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2021.08.27

アメリカの高校生が学ぶ「自分のお金を守る」方法|詐欺の手法、個人情報やパスワード管理まで…


「痛い目に遭わないためのお金の教養」、身につけていますか?(写真:Graphs / PIXTA)

「痛い目に遭わないためのお金の教養」、身につけていますか?(写真:Graphs / PIXTA)

2022年度からスタートする新学習指導要領では、資産形成教育の一環として「投資信託」の授業が「家庭科」で導入される。他方、かねて学生に対して「お金」の教育を行ってきたアメリカでは、「投資信託」などのお金の「増やし方」だけではなく、なんと「金融詐欺」にだまされない方法などの、「痛い目に遭わないためのお金の教養」も学ぶという。

悪質な投資・預金の勧誘などは日本でも横行し、日に日に手口の巧妙さが高まっている。「うまい話」にだまされないために、どのようなところに気をつければよいか。『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』からその心得をお伝えする。

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世の中に「うまい話」は存在しない

いつでも誰かが、あなたのお金を自分のものにしようとしている。しかし大抵の場合、それは犯罪ではない。

何かを売る店はすべて、あなたのお金を自分のものにしようとしているが、買うかどうかはあなたが決めることができる。あなたがお金を払って商品やサービスを買うのは、その金額よりも商品やサービスのほうが価値はあると考えたからだ。これで売り手と買い手の双方がハッピーになれる。

しかし残念ながら、中にはこのルールを守らない人たちもいる。彼らはあなたを陥れ、あなたからお金を盗む。これを意図的、かつ組織的に行うのがいわゆる「詐欺」だ。

詐欺の手口は巧妙で、詐欺と気づかないものも多い。あなたを信頼させてだまし取ることもあれば、脅し取ることもある。しかも、犯罪者たちはテクノロジーの進歩も味方につけ、詐欺の手口をつねに洗練させているのだ。

詐欺の被害を確実に避けられる方法は存在しない。とはいえ、よくある詐欺の手口を知っておけば、いざというときに自分を守ることができるだろう。

「ピラミッドスキーム」とは、いわゆるネズミ講のようなものだ。「絶対に儲かる投資がある」と言って会員を集め、会員の出資金をさらに古い会員に支払うことで、あたかも投資の利益が上がっているように見せるが、実際の投資は行っていない。最初の少数の会員がピラミッドの頂点になり、新しい会員がピラミッドの底辺のような構造をしているのでこの名前がついた。

この詐欺が発覚するきっかけは、リターンが異常に高いことだ。誰かがおかしいと思い、調査すると、詐欺の実態が明らかになる。できれば犯人が儲けをすべて持って逃走する前に発覚することが望ましい。

有名な「ポンジ・スキーム」

1900年代の初め、ある銀行で働いていたチャールズ・ポンジは、自分の銀行がほかの銀行より2倍も多い利息を払うため、顧客がどんどん増えていることに気がついた。しかし銀行の融資の儲けだけでは、約束した利息を顧客に払うことができない。その結果、銀行のオーナーは残りのお金をすべて持ってどこかに逃走してしまった。

これを見たポンジは、あるアイデアを思いつく。投資家を集めると、国際返信切手と為替レートの違いを活用すれば大儲けできるというもっともらしい話をでっちあげ、3カ月で資金を倍にすると約束したのだ。

ピラミッドスキームではよくあることだが、ポンジの投資戦略はそれなりに理にかなっている。しかし、例えもっともらしくても、そんなにうまい話は転がっていないということを忘れてはいけない。「ポンジの場合も、切手の取引ではそれほど儲けが出なかったので、大儲けしているふりをして新しい投資家を呼び込み、そこから初期の投資家へのリターンを支払っていた(リターンを受け取った人のほとんどがそのお金を再投資に回した)。

投資家の中から疑問の声が出てくると、ポンジはそれを黙らせるために広報係を雇った。しかしその広報係が詐欺に気づき、ポンジはついに投獄されることになる。これはとても有名な事件なので、ピラミッドスキームは「ポンジ・スキーム」とも呼ばれている。

最近では、バーナード・マドフのピラミッドスキームが有名だ。マドフはニューヨークの投資家で、30年にわたって合法の投資会社を経営していた。そして副業として、チャリティー財団や富裕層の顧客から預かった資金を運用するという仕事もしていた。この副業がとんでもない詐欺だったのだ。

ポンジと違って法外に高いリターンは約束しなかった。マドフが顧客に約束したのは、市場よりわずかに高いリターンを毎年継続することだ。そして、マドフは約束を守った。市場がどんなに下がっても、反対にどんなに上がっても、彼は好調な運用成績を維持している。

