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2021.10.27

非正規の人が給付金をもらって資格取得する方法|正社員になるためにおトクな制度を利用する


正社員になるためにも何か国家資格を取りたいけど、取得にかかる費用が高すぎる……そんな場合、国の「教育訓練支援給付金」の制度を利用してみよう(写真:Ushico/PIXTA)

正社員になるためにも何か国家資格を取りたいけど、取得にかかる費用が高すぎる……そんな場合、国の「教育訓練支援給付金」の制度を利用してみよう(写真:Ushico/PIXTA)

「これから、どうしよう……。今の私には、新しい仕事を勝ち取る力も何もない気がします。人生100年時代なんて、気が遠くなるだけで……」

前田未知さん(仮名・27歳)は2年前から金融機関で派遣社員として働いています。仕事の内容は、社内イベントや研修会の準備、書類整理など。持ち前のコミュニケーション能力と機転のきいた仕事ぶりで評価は高く、社員登用試験も視野に入れて頑張ってきました。しかし、コロナ禍の中で出社日数が減り、社員になるのは現実的に難しいと感じ始めています。転職活動もしていますが、なかなかうまくいかず、不安が募ります。

「ボーナスもあったほうがいいし、不安定な派遣社員より、ちゃんとキャリアアップしていける仕事につきたいです」

ご相談を受け、筆者は「少し長い目でライフプランを考えてみませんか」とアドバイスしました。まだ20代の未知さん、これからキャリアデザインしていくことは十分可能だと思います。道を見通すことができなければ、自分で切り開いていくことだってできると思うのです。

最大168万も援助してくれる「国指定の教育訓練」

例えば、何か国家資格を取得することで、これまでのキャリアに関係なく、正社員として働く道が開けます。

「未知さんは、何か興味のある資格はありますか」と尋ねたら、以前から看護師という仕事には興味があると言います。ただ、このコロナ禍での状況を見る限り仕事はかなり大変と感じています。そして、「資格を取るには結構お金もかかりそうです」と言うのです。

そこで、資格取得に国の制度を利用できることを伝えました。

雇用保険の教育訓練給付には、「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」のほか、中長期的なキャリア形成をサポートし、雇用の安定を図ることを目的とした「専門実践教育訓練」があります。専門学校などに通って受講し、修了した場合、要した費用が戻ってくるものです。具体的に、雇用保険に3年以上(初回利用時は2年以上)加入している人は、在職中や離職後1年以内に厚生労働大臣の指定を受けた講座の受講を開始・修了すると、受講した際に支払った費用(入学金・授業料)の最大50%(年間上限40万円)の給付を受けることができます。

さらに、受講修了後、資格を取得して1年以内に雇用される(またはすでに雇用されている)と、支払った費用の最大20%(年間上限16万円)が追加で支給されます。最大3年間で120万円、追加給付を入れると168万円(長期専門実践教育訓練は4年間でそれぞれ160万円、224万円)が受給可能です。

実際、私のところに相談に来られた方で、会社員をやめ、この制度を使って看護師資格を取得した人もいます。給付があっても結構大きな金額を自己投資することになりますが、それでも、サポートを受けながらキャリア形成につながりやすい資格を取得できますから、チャレンジする価値はあると思います。

また、2022年3月31日までの暫定措置ですが、受講期間中の生活を支援してくれる「教育訓練支援給付金」という制度もあります。受講開始時45歳未満、失業中で、昼間部の通学講座に通っていることなどを条件に、基本手当がなくなった後に所得保障のための給付(基本手当の80/100)が訓練修了までずっと受け取れるというものです。若年層の非正規で働いている人を正社員化したいという目的で設けられた制度です(教育訓練支援給付金を受けるには、受講開始前にキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受け、就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードを作成する必要があります)。

有資格者のプロになれば、人生は変わり始める

いろいろ話をするうちに、コロナ禍の閉塞感もあって焦りと不安でいっぱいだった未知さんも、頑張れば何とかなるかもと思い始めたようです。

「キャリアチェンジの資金はどうにかなりそうですね。あとは自分の気持ちしだいですね。3年間を費やしてしっかり勉強して、プロフェッショナルの道を行くのも悪くないかも」

国家資格を得て仕事をすることになれば、人生も変わり始めるでしょう。仕事が安定すると、漠然と抱いているお金の不安も、資産形成に取り組むことで解決していけます。

人生100年時代を安心して生き抜くには、まずは生涯受け取れる公的年金を増やすことです。老齢厚生年金は、年収や保険料を支払った期間によって老後に受け取れる金額が変わってきます。年金額を増やすには、年収を上げ、なるべく長く働くことです。ぜひ、しっかり勉強して、自分の手で未来を変えてください。そして、就職したあかつきには、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAも始めてくださいね。「私もしっかり働く、お金にも働いてもらう」です。

草をかき分け、ときに石につまずきながらも、精一杯仕事をして、自分の足でしっかり歩いていけば、きっと人生は豊かになるはずです。未知さんの未来が素晴らしいものになりますように祈っています。

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「稼ぎが少ない方が家事をするのは当然」の落し穴

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提供元:非正規の人が給付金をもらって資格取得する方法|東洋経済オンライン

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