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2021.11.02

退職時には要注意!確定拠出年金移管前に知っておきたいコトは?


【画像出典元】「stock.adobe.com/takasu」

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目次

・企業型確定拠出年金(企業型DC)とは
・転職先に企業型DCがある場合の手続き
・転職先に企業型DCがない場合、または自営業や公務員になる場合の手続き
・企業型DCからiDeCoに移る場合の注意点
・企業型DCとiDeCoの同時加入ができる場合もある
・6か月以内に手続きしないと大変?「自動移管(強制移管)」に
・まとめ
・確定拠出年金についてのQ&A

監修・ライター:fpフェアリンク株式会社 代表取締役 白浜 仁子 ファイナンシャル・プランナーCFP®

勤め先を退職する場合は、職場への退職願の提出、健康保険や年金の変更、雇用保険で失業手当の申請など多くの手続きが必要です。また、転職先が決まっている人は、新たな勤め先での手続きが発生します。そんな中で忘れてはいけないのが、今の勤め先に企業型DCがあるケースです。

今の勤め先で加入している企業型DCがある人は、手続きをしないと将来受け取ることができなかったり、受け取る資金が目減りしたりする可能性があります。今回は、退職・転職をした場合に必要な企業型DCの手続きを紹介していきます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

確定拠出年金は、老後の生活安定のための制度です。企業が退職金制度などの福利厚生として導入し従業員が加入する「企業型」と、個人で加入する「個人型」の2種類があります。

確定拠出年金は、米国の制度を基に日本で採用された制度で英語表記が「Defined Contribution Plan」であることから、企業型は、頭文字をとって「企業型DC」、個人型は「iDeCo(イデコ)」という愛称で親しまれています。

企業型DCもiDeCoも、毎月掛金を少しずつ積み立てながら、自身で資産運用をし、それを60歳以降に老後の生活資金として受け取ります。

企業型DCの掛金を誰が拠出するかは、勤め先の定めにより異なりますが、多くの場合、退職金制度の一環として企業が毎月掛金を拠出しています。

さらに、従業員が任意で掛金を上乗せし、老後のための資産形成を促す「マッチング拠出」や、「選択制」など、企業型DCとひと言で言っても勤め先によって少しずつ違いがあります。

転職先に企業型DCがある場合の手続き

いずれにしても企業型DCに加入している人が転職する場合は、以前の勤め先で利用していた企業型DCを転職先に移管する手続きをします。

これまで既存の企業型DCで運用していた資金は全て現金化され、新しい企業型DCへと資金が移管されます。移管の手続きは2カ月程度かかり、また、現金化されるタイミングはこちらで指定することができません。

投資信託で運用している場合は高値の時に現金化されれば良いですが、もし、一時的に相場が大きく崩れたタイミングで解約となった場合は残念なことになってしまいます。それを避けるためには、退職前に元本確保型タイプである定期預金に預け替えをしておくと良いでしょう。移管の手続き中における相場の上げ下げを気にする必要がなくなります。

転職先に企業型DCがない場合、または自営業や公務員になる場合の手続き

【画像出典元】「stock.adobe.com/tamayura39」

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転職先に企業型DCがない場合は、今後、個人型のiDeCoに移管し運用していくことになります。また、退職後、事業を起こして個人事業主になるケースや専業主婦になるケースもあるでしょう。その場合もiDeCoに移管します。公務員には企業型DCはありませんのでiDeCoに加入します。

iDeCoに加入した場合、自身で掛金を拠出し積み立てていく「加入者」となるか、移管された資金のみを運用して新たな積み立てを行わない「運用指図者」となるかを選択できます。筆者は、可能なら老後のために積み立てを継続する加入者になることをお薦めしています。特に、所得がある人は掛金が全額所得控除され税制面で優遇されることも大きな魅力です。

企業型DCからiDeCoに移る場合の注意点

それでは、転職先に企業型DCがない場合、つまりiDeCoに移管する場合について詳しく見ていきましょう。iDeCoを始めるには、金融機関をどこにするか決めることから始まりますので、まずは金融機関選びのポイントを確認していきます。

金融機関を選ぶ際にチェックしておきたいことは、

1 口座管理料

2 ラインアップ商品

3 コールセンターなどのサポート体制

です。順に見ていきます。

口座管理料

一般に、企業型DCでは、勤め先が口座管理料などの手数料を負担してくれますが、個人で利用するiDeCoは自己負担となります。この手数料は、金融機関ごとに異なるため比較検討したい部分です。手数料は以下のようなものがあります。種類がたくさんあり複雑に見えますが、ランニングコストとしては(2)または(3)のみなので安心して読み進めてください。

