2021.10.29
失業や病気…ヤバい時に役立つ「手当・給付16選」|コロナで休業・自宅療養した人のための手当も
イザというときに役立つ「手当・給付」について紹介(写真:artswai/PIXTA)
失業や病気などイザというときに役立つ「手当・給付」についてご紹介。中にはコロナで休業した人に役立つ手当も。公認会計士・税理士の梅田泰宏さんの新刊『「給与明細」のカラクリ』より一部抜粋・再構成してお届けします。
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サラリーマンが加入している社会保険や、私たちが納めた税金で運営されている公的サービスには、生活の急変などに対応してくれるさまざまな手当があります。
仕事がなくなって収入が減ったり、出産・育児、あるいはケガ・病気でやむなく仕事を離れなければいけなくなったりしたときに役に立つ、おもな手当・給付制度を紹介します。納税者として、また社会保険加入者(被保険者)として、必要に応じて上手に活用したいところです。
ただし、手当・給付を受けるにはさまざまな条件があり、手当や給付の金額なども条件によって変わってきます。また、制度内容も変更になったり、制度自体が廃止になったりする場合もありますので、受給を考えている方は、自分が受給条件に該当するかどうかを、所管する自治体や団体の公式ホームページなどでまずは確認してください。
休業・収入減に役立つ手当
(1)休業手当(雇用主)
会社の都合で休業することになった従業員は、正規、非正規を問わず、「休業手当」を受け取ることができます。会社の都合で労働者を休業させた場合、会社は、平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払わなければならないとされています。
平均賃金の計算方法は、原則として、休業日以前(直前の給与締め切り日から遡って)3カ月間に支払われた給与の総額をその期間の歴日数(総日数)で割った金額になります。
新型コロナウイルスの影響で休業させられた場合も、在宅勤務の検討など休業を避けるための努力を尽くしていないケースでは、会社側に「休業手当」の支払い義務が生じることがあるとしています。アルバイトやパートタイマーも当然対象となります。
(2)休業補償(労災保険)
業務上で発生した負傷や疾病のために働くことのできない従業員に対して支払うもので、「災害補償」として労災保険でまかなわれます。また、休業手当は給与所得として所得税の対象となりますが、休業補償は非課税です。アルバイトやパートタイマーも当然対象となります。
(3)傷病手当金(健康保険)
「傷病手当金」は、ケガや病気で4日間以上仕事を休み、その間の収入がなくなったり、大きく収入が減ったりした場合に健康保険から受け取れる手当です。
新型コロナウイルスに感染した場合ももちろん対象となり、感染が疑われる症状があるために自宅で療養したという場合も受け取れます。
(4)失業手当(雇用保険)
失業した人で、就職しようという積極的な意思があり、就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができないと認められる人に、雇用保険からまかなわれる手当。
65歳未満なら離職前の賃金の45〜80%が基本手当の支給額となります。支給日額の上限額は離職の日における年齢に応じ、6845円〜8370円で、支給期間は90日から最大で360日です。離職前の勤務先で雇用保険に入っているなど、一定の条件を満たす必要があります。
失業の理由が新型コロナウイルスによるものである場合には、条件を満たせば、給付の期間が60日(一部30日)延長されることになりました。
(5)教育訓練給付金(雇用保険)
一定の受給要件を満たす人が、「厚生労働大臣の指定」を受けた教育訓練を受けた場合に、その費用の一部を「教育訓練給付」として雇用保険により支援する制度です。
(6)再就職手当(雇用保険)
失業手当の給付を受けている期間中に再就職が決まった場合、支給残日数が3分の1以上あり、一定の要件を満たせば、まとまった金額が雇用保険により支給される制度です。
定年後の再雇用・再就職等による収入減
(7)高年齢雇用継続基本給付金(雇用保険)
60歳以上65歳未満の被保険者が、原則として、60歳時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働いている場合に、ハローワークへの申請により、60歳以前に受け取っていた賃金の最大15%の給付金が、賃金と給付金を合計した35万7864円を上限額として、支給されます。
(8)高年齢再就職給付金(雇用保険)
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の受給後、60歳以降に再就職し、60歳時点と比べて賃金が75%未満になった場合に支払われる給付金。基本手当の支給残日数が100日以上残っていることが受給の条件。
(9)高年齢求職者給付金(雇用保険)
65歳以上で離職した場合に一定の条件を満たすことでもらえる給付金。雇用保険に加入していた期間が1年以上なら、基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分が一括で支払われる。
(10)出産育児一時金(健康保険)
妊娠4カ月(85日)以上の人が出産したときに、健康保険から原則として1児につき42万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.4万円)が支給される制度。
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(11)出産手当金(健康保険)
健康保険の被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給される制度。
(12)育児休業給付金(雇用保険)
育児休業の期間中、休業前の賃金に応じて、雇用保険から支給される給付金。原則は子どもが1歳までだが、保育所等に入れないなどの理由があれば、最長2歳まで延長される。
介護・子どもの教育関係の手当
(13)介護休業給付金(雇用保険)
家族の介護のために仕事を休んだ場合、給与の67%を受給することができる制度。3回まで、合算で計93日まで支給される。
(14)高額医療・高額介護合算療養費制度(介護保険)
1年間(8月1日から始まり翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に、介護保険によって自己負担額を軽減してくれる制度。
(15)高額介護サービス支給制度(介護保険)
公的介護保険を利用し、自己負担1割の合計の額が、同じ月に一定の上限を超えたとき、「高額介護サービス費」として介護保険から払い戻される制度。
(16)修学支援新制度(文部科学省)
新型コロナウイルスの感染拡大などにより、家計が急変した学生や短大生、高等専門学校などに通う学生に、入学金・授業料の減免や、給付型の奨学金が支給される制度。
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提供元:失業や病気…ヤバい時に役立つ「手当・給付16選」|東洋経済オンライン