2021.11.29
「失敗を引きずる人」にありがちな考え方の正体|「結果目標」ではなく「行動目標」に変換しよう
「やる気がでない」「うまくいかない」モチベーションに左右されない思考とは……?(写真:Blue flash/PIXTA)
この記事の画像を見る(4枚) ※外部サイトに遷移します
努力してもうまくいかないことが続くと、せっかくのやる気も失せてしまうもの。
失敗や挫折に左右されず行動を起こすための方法を、脳科学と心理学の観点からメンタルコーチを行う大平信孝さんの著書『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』 よりお伝えします。
『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
失敗しても「今回はたまたま」と考える
失敗の経験がモチベーションを下げてしまうということはよくあることです。
渾身のプレゼンをしたのに成約に至らず失注、気合を入れて始めた筋トレが三日坊主に終わったなど、せっかく挑戦したのに成果が得られないと、がっかり落ち込んで、その後の行動が消極的になってしまうこともあるでしょう。「よし、もう一度頑張ろう!」と気合を入れ直すのはなかなか簡単なことではないかもしれません。
しかし、そのたびに消極的になっていては、すぐ動けるようにはなれません。
人は、うまくいかないときには「この不調が永遠に続く」、うまくいったときには「一時的な幸運に違いない」と考えがちですが、本来は逆の発想をしたほうがいいのです。
たとえば、筋トレが三日坊主で終わってしまった場合に、「私はいつも続かない」「きっと次も続かない」と一般的に捉えるのと、「今回は続かなかったけれど、次は別の話」と限定的に捉えるのとでは、どちらが次の行動につながるでしょうか。当然後者です。
うまくいかずくじけそうなときは、物事を個別・限定的に捉えるようにしましょう。うまくいったことは「こうしたらうまくいった」と一般化し、うまくいかなかったことは「今回はたまたまできなかっただけ」と限定的に捉えるのです。
「結果」はコントロールできませんが、「行動」はコントロールできます。結果ではなく、自分でコントロール可能な「今できる行動」にフォーカスしましょう。
気分が落ち込みやすい人の大半は、たった1つの基準で考えています。
それは、「当初の予定や目標通り、事が進んだか・進まなかったか」です。
物事が想定通り100%うまくいくことは、ほぼありません。逆に100%うまくいかないこともありません。しかし、この基準だけで物事を考えてしまうと、「0か100」「◯か×」という二者択一の評価しかできなくなってしまいます。
物差しのメモリが大きすぎて、部分点が入らないのです。すると、「70%はうまくいっているのに、できていない30%に注目し完璧にできない自分を責めてしまう」「まだやれることがあるのに、あきらめてしまう」といったことが起こります。
心当たりのある人は、物差しのメモリをできるかぎり小さくすることで、小さな変化、成果、結果に気づくクセをつけましょう。
たとえば、「企画は通らなかったけど、田中部長は面白いと言ってくれた」「また禁煙に失敗したけど、今回は1週間続いた」など、些細な成果でかまいません。これに気づけるかどうかで、その先の行動が大きく変わります。
オススメなのは、「できていること」を書き出すこと。どんなに些細なことでもいいので、「できている」ことを紙に書き出してみてください。ポイントは、たとえ完璧にできていなくても部分点をあげていくこと。
物事を「できないメガネ」で見るのではなく、「できるメガネ」で見るようにするのです。 そこで気づいた「できた!」が、「次もできそう!」につながっていきます。
禁煙に挑戦している人が、我慢できずに1本吸ってしまったとしても、「私は意志が弱いから、禁煙は無理なんだ」と考えるのではなく、「これまで1日1箱吸っていたんだから、1本くらいならまあいいか」と捉えることができれば、失敗を繰り返しながらも、着実に1日の本数を減らし、禁煙達成へと近づいていくことができます。
「結果目標」ではなく「行動目標」に注目する
「また今月もノルマをクリアできなかった」「TOEICの点が伸びない」
思うような成果が出ないと、「今月はあきらめて来月頑張ろう」「どうせいい点数をとれないなら、勉強しても意味がない」など、モチベーションが下がってしまいがちです。
本当は、もっとアポイントをとったり、勉強を積み重ねれば成果が出るのに、動くのが億劫になりつい先延ばししてしまう。こうなると、うまくいかないことが繰り返され悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環から抜け出すためには、結果目標ではなく、行動目標にフォーカスすることが有効です。
「結果目標」とは、「今月の売上目標◯◯万円」「企画を○本通す」「資格を取得する」といった結果を重視した目標のことです。
一方の「行動目標」とは、結果を出すために必要な具体的行動にポイントを置いた目標です。営業の例で言えば、「今月10件成約する」が結果目標で、「毎日30件電話する」「1日1件既存顧客を訪問する」「週に200通ダイレクトメールを発送する」というのが行動目標になります。
結果目標には、マンネリ化を防ぎ、緊張感を保つことができるメリットがあります。仕事がうまくいっているときは、結果目標を意識することで、よりよい成績をあげられる可能性が高まります。しかし、失敗が重なったとき、もしくは外的要因で目標が達成できないことが続くと、ストレスや不安を感じやすくなり、行動が止まる原因になります。
一方、行動目標は、成果、結果と関係なく、自分で決めたことをやればいいだけなので、失敗することが格段に減ります。
ストレスや不安を感じにくくなるので、思うような結果が出ないときは、次の例のように、結果目標を確実に実行できる行動目標に置き換えていくと、モチベーションを落とさず、結果を出すための行動に着手することができるようになります。
◆具体例(結果目標 → 行動目標)
・企画書を完成させる → 企画書の書けるところだけを埋めてみる
・転職する → 転職エージェントに3つ登録する
・夏までに5キロ痩せる → 毎朝30分散歩する
・毎日ブログを更新する → ブログのタイトル案を3つ書き出す
・部屋を片づける → 使っていないものを10個捨てる
・TOEICで800点を獲得する → 過去問を10問解いてみる
思うように成果が出ないときは、結果にこだわるのをやめ、行動にフォーカスしてみましょう。
やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ (科学的に先延ばしをなくす技術) クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします
なお、行動目標にフォーカスして、結果が出るようになったら、再び結果目標にもフォーカスしてください。行動目標ばかりを意識し続けると、今度は仕事がマンネリ化してしまうからです。
「行動目標」と「結果目標」の両方を設定して使い分け、モチベーションの低下を防ぎましょう。
【あわせて読みたい】※外部サイトに遷移します
提供元:「失敗を引きずる人」にありがちな考え方の正体|東洋経済オンライン