2021.12.23
他人が理解しづらい「生理痛」軽減する3つの方法|生涯の月経回数がここ100年で4倍になっている
一生涯の月経回数がここ100年で4倍にもなっているそうです(写真:topic_kong/PIXTA)
みなさんは、生理(月経)について悩んだり、相談を受けたりした経験はありますか? 男性の方は、自身に経験はなくともパートナーや家族など、周囲に悩んでいる人を見たことがあるでしょうか。
近年は昔と比べて、一生涯の月経回数がここ100年で4倍にもなっているといわれています。この理由は、妊娠中は月経が来ないことと関連しています。昔は未成年で妊娠することが当たり前の時代がありましたが、昨今は女性の社会進出に伴い、初妊娠年齢の高齢化が進んでいます。また、妊娠しない選択をする方が増えたこと、また子どもは1人でよいと思う方が増えたことも理由として考えられます。
体質ではなく、れっきとした婦人科疾患
このように、月経は身近な存在になっているといえますが、月経に関する悩みは、ただでさえデリケートな話題のため周囲に話しづらく、さらに症状も人それぞれであるため理解されにくいことから、つらい症状を我慢している方は少なくありません。
この連載の一覧はこちら ※外部サイトに遷移します
しかし、月経痛や月経不順は単なる体質ではなく、れっきとした婦人科疾患であり、治療することができます。自分の月経をコントロールするためにも、また周囲の悩んでいる人にアドバイスするためにも、男女問わず正しい知識を知っておく必要があります。
まず、「普通の月経」はどのように定義されるのでしょうか? 正常な月経は、医学的には「月経初日から次の月経までが25~38日であり、月経の期間は3~7日」と定義されています。これを見ただけでも日数にかなりの幅があることがわかります。さらに、痛み(月経痛)については医学的な定義はありません。月経中ずっとお腹が痛い人もいれば、1日目だけ痛みを感じるだけの人もいます。痛みの程度も幅が大きく、起き上がれないほど痛みが強い人もいれば、鎮痛薬を飲まなくてもなんとか我慢できる程度の人もいます。
また、月経は痛みのような身体的なつらさだけではなく、精神的なつらさもあります。
女性の方は、ある日突然原因もわからずイライラしたり涙が出たりして、なんとなくだるくて仕事のパフォーマンスが上がらないと思っていたら、数日たって月経がはじまるとともに症状が落ち着いた……という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? こうした月経前の身体の不調はPMS(月経前症候群)と呼ばれており、月経のある女性の70~80%に月経前に何らかの症状があるとされています。
月経のつらさを軽減する方法はさまざまありますが、今回は(1)痛みの軽減、(2)痛みの予防、(3)周期のコントロールに分けてお伝えしたいと思います。
まず(1)痛みの軽減ですが、すぐに月経痛による痛みを軽減したいときは、お腹や腰の下のほうを温めると効果的です。月経痛は、プロスタグランジンというホルモンの作用によって子宮が収縮するために起こります。このとき、子宮やその周囲が冷えて血流が悪いと子宮の動きも悪くなり、身体はより多くのプロスタグランジンを分泌することによって子宮収縮を促します。これによって子宮収縮がより強くなり、生理痛もよりひどくなるのです。
したがって、内臓である子宮を温めるために下腹部や腰にカイロや腹巻きをあてると効果的です。腰は一見子宮と関係がなさそうですが、腰とお尻の間には仙骨という骨盤を作っている骨があり、この部分を温めると骨盤内の臓器、すなわち子宮も温めることができるのです。
(2)痛みの予防は、筋肉量を増やして体内の熱産生(エネルギー代謝)を多くすることで、子宮が冷えにくい身体を作ること効果的です。通勤時にエスカレーターではなく階段を使う、室内でスクワット等のエクササイズをするなど運動習慣をつけましょう。なるべく冷たい飲食物の摂取を避けることも大切です。普段から続けることが難しくても、生理前に行うだけでも効果があります。
ピルを飲むことは特別なことではない
(3)周期のコントロールについては、3カ月以上生理が来ないことを「無月経」といいますが、この状態は不妊の原因になるだけでなく、骨粗しょう症や子宮体癌のリスクが高まります。背景にある疾患の治療も大切ですが、まずは生理を定期的に来させることが大切です。
代表的なコントロール方法としては、まずは婦人科を受診する必要がありますが、ピルの内服が挙げられます。これは、上記のような無月経の方だけでなく、出張や温泉旅行、大切な試験の日に月経が来ることを避けたい人にもぜひおすすめしたい方法です。ピルは、まだ避妊目的の薬というイメージが強いですが、医学的には月経周期のコントロールをする薬として有名です。自分が健康でいるために飲むのですから、ピルを飲むことは特別なことでも、恥ずかしがることでもありません。
また、吐き気や血栓ができるなどの副作用が心配という方もいらっしゃるかと思いますが、近年は薬の成分を抑えた低用量ピルも出てきており、誰もが気軽に、その人の月経に合ったオーダーメイド処方でピルを飲むことができるようになっています。
なお、月経不順はホルモン関連の疾患の場合もあるため、婦人科を受診していても原因がなかなかわからない場合は、内分泌科への受診を検討しましょう。
月経は、女性の数だけその種類や悩みがあるとされており、今回お話しした対策はほんの一握りですが、誰もが気軽に月経について相談したり、悩みを聞いたりしてお互いに適切なサポートができる社会になればと願っています。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:他人が理解しづらい「生理痛」軽減する3つの方法|東洋経済オンライン