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2021.09.17

値下げ!銀行「振込手数料」たたき売りの凄い攻防|メガバンクに加え、ネット銀行も続々と参戦


他行あての振込手数料引き下げ、いったいどこがお得でしょうか(写真:mits / PIXTA)

他行あての振込手数料引き下げ、いったいどこがお得でしょうか(写真:mits / PIXTA)

みずほ銀行でシステム障害のトラブルが相次いでいる。その騒ぎを見ていると、「メインバンク選びはくれぐれも慎重に」と思わざるをえない。

大手銀行各社で、ATM手数料は値上げになるし、優遇サービスは改定になるし、紙の通帳は有料になるし――と、大手とはつき合いにくくなる一方だが、珍しく値下げのニュースが聞こえてきた。10月以降に、他行あての振込手数料が引き下げになる件である。

三菱UFJ銀行は、現在の振込手数料から3万円未満は66円、3万円以上なら110円も引き下げる。たとえば、三菱UFJ銀行でATMから現金1万円を振り込むと手数料として440円かかるが、それが374円になる。さらにネットバンキングを使うと、現状の220円が154円だ。

同様に三井住友銀行は11月以降、3万円未満が55円、3万円以上が110円の下げに、みずほ銀行は3万円未満が60円、3万円以上が110円(みずほダイレクトは3万円未満が70円、3万円以上が120円)安くなる。

ネット銀行は「後出し」が続々

主要メガバンクだけではない。ネット銀行も次々引き下げを表明している。ソニー銀行は現行の振込手数料220円を10月以降は110円に、GMOあおぞらネット銀行は157円(個人口座)を145円に引き下げると発表(後述)。他行も続々と引き下げを表明した。

ただし、ネット銀行は他行の様子を見て数字を動かすことが多く、実際、後出しじゃんけん派が有利になっている。

auじぶん銀行は8月19日付けのリリースで、パソコン・スマートフォンからの他行あて振込手数料を一律99円に改定するとぶち上げた(三菱UFJ銀行あてはもともと無料なので除く)。おお、100円を切ったか!と快哉を叫んだところ、勝負はそこからだ。

8月24日には住信SBIネット銀行が一律88円と、さらに11円低い数字を発表(いずれも10月1日より変更予定)。ところが早々に145円を発表したGMOあおぞらネット銀が「うちは業界最安値水準を目指すんです!」と宣言し、86円に再値下げしてきた(個人口座取引が対象)。書いている時点ではこれが最安………のはずが、新生銀行がプラチナステージに該当する利用者に限り、75円を打ち出した。まさに、叩き売り状態だ。今後も別の銀行が、この最安値競争に参加してくるかもしれない。

ここで、なぜ銀行がこぞって手数料引き下げに走っているかと言えば、銀行間決済のベースになる「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の手数料が見直されることになったからだ。銀行間で送金し合う際の手数料は3万円未満117円、3万円以上162円と固定されたまま、40年間も見直しされてこなかった。各銀行はこの数字に自行分の手数料を上乗せして、これまで振込手数料を決めてきたわけだ。

しかし、それが10月に変更される。全国銀行協会は現行の手数料を廃止し、新たに「内国為替制度運営費」を新設、金額は1件当たり62円とした。銀行はそこにいくら乗っけるかで、今後の振込手数料を決める。上記のように今の最安値競争は75~86円だが、スマホアプリで完結する新興デジタルバンクだったら70円台前半もありうるかもしれない。

40年間も動かなかったのに、なぜこのタイミングで引き下げなのか、という理由は「お上」の意向による。もともと、銀行間の振込手数料がまったく見直しされてきていないこと、過去に金額交渉された形成がないことを問題視した調査報告書を、2020年4月に公正取引委員会が出している。背景には、この手数料の高止まりが日本のキャッシュレス決済化進展の妨げになっているのではとして「お上」が横やりを入れたわけだが、深くは触れないでおく。

どんな条件を満たせば無料で振り込めるのか

さて、銀行利用者としては振込手数料が下がるのは歓迎だが、各行は取引状況に応じて「無料で振り込みができる回数」を定めている。どんな条件を満たせば無料で振り込めるのか、メガバンクと主要ネット銀行で調べてみた。

まず、3メガバンクの場合。各行はそれぞれ取引状況に応じた優遇ステージを用意しているが、このところ優遇条件の改定がたて続いているので、利用者は再確認したほうがいい。

7月に「メインバンクプラス(スーパー普通預金)」を改定した三菱UFJ銀は、最高で月3回まで無料で他行あての振り込みができるが、その条件は「給与(10万円以上)・年金の受け取り」が必要(紙の通帳からeco通帳に切り替え済みなら、振り込み1回まで無料となる。いずれもダイレクトバンキングの場合)。