しかし、それは好調すぎた。マドフの評判が広がり、顧客はどんどん増えていった。新しい顧客からの資金が入るために、古い顧客が投資を現金に換えたいと言ってきてもすぐに応じることができる。マドフのピラミッドスキームに気づく人はいなかった。しかし2008年に新しい顧客が途絶えると、マドフもついにこの詐欺を続けることができなくなったのだ。

これは史上最大の詐欺犯罪であり、被害額は少なく見積もっても170億ドルにのぼる。大きなチャリティー財団を含む顧客の財産が、すべて消えてしまったのだ。

ピラミッドスキームのターゲットは富裕層だけではない。例えばポンジにだまされた人々の多くは貧しかった。

詐欺を見分ける手がかりはふたつある。ひとつはリターンが高すぎること、そしてもう1つは運用成績が安定しすぎていることだ。

ほかにも、出資したお金をなかなか返してくれない、投資の内容を秘密にしている、または複雑すぎて理解できない、運用の情報を開示しない、といった特徴がある。いずれにせよ、「絶対に儲かる」という話はすべてウソだと思ったほうがいい。

誰かがあなたになりすます

マイナンバー、銀行口座番号、クレジットカード番号など、誰かがあなたの個人情報を盗んで、あなたになりすます。なぜそんなことをするかというと、あなたの資産を盗んだり、あなたの名前を使って借金をしたりするためだ。

この詐欺の被害者は、大抵不正に気づかず、そして気づいたときはすでに手遅れだ。ほかにも、盗んだ個人情報を利用して金を請求する、借金をでっち上げて返済を迫る、生命保険を買わせるといった手口もある。そして被害者は、ウソの請求におびえて言われたとおりに払ってしまうのだ。

個人情報を盗む犯罪でよく標的になるのが、クレジットカード番号だ。カードで買い物をしたときのレシートから番号が盗まれることもあれば、カード番号を伝えた電話が盗聴される、お店のカード読み取り機に仕掛けがあり、そこから盗まれる、カード情報を保存したデータベースがハッキングを受けるといったこともある。今使っているカードを破棄し、新しいカードに切り替えるのはたしかに面倒だが、大抵の場合、不正利用であることをカード会社に訴えれば自分で負担する額はゼロになるので安心だ。

クレジットカードよりも心配なのは、銀行口座からお金を盗まれてしまうことだろう。キャッシュカードと暗証番号が盗まれたり、ネットバンキングのIDやパスワードが盗まれたりすると、口座に残っているお金がすべて盗まれる危険がある。詐欺の犯人は、街中のATMに特別な装置を設置して、カード情報を盗んでいるのだ。基本的に、こういった詐欺被害では銀行が被害額を負担してくれるのだが、それでも被害に遭ったときのショックは計り知れない。

こういったなりすまし詐欺に遭わないようにするには、普段から個人情報の管理をしっかりしておくことが大切だ。気をつける点をいくつか紹介しよう。

個人情報の詳しい管理方法

【個人情報】

住所、氏名、生年月日、クレジットカード番号といった個人情報を安易に他人に教えない。こちらが何も申し込んでいないのに、手紙、電話、インターネットなどで個人情報を尋ねられることがあるが、教えてはいけない。パスワードや暗証番号はどんな状況でも教えてはいけない。

【キャッシュカードの暗証番号】

キャッシュカードに暗証番号を書いたり、暗証番号を書いた紙を財布に入れたりしている人がいるが、それは絶対にやめるように。ATMで操作するときは、ほかの人に暗証番号を入力するところを見られないようにする。重要な個人情報は、すべて自宅の安全な場所に保管すること。ここではローテクが威力を発揮する。パソコンに保存したデータはハッキングにあったら終わりなので、紙とペンがいちばん。

【郵便物】

あなた宛の郵便物を、別の住所に転送する人がいるかもしれない。しばらく郵便物が届いていないというときは、すぐに郵便局に問い合わせる。また、郵便物を外の郵便箱に入れっぱなしにしておくと、誰かに盗まれる危険がある。郵便物にはあなたの個人情報が書かれているので盗まれたら大変だ。しばらく家を留守にするときは、郵便局に頼んで保管してもらう。

【クレジットカードなどの明細】

銀行口座の取引履歴、クレジットカードの利用明細をできるだけ頻繁にチェックし、不審な取引がないか確認する。ここが詐欺に対抗する最初の防衛線だ。身に覚えのない取引があれば、例えどんなに少額でも電話で確認すること。毎月の支払いのサイクルを把握し、何か遅れていたら当該の会社に連絡する。