(1) 加入時手数料

(2) 口座管理料(積立をする場合)

(3) 口座管理料(運用のみの場合)

(4) 移管時手数料

(5) 受取時手数料

(1)加入時手数料は、iDeCoの口座開設をする時に必要な事務手数料です。この制度を統括する国民年金基金連合会に2829円(税込、以下同様)を支払います。窓口となる金融機関によっては、これ以外に金融機関に払う手数料が上乗せされることもありますが、2829円のみとしている金融機関が大半です。

次に、(2)(3)の口座管理料です。長く加入する人ほど影響が大きくなる手数料です。
②のように積み立てをしていく場合では、最低171円/月かかります。これは、国民年金基金連合会と資産を管理している信託銀行に支払う手数料です。

(3)のように運用のみをするという場合は、最低66円/月となっています。こちらは信託銀行への手数料のみです。iDeCoの口座管理料を無料と掲げている金融機関がありますが、これは、窓口となっている金融機関に支払う手数料が無料という意味ですので、実際は、上記のように最低171円/月または66円/月がかかります。

(4)移管時手数料は、もし他の金融機関が取り扱っているiDeCoのラインアップに関心が出てきて金融機関変更する場合や、再度転職をして企業型DCに移管することになった場合の手数料です。この移管時手数料は、金融機関によってかかる、かからない、それぞれです。かかる場合は4400円としているところが多いようです。

最後に(5)受取時手数料です。こちらは受取をするときの振込料のようなものと考えると良いでしょう。一般に1回の振込あたり440円です。受け取り方は、一括、年金、または一括と年金の併用が選択できることもあります。受け取りの都度手数料が発生しますので、一括で受け取る場合は1回のみ、年金で受け取る場合は、受け取りの都度かかります。ですので、たとえば2カ月に1回と細かくもらうより、半年や1年に1回などと回数を少なく受け取る方が負担を抑えられます。受け取り方は、請求時に決めればよいため先々のことですが、知識として知っておきましょう。

ラインアップ商品

移管先の金融機関を決めるとき、つい手数料に目がいきますが、それだけではありません。運用をしていく商品ラインアップの違いもあります。

勤め先のラインアップと同じものではなく、金融機関ごとに異なりますので、気に入った商品を取り扱っているところで加入すると良いでしょう。

また、ラインアップ商品は元本確保型である預金や保険、リスクを取って運用する投資信託がありますが、投資信託で運用する場合は、運用管理費用(信託報酬)というランニングコストがかかります。運用実績にも影響するものですので、運用管理費用が低めの金融機関かどうかもチェックしておきたいところです。

コールセンターなどのサポート体制

iDeCoについて不明点がある場合は、コールセンターに連絡して確認します。コールセンターの営業時間や土日祝日の対応状況も確認しておくと良いでしょう。まだ少ないですが、金融機関の店舗で説明や受付をしてくれるところも徐々に増えているので対面を好む方はお近くの金融機関の対応を調べてみましょう。

企業型DCとiDeCoの同時加入ができる場合もある

【画像出典元】「stock.adobe.com/umaruchan4678」

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企業型DCとiDeCoは通常、同時に掛金を拠出することはできません。つまり、企業型DCに加入し掛金が拠出されるとiDeCoで積み立てることはできません。

ただ例外もあります。それは、企業型DCを導入している勤め先の規約で、事業主掛金の上限がiDeCoもできるように一定以下に定められている場合です。その場合は、iDeCoでも積み立てられるようになります。

たとえば、退職してiDeCoを利用していた人の就職先が決まり、そこで企業型DCに加入することになったケースが想定されます。新しい勤め先の企業型DCの規約内容によっては、iDeCoにも積み立てることができるわけです。

また、転職時には企業型DCがなかったものの、途中で勤め先が企業型DCを導入することになるというケースもあるでしょう。その場合も取り扱いは同様です。

ただ、実際のところ企業型DCとiDeCoの両方に積み立てられる規約になっている企業はあまりありません。つまり、企業型DCの加入者となった後はiDeCoに積み立てることができなくなるわけです。その時はiDeCoをどのように取り扱ったらよいでしょうか。

