2022.01.07
ダイエットに失敗する人がやりがちな間違い5選|「お腹やせ」「1駅歩く」の効果が期待できないワケ
ダイエットに失敗するのは、方法が間違っているのが理由かもしれません(写真: KiRi /PIXTA)
青山学院大学駅伝チームをはじめ、数多くのトップアスリートを指導するスポーツトレーナーとして活躍する中野ジェームズ修一氏。『やせるのはどっち?~理想の体が手に入る「失敗しない」31の法則~』の著者でもある同氏が、ダイエットをするときにやりがちな「間違い」について解説します。
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私はパーソナルトレーナーとして25年、相談に来た方々の願いを叶えるためにトレーニングを行っています。私のところには、100mジョギングをしただけで「苦しくて死んじゃう!」というような方から、五輪に出場するトップアスリートまで、さまざな運動経験・レベルの方が訪れますが、実に8割近くの方が「やせたい」という目標を持っています。
その一方で、ダイエットを始めた日本人の8割以上が挫折する、という残念な調査結果もあります。おそらく、この記事を読んでくださっている方のなかにも、過去、何度もダイエットに失敗した経験を持つ方はたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、長年の経験をもとに、断言します。この世にやせない人など、存在しません。
「何をやってもやせなかった」「挫折してしまった」という方は単純に、そのとき、そのときの「選択」を間違えていただけなのです。ここでは、一度でもダイエットをしたことがある人なら聞いたことのある「ダイエットあるある」の中から、5つの間違いを紹介します。
「〇〇ダイエット」に潜む落とし穴
「〇〇ダイエット」と銘打ったダイエット法はたくさんありますが、じつは間違った情報もたくさんあります。正しい方法で実践しないと、やせるどころか逆に太りやすくなってしまったり、いつまでも効果が実感できず、挫折の原因になってしまうことがあります。
【1】「炭水化物抜き」は逆効果
「炭水化物抜きダイエット」もその1つ。炭水化物(糖質)は「体脂肪になるから」と敬遠されがちですが、実は、炭水化物を抜くことは、やせにくい体を作る原因になります。
たしかに糖質を抜くと、一時的に体重は軽くなります。しかしそれは、糖質1グラムに対し水分が3グラムくっついてくる、という性質があるから。炭水化物を抜くと、翌日の体重計の数値が減って「効果が出た!」と勘違いする方も多いのですが、体内の水分量が一時的に減っているだけで、体脂肪が減ったわけではありません。
炭水化物が足りなくなると、体内では「糖新生」という現象が起こります。これは、糖質が足りなくなるとタンパク質を分解することでエネルギーを生み出す、という体のシステムです。
この現象が起こると、筋肉量を増やすために必要なタンパク質が使われてしまうので、筋肉量が減ってしまいます。筋肉量が減れば、基礎代謝が落ちるので、日々の消費カロリー量は減っていきます。
つまり、炭水化物を抜いた結果、やせにくい体になってしまうのです。
この負のループを止めるためには、炭水化物をきちんと摂ることが大切です。目安として、毎食茶碗1杯(150~200グラム)の米であれば、全然食べても問題ありません。
1つ前の駅で降りて歩くのは意味ない?
【2】“ながら”ダイエットには効果のないものも
ダイエットの記事として「掃除をしながら、テレビを観ながら、ちょっとした運動をすることで効率よくやせましょう」などの〝ながら運動のすすめ〟をよく見かけます。
「いつも利用する駅の1つ前の駅で降りて、家または職場まで歩く」。これも、通勤・通学時間にできる代表的な〝ながら運動〟の1つですが、平地を歩ける体力のある人にとっては、たった1駅、ただ歩くだけでは、日常の動作の範囲なので運動にはなりません。
体を変えたいなら、筋肉の組織を壊すほどの強い刺激(負荷)を与えられる強度の高い運動が必要です。1駅歩く時間があるならば、その分早く帰宅して下半身の筋トレをするほうが、よっぽどダイエット効果があります。
唯一〝ながらやせ〟で効果的といえる方法は、「階段の上り下り」です。階段を上り下りするとき、私たちは一方の脚だけで体重を支えます。この動きは、下半身の筋力アップが可能。消費カロリーは、なんとランニングとほぼ同程度です。駅やオフィスで、常にエレベーターやエスカレーターを使っていた人なら、今日から階段生活に切り替えるだけで、確実に体が変わります。
「勘違い」や「思い込み」も、ダイエット成功の妨げになります。ここでは、3つの「勘違い」について説明します。
