら、交通費のメモも忘れないようにしましょう。また、健康保険組合などから届く「医療費のお知らせ」と書かれた医療費通知書も、医療費の明細書として使えます。
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Q 医療費控除の申告をすっかり忘れていた!
A 5年間さかのぼって申告できます
病気やケガ、出産で余裕がなかったり、忘れてしまったりすることもあるでしょう。領収書が数年後に見つかることもあるかもしれません。所得税の還付を受けられるケースなら、5年間さかのぼって確定申告ができます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を確認してみてください。
支払っている税金以上にお金が戻ってくることはありません。詳細は、管轄の税務署か税理士にご相談ください。
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提供元:年間10万円以上「医療費」かかった人が損しない技|東洋経済オンライン