【ゴミ】

住所や名前などの個人情報、クレジットカードの明細などは、シュレッダーにかけてから捨てるように。手で破るだけでは不十分だ。古いキャッシュカードやクレジットカードははさみで切る。お金関連の書類は、必要なくなったらシュレッダーにかける。誰かがあなたのゴミをあさり、お金の情報を探しているかもしれない。

【信用情報】

年に一度、自分の信用情報を確認しよう。最近ではインターネットやスマートフォンでも確認できる。身に覚えのないローン申請、借金の残高などがあったら、個人情報が盗まれている可能性が高い。

パソコン、スマートフォン、タブレットには、あなたの個人情報が詰まっている。誰かに不正にアクセスされたら大変なことだ。電子機器に保存された個人情報を守る手段は決まっているので、それをすべて実行すること。

最初に行うのはデータのバックアップだ。機器が故障することもあれば、ウイルスに感染してデータが消えてしまうこともある。バックアップが済んだら、次は、セキュリティーソフトのインストールだ。これでウイルス、スパイウェア、マルウェアといった悪意ある攻撃から、あなたのパソコンやスマホを守ることができる。ログインID、パスワード、ネットバンキングの情報などが盗まれたら、大きな詐欺の被害に遭う危険が高い。

無線の電波を使うときも注意が必要

無線のインターネット接続(Wi-Fi)はとても便利だが、セキュリティーの面では危険がいっぱいだ。無線の電波は簡単な機械で傍受できるので、悪用する人が後を絶たない。ケーブルでつないでいる場合は電波を使わないので、情報を盗むのは難しくなる。

無線を使うときは、パスワードで守られているネットワークであることを確認すること。例えパスワードで守られていても、お金に関する情報は無線で送らないほうが無難だ。ケーブルでネットにつないでいる会社のパソコンなどを使うようにしよう。街中でWi-Fiに接続するときは、信頼できるネットワークか確認すること。VPNも通信の安全性を高めてくれる。

スマートフォンは実質的に持ち歩けるコンピューターなので、セキュリティーもパソコンと同じように考えなければならない。パスワードでロックするのは大前提だ。信頼できない作者のアプリにも注意すること。iPhoneのアプリはチェックが厳しいので心配ないが、アンドロイドを使っている人は気をつけなければならない。それからデータのバックアップも忘れないように。スマホが盗まれたり、壊れたりしたら、貴重な情報にアクセスできなくなってしまう。スマホ用のセキュリティーアプリはまだ生まれたばかりだが、それでも入れたほうがかなり安全になる。

あらゆる電子機器、ウェブサイト、オンラインマガジン、アカウントはパスワードが必要だ。セキュリティーの専門家によると、パスワードが他人にばれないようにする秘訣は、複雑にすること、定期的に変更すること、そして紙に書かないことだ。

連想されにくく覚えやすいパスワードの作り方

安全なパスワードの条件は、最低でも2文字以上で、大文字、小文字、数字、記号を組み合わせ、意味のない言葉の羅列にすることだ。例えば「yT9q%hm71M$b」のようになる。たしかに安全性は高いかもしれないが、使いにくいという大きな欠点がある。実用性は低いと言わざるをえない。

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多少の安全性を犠牲にしても、もう少し実用的にするなら、自分にしかわからないような言葉をいくつか組み合わせるという方法がある。誕生日、住所の番地、電話番号などはすぐにばれてしまうが、会社で使っているロッカーの番号、インチ単位の身長、1マイル走のベストタイムを知っているのは、おそらく本人であるあなたしかいない。

その数字に、好きな作家、好きなテレビ番組、好きな外国など、自分にとって意味のある言葉を組み合わせ、アルファベットと数字も加えれば、他人から連想されにくく、しかも覚えやすいパスワードを作ることができる。

パスワードの変更頻度は年に1回がおすすめだ。ネットバンキングなどお金を扱うアカウントの場合は、もっと複雑なパスワードにして、忘れたときのためにどこかに書いて安全な場所にしまっておく。パスワード管理用のソフトウェアもあるが、完全に信頼できると証明されたわけではない。

最近の若い人たちの間では、SNSがコミュニケーションの中心になっている。娯楽、仲間、使えるアイデアなどは大抵SNS経由だ。しかしSNSに投稿した個人情報は、あなたに害を与えることもある。誕生日、旅行の予定、住所、家族の名前といった個人情報は、信頼できる人以外に教えてはいけない。犯罪者は賢く、巧妙な手口で近づいてくるので注意が必要だ。

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提供元:アメリカの高校生が学ぶ「自分のお金を守る」方法|東洋経済オンライン

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