2017.03.17
食べて痩せるアイデア満載のお料理教室・星野春香さん【元気をつなぐリレー(2)】
インタビュー連載「元気をつなぐリレー」第2弾は、管理栄養士で、女性に大人気の“食べてキレイになる”お料理教室「For Love Kitchen」を主宰する星野春香さんです。
食べることと、かわいくてお洒落なものが大好きな星野さんが生み出すレシピの数々は「また作りたい」と思うものばかり。さて、星野さんのお料理教室にはどんなアイデアが詰まっているのでしょうか。前回のユータ松尾さんから受け取った、質問のバトンもつないでいきます。
キレイになる栄養学が詰まった料理教室
ダイエットや肌荒れに悩む過去を乗り越えて
――食べてキレイになるお料理教室って、どんな教室ですか?
女性限定のお料理教室です。生徒さんは無理なダイエットや肌荒れに悩む方、これから料理をはじめたい方など様々です。
私は食べるのが大好きなのですが面倒なのはイヤなので、いかに簡単にヘルシーに作るかを考えて生まれたのが、この教室。ダイエットというと我慢ばかりのイメージですが、食材や調味料の選び方や、食べ方の工夫で無理なく痩せる事ができるんですよ。お料理の作り方だけでなく、一生役立つ栄養学も楽しみながら知って欲しいと思っています。
――単に、作り方を教えるだけではないのですね。教室を始めたきっかけは?
活動の原点は、学生のときに「自分自身」が大嫌いだったこと。
実は、私も生徒さんと同じように、ダイエットや肌荒れに悩む思春期を過ごしていたんです。
小学生の頃から「ぽっちゃり」だった私は、高学年くらいからダイエットを意識し始めました。小学校には“肥満教室”があって、長期休みの前はおやつの食べ方の指導を受けていました(笑)中学生の頃には、親にお願いして怪しいサプリメントを買ったことも。でも、それで痩せるわけがありません。
大学では栄養学を学んだのですが、本当に変わることができたのは社会人になってからですね。私もお料理教室に通い、いろんな食事法を学び直していくと、まず肌荒れがするっと治りました。正しく食べれば健康でキレイになれることを体感していったんです。
昔からお料理は大好きでしたが、それだけでは教室は開いていなかったと思います。過去に悩んだ経験があったからこそ、カウンセリングでの生徒さんの悩みに共感できますし、「自分の使命だ!」と感じています。
――カウンセリングもするのですね。生徒さんにはどんな声をもらいますか?
最初はお料理を全くしていなかった生徒さんが、何度も教室に来てくれるようになって、あるときひとり暮らしを始めたんです。すると「常備菜やお弁当も作るし、肌の調子や体調も昔とは全然違ってよくなりました」というお話をしてくれました。そんな声を頂くと続けて良かったなと思います。
――料理教室で使ったレシピを 1度きりではなく、家で何度も作ってくれるのは星野さんも嬉しいですよね。教えるときに注力することは?
レシピ本や大手の料理教室では教えてくれない大切なことも、ひとつずつ伝えていきます。包丁の持ち方・使い方、食材の切り方、加熱方法、味付けなどは、ひとつひとつ全部みんなでやります。「こんなこと聞いていいのかな」と思ってそのままにしていると、1人では作らなくなるので質問しやすいようにしています。
――教室で習った後のことも考えているのですね。
ヘルシー&お洒落なレシピを生むメソッド
食材や調理法の“掛け算”や“置きかえ”で新レシピに
――ヘルシーでお洒落なお料理ばかりですね。レシピ考案のこだわりは?
まずは「彩り」や「見栄え」。簡単に作れて見た目が美しいものだけを作ります。材料も近くのスーパーで簡単に手に入る材料を使います。材料が手に入りにくいと家で作らないのでもったいないと思うんです。いかに自分から「また作ろう」と思えるレシピにするかですね。
あとは、1日のレッスンで作る4品~5品の調理法と味付けのバリエーションがかぶらないようにします。そして斬新なもの。「こんな組み合わせ?」と思うような新しさがあると、お家での料理がマンネリ化しないんです。
――レシピを作るとき、頭の中はどうなってるのでしょう。たとえば「たまねぎ」がありました。どう考えますか?
食材の味って切り方ひとつ、調理法ひとつで変わるんですよ。
たまねぎの切り方だったら、薄切り、櫛形切り、みじん切り、そこでまずバリエーションが生まれます。
次に調理法。生、蒸す、煮る、焼く、揚げるとありますが、そこでまたバリエーションができますね。そして味付けや斬新さなど。それらの掛け算で作るのがひとつです。
――なるほど「掛け算」ですね!他にはどんな方法がありますか?
メインになる絶対に作りたい1品を決め、それをいかにヘルシーに作るか考える方法です。
例えばキッシュを作りたいとします。でもキッシュの材料って、生クリーム、バター、卵など、体に負担が多いというか、カロリーが気になってしまう材料を使いますよね。じゃあ何か他のヘルシーな食材に代用できないかなと考えます
――食材の「置き換え」ですね。精進料理の“もどき”みたいです!
