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2021.09.01

うまい投資話に乗る人がこうも後を絶たない理由|元本保証・高リターン信じる人に欠けた思考法


「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座、第1回目をお届けします(写真:セミ/PIXTA)

「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座、第1回目をお届けします(写真:セミ/PIXTA)

「元本保証」と「毎月8~10%の配当」を約束――。今月に入りあるニュースを目にして驚いた。

金融商品取引業の登録をせずに株式投資名目の出資を募ったとして、8月、金融商品取引法違反容疑と詐欺容疑で投資運用会社「リプラス」の社長らが逮捕された。

報道によると、セミナーなどを通じて勧誘し、関東を中心に約1500人から総額約80億円を集めていたという。単純計算で1人あたり500万円以上を出資したことになる。これだけを見れば「よくある金融詐欺じゃないか」と思う読者もいると思うが、私が驚いたのはそのセールストークの内容だ。

セールストークのなかで「元本保証」と「毎月の8~10%配当」を約束していたという。そんなおいしい話がこの世にありうる訳がない。それにもかかわらず、ありえないはずのセールストークでも約80億円も集められてしまうというから恐ろしい。これはひとえに出資者の金融リテラシーの欠如からくる現象であろう。

金融リテラシーとはいったい何か?

「金融リテラシー」とは、投資知識だけでなく、家計管理や生活設計など身の回りのお金に関する知識や情報を正しく理解し、主体的に判断することができる能力のこと。日本では欧米諸国に比べて遅れていたが、2022年より家庭科で「金融教育」の授業が行われることになっている。

この連載は初回です

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なお、本連載(『「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座』)では金融リテラシーを身につけないまま社会人になってしまった人へ向けて、お金で損しない人の正しい知識をお届けする。第1回目の今回は金融詐欺から身を守る思考法を紹介する。

ニュースではよく目にするが、実際に金融詐欺をもちかけられたことがないという読者も多いと思うので、最近筆者のところに相談が来た2つのケースを紹介しよう。

1つ目はまさに冒頭のニュースと同じケースである。前出のケースでは「元本保証」と「毎月8~10%配当」を約束して株式投資を名目に出資を募ったということだが、「絶対に儲かる未公開株への投資」や、「元本保証を約束した不動産投資」などセールストークの内容は多様である。

投資対象は違えど、非常に高い利回りを約束し、「元本保証」や「絶対に儲かる」という常套句がついてくることは共通して見られる傾向だ。

『「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座』 ※外部サイトに遷移します

2つ目のケースはUSBメモリーに入っている投資システムを利用すれば儲かるというケースだ。これは特に大学生の間で流行っているのだが、この詐欺の場合は日経平均先物やFX、バイナリーオプションという投資手法の名前がよく出てくる。さすがにこのケースでは元本保証は提示されないが、やはり高い確率で相当な勝率を残せるというセールストークがなされるようだ。

これらの詐欺はタチが悪く、いわゆるネズミ講の仕組みも持っている。自分が出資したり、USBメモリーを買ったりした後に騙されたと気づいても、何人かを勧誘すれば、キックバックによって支払った金額が回収できるのだ。

実際の数字で計算をしてみる

たしかに、元本が保証されていて、非常に高い利回りが約束されていると言われたら気持ちが揺らぐのもわからなくはない。まして、知人や友人から勧誘されれば、ついつい警戒感も薄れてしまうだろう。しかし、そういう時は実際の数字を使って計算してみてほしい。

例えば、元本保証されていて、毎月出資金の10%が配当として払い出されるという冒頭のケースを考えてみよう。手数料や税金などの細かい話は抜きにしてシンプルに考える。仮に10万円を出資した場合、翌月から1万円が配当として口座に振り込まれる訳だから、10カ月経てばすでに配当だけで元本を回収したことになる。