【3】「寝る前に食べたら太る」は勘違い
「帰宅が遅くなり、夕食の時間が遅くなってしまった」。忙しいビジネスパーソンには、よくあるシチュエーションだと思います。そんなとき、「寝る前に食べると太るから、夕食は抜いてしまおう!」と判断してしまうと、逆に太る原因になります。
人は空腹で寝ると、体が飢餓状態になります。すると、生命の危機を察知した脳が「何か食べて!」という信号を発信。寝ているつもりでも脳は覚醒し、睡眠が浅くなります。結果、睡眠不足でストレスを抱え、翌日の仕事にも悪影響を及ぼします。
実は、睡眠不足によるストレスは、ホルモン分泌や自律神経にも影響を及ぼし、食欲を高めるホルモンの分泌を促すことがわかっています。「ダイエットにもなるしラッキー!」と夕食を抜いてしまうと、翌日暴食して後悔することにもなりかねません。
寝る前の食事でも、茶椀1杯のご飯に具だくさんの味噌汁、メインのおかずに副菜という定食スタイルなら、太ることはありません。それでも心配な人には「分食」もおすすめです。たとえば夜7~8時頃に会社でおにぎりを食べて、主菜と汁物は帰宅後に食べる、という具合に、定食メニューを分けて食べるとよいでしょう。
部分やせを狙っても効果は期待できない
【4】「お腹やせ=腹筋運動」の勘違い
「部分やせを狙うなら、やせたいところを集中的に鍛えるのが近道」と信じている方が多いのですが、実はこれも勘違い。お腹を凹ませたいからと腹筋運動をしたり、「くびれが欲しい!」と腰を回したり……。でも、このようなお腹周りの筋肉を使う筋トレには、お腹の脂肪をとる効果はあまり期待できません。
人間の体は、運動をすることで全身の脂肪を少しずつ分解し、血液中に流します。これが動かしている筋肉に運ばれ、エネルギーに変わることで、筋肉を動かす燃料になります。脂肪を溶かして作ったエネルギーは、筋肉という「エンジン」を動かす「ガソリン」です。当然、エンジンが大きければ大きいほど消費するエネルギーも増えます。
人間の体には、動かしている部分の脂肪を、優先的に燃やすしくみはありません。とにかく大きな筋肉(エンジン)を動かして、どんどんエネルギー(ガソリン)を使ってしまう。これが体脂肪を落とす一番の近道です。
お腹の筋肉は、意外に小さく薄いため、期待するほど多くのエネルギーを消費できません。やせたい、引き締めたいのがどの部位であろうと、鍛えるべきは下半身。下半身には全身の筋肉の約7割が集中しています。効率よく体脂肪を落としたいなら、スクワットがおすすめです。
お腹を凹ませる筋トレ(イラスト:斉藤ヨーコ)
【5】「脂肪を燃やすには20分以上の有酸素運動」はもう古い
「体脂肪は20分以上、有酸素運動を続けないと燃えない」という説を聞いたことはないでしょうか?
以前は、運動を始めるとまず体内の「糖」が主なエネルギー源として使われ、20分後を境に「体脂肪」に変わる、と考えられていました。しかし今では、「体脂肪は運動のスタート時から燃焼している」というのが常識です。
私たちは起き上がった瞬間から体を動かしています。つまり、起床時から「糖」がエネルギー源として使われているため、20分たたずとも体脂肪は燃える、と考えられるようになったのです。
また、近年の研究により、20分間の連続した運動と10分間の運動2回とで比較すると、体脂肪の燃焼効果にはほとんど差がないこともわかりました。
連続して運動しても、複数回に分けても、同等のカロリーを消費できるならば、わざわざまとまった時間を捻出する必要はありません。長い時間続けて運動するのが苦手な人や、忙しいビジネスパーソンでも、隙間時間を活用してダイエットができるのです。「勘違い」に気づけたことで、運動のハードルもグッと下がるのではないでしょうか?
情報に振り回されず、正しい選択を
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ダイエットの成功のカギは「続ける」ことです。ところが、せっかくやる気を出しても、非効率な方法を繰り返していたり、効果の薄い方法を選んでしまっては、いくら頑張っても効果が実感できないため、モチベーションは持続しません。つまり、「続かない」ので成功しません。
根拠のない情報や、間違った情報に振り回されることなく、正しい選択をして実践してください。そうすれば、きっと効果が実感でき、「もっと続けよう」「新しいトレーニングにも挑戦してみようかな?」などと、前向きな気持ちで取り組めるはずです。
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提供元:ダイエットに失敗する人がやりがちな間違い5選|東洋経済オンライン