みずほ銀行の「みずほマイレージクラブ」は2020年3月に改定済みで、その際に他行あて振込手数料の無料回数を「取引状況に応じて月1回または月4回まで」から「取引状況に応じて月3回まで(ネットバンキングでの振り込み)」に変更した。さらに、対象になるのは最上ランクのSステージのみで、「資産運用商品残高100万円以上(あるいは自行ブランドのクレカやJCBデビットの利用が年間100万円以上)、または住宅ローン等の借り入れが必要とのこと。利用できる人はかなり限られそうだ。

最後の三井住友銀「SMBCポイントパック」は、無料振り込み回数はナシ。ただし、ダイレクト(ネットバンク)にログインしたり、デビットカードを使ったり、ATMを利用したりすると貯まる「Vポイント」(SMBCグループ共通のポイント)を振込手数料に充当できる。三井住友カードで貯まるVポイントと合算できるのは便利だが、ちょっと地味だ。

次はネット銀行。こちらもステージ(ランク)制を導入し、そのランクに応じて無料振り込み回数を特典につけている。メガバンクとは異なり、事前の申し込みや手続が必要というわけではなく、口座残高や取引内容に応じて勝手に各ステージに振り分けられる。では、なるべく手間やお金をかけずに無料回数をゲットできる、いわゆるコスパのいい銀行はどこだろうか。

まず、残高などの条件なしに無料振り込みができるのは、オリックス銀行、新生銀行、住信SBIネット銀行、GMOあおぞら銀行、ソニー銀行。オリックスが月2回、新生、住信SBI、GMOあおぞら、ソニーは月1回まで無料だ。

なお、ソニー銀行は自社のデビットカードSony Bank WALLETを保有していれば2回にアップする。さらに住信SBIは、スマート認証NEO(生体認証)の登録をするだけで月5回となる(ただしスマホを持たない利用者はスマート認証が利用できないので対象外)。残高や取引と関係なくゲットできるのは、この5回が最も多い。ついでに、あおぞら銀行BANK口座は、デビットカードを1回使えば1回の振り込み無料だ。

次に、給与振込口座に指定すると無料振り込み可能になるのが、楽天銀行(無料回数3回)。イオン銀行は取引ごとの点数制で、給与を受け取り(30点)、イオンカードセレクトあるいはデビットカードを契約し(10点)、その利用代金をイオン銀行から引き落とし、あるいはWAONを1円でも使う(10点~)と、やっと1回無料(シルバーステージ・50点)となる。

給与振り込み口座が変えられない場合は、円預金や投資商品の残高を増やすことで回数を増やせる銀行がいいだろう。円預金残高に応じて無料回数が増える場合、10万円あれば1回無料が楽天銀行、50万円あれば1回無料がauじぶん銀、2回が楽天銀で、思い切って円預金で100万円預金できるなら、楽天銀が3回、新生銀行が5回となる。もっとすごい金額の銀行もあるが、このへんにしておこう。なお、外貨積み立てや投資信託など資産運用商品の残高ならもっと少額で済むが、値動きや手数料を考えるとコスパ的にいかがなものかと思うので触れないでおく。

※無料振り込み回数の対象となる取引や残高などの判定タイミングは各銀行の規定で異なる

業界最高回数の20回無料をゲットするには

さて、現時点で他行あて振り込みの無料回数が最も多いのは、住信SBIネット銀のランク4の20回だ。個人の場合、20回も振り込む必要があるかはさておき、その獲得条件を見ていこう。

ランク4になるには、外貨預金や仕組み預金が月末で残高500万円以上とか、300万円でいいけどプラスで住宅ローンの借り入れをしているとか、かなりハードルが高い。しかし、実はもっと手軽に条件をクリアできる方法がある。先に書いたスマート認証NEO(生体認証)を済ませ、さらに対象となるクレジット(もしくはデビット)カードを作って、その料金引き落とし口座に指定すれば、ランク4になれるのだ。

カード自体はゴールドカードやプラチナカードで有料ランクなのだが、外貨預金500万円分に比べれば年会費はずっと安い。ミライノカードGOLD(JCB)なら3300円、ミライノ デビット(Mastercard)は1万1000円の年会費だ。

しかし、最初に書いたように住信SBIネット銀行は今後手数料を88円に引き下げる。激安なのに、有料カードを作ってまでランク4になる意味があるだろうか。そもそもスマート認証NEO(生体認証)が済めば5回まで無料だというのに。

GOLDカードの年会費を12カ月で割ってみると275円となり、88円の手数料を払って4回振り込むよりは安い。4回にスマート認証済みの5回分を足して、月9回以上他行あてに振り込む人ならGOLDカードを作る意義はある……と無理矢理なら言えそうだ(ただし、ランク4ではATM利用の無料回数も20回となるので、総合的な判断が必要)。

これまで話題になってきたATM利用手数料に比べ、振込手数料は長らく聖域のように動かなかった。これが“官製値下げ”であっても、消費者としては歓迎したい。さて、この先86円を切る銀行が出てくるか、しばし見物といこう。

(注:記事中の数字はいずれも9月​13日までの情報です)​

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提供元:値下げ!銀行「振込手数料」たたき売りの凄い攻防|東洋経済オンライン

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