2021.12.28
締切間近!今年押さえたい「ふるさと納税」のコツ|納税する際の注意点もチェックしておこう
今年も締切が近づいてきた人気のふるさと納税。今年、注目したい変更点とふるさと納税をする際の注意点を解説します(写真:Rhetorica/PIXTA)
この記事の画像を見る(6枚) ※外部サイトに遷移します
テレビCMでもおなじみの「ふるさと納税」。そろそろ今年も締切が近づいてきました。12月末までに申し込みをしておかないと、今年分の税制上のメリットを受けることができなくなってしまいます。
人気のふるさと納税ですが、今年、注目したい変更点には何があるのか、ふるさと納税をする際の注意点は何かなどを、『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』より解説します。
『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
平成21年度に始まった「ふるさと納税」。平成25年度以降、利用者(ふるさと納税の控除適用者)は年々増え、令和3年度には過去最高の約552万人(令和2年度の1.3倍)を記録しました。
人気の理由は、ふるさと納税をすると、自治体から「返礼品」をもらえ、さらに自己負担2000円を引いた全額を、自分が支払うべき税金から引いてもらえるからでしょう(後述しますが、そうはならないケースもあるので注意が必要です)。
ふるさと納税のやり方も簡単です。「ふるさとチョイス」「楽天」「さとふる」「三越伊勢丹」といったふるさと納税サイトを使えば、牛肉、カニ、家電など、さまざまな返礼品を選びながら、通販商品を購入するのと同じような感覚で行えるようになっています。
豪華返礼品が話題になりがちですが、返礼品なしの災害支援や犬猫の保護活動などへのふるさと納税もあります。通常の寄附より税制上のメリットも大きくなっています。ふるさと納税サイトでも特集を組んだりしていますので、こちらも検討してみてはいかがでしょうか?
ふるさと納税には、税制上どんなメリットがある?
ふるさと“納税”といっても、実際は都道府県・市区町村などへの寄附なので、所得税では「寄附金控除」(所得控除:所得から引かれる)の対象になり、住民税では、「寄附金税額控除」(税額控除:税額から引かれる)の対象になります。
かなり有利な税制となっており、たとえば1万円のふるさと納税をすると、原則、自己負担分2000円を除いた8000円が所得税・住民税から引かれる仕組みです。
ただし、ふるさと納税をしただけでは、税制上のメリットは得られず、後述する「ワンストップ特例」の申請をするか、確定申告を行う必要があります。
また、ふるさと納税のメリットを受けるためには、支払うべき税金のあることが前提です。仮に自分の税金が「0」であれば、ふるさと納税をしてもメリットを受けることはできません。
今年、注目したいふるさと納税の変更点は、自治体からの「寄附金の受領書」の代わりに、ふるさと納税サイトが発行する「寄附金控除に関する証明書」が使えるようになったことです。これらの証明書は、確定申告をするときに必要なものなので、「ワンストップ特例」を申請する方には関係ありません。
証明書の発行は、国税庁から特定事業者に指定されたふるさと納税サイトに認められており、同じサイトを通してふるさと納税を行うと、それらが1枚の証明書としてまとめられます。
多くのサイトでは、2022年1月ごろからの提供開始を予定しており、年間の寄附金額をまとめた電子ファイル(XML形式)をダウンロードできるようになります。※「さとふる」では、書面発行(郵送)も受け付けています。
また、マイナンバーカードがある人は、e-私書箱にログインしてマイナポータルとデータ連携をすると、確定申告書にふるさと納税の内容を自動入力することが可能です。e-私書箱の詳細、データ連携の方法などについては、各サイトに説明がありますので、ご参照ください。
ワンストップ特例の申請は1月11日までに
「ワンストップ特例」は、面倒な確定申告が不要になるという制度です。
『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』(KADOKAWA) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
利用できるのは、確定申告の必要がない会社勤めの方(給与所得がある人で年収2000万円以下)や年金所得者などで、5自治体以内にふるさと納税をした方です。6自治体以上にふるさと納税をした方や、確定申告をする方は、この特例を利用することはできません。
2021年に行ったふるさと納税の場合は、2022年1月11日(火曜日)必着で、ふるさと納税をした自治体に、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出します。例年、申請締切は1月10日となっていますが、10日が休日のため、11日必着となっています。
申請書へは、住所・氏名、マイナンバーなどを書き込んで、マイナンバー関係の証明書類を添えて提出します。
申請書自体は、寄附した自治体から申請書と返信用封筒が送られてきたり、ふるさと納税サイトからダウンロードして入手することもできます。ワンストップ特例を利用すると、会社勤めの方の場合は、住民税から自己負担分2000円を除いた金額が減額され、毎月、給料から引かれる住民税が低くなります。
ふるさと納税では、気をつけたい2つの注意点があります。
1つめ。ワンストップ特例は、確定申告をすると、その申請自体がなかったことにされてしまうということです。
たとえば、医療費控除を受けるなど、何らかの事情で確定申告をするときは、必ずふるさと納税分を寄付金控除に含めるようにしましょう。そうしておかないと、税制上のメリットが受けられなくなってしまいます。
出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』
2つめは、ふるさと納税をしすぎると、自己負担額が2000円を超えて、どんどん増えていくということです。
その分岐点は、家族の人数や所得によって異なります。たとえば、年収300万円の独身または共働きの方は、ふるさと納税が2万8000円を超えたときに、年収500万円の独身または共働きの方は、ふるさと納税が6万1000円を超えたときに、それぞれ自己負担額が増えます。
この分岐点は、ふるさと納税サイトや、総務省のふるさと納税ポータルサイトなどで簡単に調べることができますので、税制面のメリットを最大限に受けたい方は、一度、確認しておくとよいでしょう。
確定申告はスマホでからもできる!
確定申告をする場合、会社勤めの方(給与所得者)や年金所得者であれば、スマホやパソコンを使って申告することも可能です。国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーにアクセスし、画面の案内に従って、必要な項目を入力すると、申告書が完成します。
その申告書をダウンロードして印刷し、「寄附金の受領書」(自治体から発行)または「寄附金控除に関する証明書」(ふるさと納税サイトからダウンロードして印刷など)を「添付書類台紙」に添付して、自分の住所地を所轄する税務署に提出します。
申告は、税金を返してもらう(還付申告)場合、令和4年1月1日以降から受けつけており、提出できる日から5年間は還付申告(請求)をすることが可能です。
出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』
e-Taxというシステム(電子申告)を使って、申告書を提出するときは、「寄附金の受領書」や「寄附金控除に関する証明書」の添付が不要になるので、さらに楽です。下図のマイナンバーカード方式とID・パスワード方式の2通りがあります。
出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』
スマホやパソコンを使わず、手書きで申告するときは、自分で寄附金控除(所得控除)を計算して書き込みを行います。計算式は下図のとおりで、算式中の2000円が、ふるさと納税の自己負担分に該当する部分になります。
出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』
申告書へは次のように書き込みます。下は、ふるさと納税と日本赤十字社への寄附があるときの書き込み例です。
出典:『自分ですらすらできる確定申告の書き方 令和4年3月15日締切分』
パソコンやスマホでの申告書作成は、寄附金控除額の計算も不要で、かなり楽です。手書きもよいですが、まだやったことのない方は一度チャレンジしてみるとよいでしょう。
(構成:前窪明子)
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:締切間近!今年押さえたい「ふるさと納税」のコツ|東洋経済オンライン