冒頭のケースがどのような契約になっているかはわからないが、仮に出資金を引き出せるのであれば、10カ月後には元本の10万円と配当の累計10万円で合計20万円となるから、この投資はたった10カ月で2倍に増やせたということになる。

また、「月利5%」という条件が提示されることもよくあるが、なんとなく「5%ぐらいか」と思ってしまうかもしれないが、実際に計算をしてみれば「月利5%」がとんでもない条件ということがわかる。例えば10万円を投資すれば1年後には約18万円、2年後には約32万円になる。つまり、たったの2年で投資資金が3倍以上になるのだ。

ちなみに、預金保険制度(※)によって元本1000万円までと利息が保証されている銀行の定期預金の年利は、ネットバンクの高いところで0.1~0.2%、メガバンクだと0.002%だ。「元本保証の月利5%」がいかに大きな数字か少し冷静になって考えてほしい。

(※)預金保険制度:万が一、金融機関が破綻した場合でも、利息のつく普通預金、定期預金、定期積金、元本補てん契約のある金銭信託、金融債(保護預り専用商品に限る)などについては、1金融機関につき預金者1人当たり「元本1000万円までと破綻日までの利息等」が保護されます。

元本保証されていて、かつこれだけのリターンが本当に実現するのであれば、わざわざあなたに営業をせずとも、世界中から資金が集まってきて、すぐに数千億円、数兆円が集まるのだから、やはりこんなおいしい話がある訳はないのだ。

そもそもシンプルに考えれば、おいしい話なんてないということはすぐに理解できるはずだ。少しでも高い利回りで資産を増やしたいという投資家が世界中にいるのだから、仮においしい話があったとしても、すぐに世界中から投資家が殺到していずれはなくなってしまう。このことをより理解するために簡単な例を1つみてみよう。

海沿いのA村では魚がいっぱい獲れるので魚は1尾100円で売っているが、隣のB市では魚が1尾500円で売られているとする。賢い人はA村で魚を買って、B村で売れば苦労することなく400円の利益を得ることができることに気づくだろう。

しかし、多くの人がその行為をすると、次第にA村で魚の量が減り徐々に値段が上がっていき、B村では魚の量が増えていくことで値段が下がっていく。そして、どこかのタイミングで両方の村における魚の値段は等しくなる。

このように、仮においしい話があったとしても、すぐにそのような話は知れ渡ってしまい、結局は長続きしないのである。このように何かしらの理由であるモノの値段に価格差がある場合などにおいて、安いほうを買い、高いほうを売ってリスクなく稼ぐことを裁定取引やアービトラージと言うが、市場が効率的であればそのような機会はすぐになくなってしまうのだ。

そう考えれば、ノーリスクでハイリターンを得るというのはほとんどが詐欺案件でしかなく、だいたいはリスクとリターンがおおよそ比例しているという認識を持つべきだということがわかるだろう。

資産運用にも活きる考え方

この内容は金融詐欺から身を守るという意味では防具としての金融リテラシーということになるが、当然ながらこれらの知識は資産運用にも活かすことができる。資産運用をする場合、ほとんどが老後資産の形成など投資に失敗して投資資金の大半をなくすようなリスクの高い投資はできない。しかし、前述のようにリスクを取らなければリターンを得ることはできない。

そこで、期待されるリスクとリターンがそれぞれ違う資産をうまく組み合わせながら、自らの資産運用の目的に適したポートフォリオを組んでいく必要がある。最も代表的なものは国内外の株式、国内外の債券という伝統的な4資産を組み合わせたものになるが、昨今では手数料が非常に低いバランス型の投資信託も数多くあるため、リスクとリターンを意識しながら自分にピッタリの商品を探すとよいだろう。これらについてはまた別の機会に詳述したい。

このように、金融リテラシーを身につけることは資産運用にも、詐欺から身を守ることにも重要であり、運用の世界では基本であるリスクとリターンの関係を知っておくだけでお金に関する苦労は大きく減らせるということを頭に入れておきたい。

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