そうですね!以前教室でキッシュをつくったときは、長芋とおからを使ってキッシュをつくりました。長芋もおからも体にいい食材ですが普通は和食、例えば「卯の花煮」などに使われますよね。でもそうではなくキッシュにすると斬新さが加わります。そして簡単に混ぜるだけ、焼くだけなどの調理法を考える流れです。
そして他のメニューとのバランスを考えます。例えば味噌の味ばかりにならないように、塩麴も使ったり、素材の味が引き立つものを加えたりする流れで考えています。
間違ったダイエットに振り回されないために
よくある自己流ダイエットのお悩みTOP3
――では、ダイエットに悩む女性のよくある特徴を教えて頂けますか?
1.食べるのが大好き!本当は食べたい。
2.様々なダイエットをやり過ぎて、どうしていいか分わからない
3.1人じゃ続けられない
――なるほど。では「1.食べるのが大好き!」への対策はどう考えますか?
カロリーオーバーすると、太るというより減らない原因になるので、必要なカロリーは摂るようにして、体の代謝をいかによくするかを考えると良いと思います。
それには、たんぱく質、良質な脂質、ビタミン・ミネラルをしっかり摂ること。あとは血糖値の乱高下がないようにする対策をすると、おそらく日常生活の中で激しい空腹感を感じることなく、必要なカロリーも守りながら過ごせると思います。
――血糖値の乱高下への対策はどうすればよいですか?
野菜→肉・魚→主食の順に食べる「順番」がひとつ。あとは食べる「間隔」です。
昼食を12時くらいに食べて、夕食が夜9時くらいになることってありますよね。
そんな食事時間の「空き過ぎ」も問題です。昼食時に血糖値がゆるやかに上がっても、長時間何も食べないとひたすら血糖値が下がり過ぎてしまいます。そうすると夜になってお腹が減って「なんでもいいから早く食べたい」と思うことが多いんです。そうすると“ドカ食い”の原因になります。
――「2.様々なダイエットのやり過ぎ」は共感します。どんな方がいらっしゃいましたか?
目標を内に秘めて1人でがんばるのもいいと思います。でも自分1人との約束って「まあいっか」となりがちですよね。自分のやろうとしていることが結果に結びつくのか相談できる存在の人と、一緒にがんばるのもいいと思います。
質問のバトン:筋肉にいい食材って?
――この連載では、前回の方からリレー形式で“元気をつなぐ質問のバトン”を渡しています。では、プロボクサーのユータ松尾さんからの質問です!
「筋肉にいい食材は?」
ありきたりな回答になってしまうかもしれませんが、やはり「たんぱく質」ですね!運動して、効率よく筋肉にすることが大事だと思いますので、より効率の良いたんぱく源として肉・魚・卵などの「動物性のたんぱく質」をおすすめしています。
理由①アミノ酸価がほぼ100に近いから。
「アミノ酸価」と言って、たんぱく質中のアミノ酸のバランス(使われやすさ)を表した指標があります。植物性のたんぱく質(豆類)は80くらいなのですが、動物性のたんぱく質(肉・魚・卵)はほぼ100で、非常にバランスのとれた、効率よく使われるたんぱく質だと言えます。
理由②動物性たんぱく質には「ビタミンB6」も含まれているから。
たんぱく質は、代謝する上で欠かせないビタミンがあります。それがビタミンB6です。たんぱく質を食べてもビタミンがないと、筋肉等への合成が遅くなってしまいます。そのビタミンB6が多く含まれているのが、肉・魚などの動物性たんぱく質なのです。動物性たんぱく質は、代謝の観点から見ても非常に効率のいい食べ物です。
――ありがとうございます!
ダイエットは「努力より対策」食で人を笑顔に
――最後に、ダイエットに悩んでいる人にお伝えしたい事はありますか?
私はよく教室で生徒さんに、ダイエットは「努力より対策」とお伝えしています。ダイエットって聞くと、ひたすら走るとか食事を抜くとか、がむしゃらにやる終わりのない努力を想像しがちですよね。そうではなく、痩せていく対策をすれば絶対大丈夫だから!とお伝えしています。
――なるほど、対策を知ると前向きになれますね。最後に、星野さんが新しくチャレンジしている活動について教えてください。
地元新潟の食材を使ったお仕事に関わることになりました。ずっと、地元に何か貢献したという気持ちが強かったのですごく嬉しいです。
また、今年からオンラインスクールを始めて、遠くのお客様にも栄養学やお料理法を伝えていく予定です。目の前の生徒さんの変わっていく姿を、もっともっと見ていきたいと思っています。
――食べてキレイになる食を軸に活動の幅を広げていくのですね。今日はありがとうございました。
――ダイエットを自己流を行うときには「あれもこれ食べちゃもダメ、飲みにいっちゃダメ」とできないことばかりに目が向いてしまうのが最初のハードルかもしれません。しかし、ヘルシーな食材を選ぶこと、空腹感を和らげる食べ方を工夫することなど、制限の中にも「できること」に目を向けることが大切だと今回お話と聞いて感じました。
そして星野さんのように、なりたい自分になるために、美しくヘルシーなお料理作りを楽しむことができたらダイエットはもっとポジティブに捉えられると思います。
KenCoMでは星野さんのレシピ連載がスタートします。どうぞお楽しみに!――
食べてキレイになるレシピ
(取材・文/KenCoM編集部)
監修医プロフィール
■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36
提供元:食べて痩せるアイデア満載のお料理教室・星野春香さん【元気をつなぐリレー②】|KenCoM