選択肢は2つあります。ひとつ目は、今後掛金は拠出できませんが、今まで積み立てた資金をそのままiDeCo口座で運用し続けていく、という運用指図者になる選択。もうひとつは、企業型DCに移管してそちらで運用をしていくという選択です。

iDeCoで発生する口座管理料を考えると企業型DCに移管した方が、コスト負担はなくなるため有利です。ただ、もしiDeCoで気に入った投資信託があり、運用を続けていきたいと考えるなら、そのまま平行して企業型DCとiDeCoの口座を持つという選択になるでしょう。

6か月以内に手続きしないと大変?「自動移管(強制移管)」に

【画像出典元】「stock.adobe.com/Mucahiddin」

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自動移管とは

これまでみてきたように、企業型DCの加入者が、退職をする場合は、転職先の企業型DCがある場合はそちらに、そうでない場合はiDeCoに移管することになります。この手続きは立場が変わってから(加入者資格喪失日の翌月から)6か月以内に手続きをする必要があります。

もしその手続きを怠った場合には、お金の行き場がなくなり一時的に国民年金基金連合会に自動移管(強制移管)されることになります。その場合、いくつものデメリットがあるので注意が必要です。

自動移管のデメリット

国民年金基金連合会に自動移管されると、資金の保管を行うだけで運用は一切されません。つまり、老後資金は増えません。その上、移管時の手数料3300円、事務手数料1048円も差し引かれます。自動移管後に個人型、または企業型に移管する手続きをすると、再度、移管手数料が1100円かかります。

なお、自動移管から4カ月後の月末までに企業型、または個人型への移管をしなかった場合には、保管料が毎月52円差し引かれるようにもなっているため、徐々に老後資金は目減りします。良いことはないので、必ず6カ月以内に手続きをするようにしましょう。

なお、確定拠出年金は、60歳になると請求できますが、その要件として10年以上の加入期間が必要です。自動移管され保管の状態にある間は加入期間に含めることができないというデメリットもあります。

まとめ

今回は企業型DCに加入している人が転職をした場合の手続きについてみてきました。
概要をまとめると

・転職、退職をすると企業型DCの手続きが必要
・転職先に企業型DCがある場合はそちらに移管、それ以外はiDeCoに移管する
・iDeCoは金融機関ごとにコストやサービスが違う
・転職先に企業型DCがある場合、規約によってはiDeCoとの同時拠出ができることがある
・手続きは、退職後6カ月以内にしなければ自動移管となり、手数料、運用面などで不利になる

退職時に手続きをせず折角の老後資金を放置してしまっているケースが増えています。退職、転職の時期には何かとバタバタしてしまいますが、6カ月も猶予期間があるので、忘れずに手続きをしましょう。

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確定拠出年金についてのQ&A

Q:勤め先の退職金制度として確定給付型年金と企業型DCがあります。確定給付型も転職したら移管が必要ですか?

A:確定給付型の企業年金は、退職時に一括で受け取らなかった場合、年金として将来受け取るというのが一般的です。なお、必須ではありませんが、転職先の企業型DCに移管することも可能です。要件など担当部署に確認してみましょう。

Q:脱サラして個人で独立開業する予定です。今の会社を退職したら、加入している厚生年金はどうなりますか?

A:今後は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めることになりますが、これまで加入していた厚生年金は、加入状況に基づいて将来受け取れます。

監修・ライター:fpフェアリンク株式会社 代表取締役 白浜 仁子

資格
ファイナンシャル・プランナーCFP®

経歴
2018年10月~ fpフェアリンク株式会社 代表取締役
2017年11月~ 西日本新聞社マネー情報紙「Oh! Yen!オーエン」 専属ファイナンシャルプランナー
2016年4月 FPオフィス フェアリンク開設
2014年4月~2018年3月 日本FP協会福岡支部 副支部長
2010年4月~2014年3月 日本FP協会福岡支部 幹事
2008年7月 内山FP総合事務所株式会社 専務取締役
1990年4月 地元の銀行に入行

専門分野
資産運用、住宅ローン、生命保険、相続、家計管理などライフプラン全般について多方面からサポートできるのが強み。
主婦として、母として、起業家としての経験を生かし専門知識とともにアドバイスを行う。
相談業務以外には、講演、企業研修、執筆などにも従事する。

記事提供:ウェブマガジン「mymo」

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提供元:退職時には要注意!確定拠出年金移管前に知っておきたいコトは?|mymo

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