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2021.05.19

「副業をしている人」がハマりやすい落とし穴|妻がいるなら副業する前にやるべきことがある


「副業で生じるリスク」も知っておく必要がありそうです(写真:タカス/PIXTA)

「副業で生じるリスク」も知っておく必要がありそうです(写真:タカス/PIXTA)

なかなか終わりの見えない新型コロナウイルス感染。その影響で、働く場を失ったり収入が大きく減ったりした人も多いでしょう。厚生労働省によると、今年4月現在、仕事を失った人は、見込みも含め10万人を超えたということです。

幸田真斗さん(34歳・仮名・会社員)も、在宅勤務が増えて出社する回数は減り、あてにしていた残業代がなくなりました。支出を減らそうとしましたが難しく、結局、昨年の貯蓄の取り崩し額は25万円に上りました。計画では、60万円の貯蓄を見込んでいましたが、個人型確定拠出年金(iDeCo)の27万6000円しかできませんでした。

この先、収入がもとに戻るとは考えにくいので、幸田さんは「副業を考えている」と言います。すでに貯蓄を取り崩さなくてはならない状態になっているので、不安が募ります。「赤字補填のために副業を」というわけですが、「副業で生じるリスク」も知っておく必要があります。

「ダブルワーカー」の労災保険は手厚くなった

副業のリスクがあらわになるのは、万が一のときです。

仕事をしているときや通勤途中にケガをして療養したり、病気になって休業したりしなければならないことがあるかもしれません。2つ以上の適用事業所で働く場合の「複数業務要因災害」、いわゆるダブルワーカー(複数事業労働者)のケガや病気などに対しては「労災保険(労働者災害補償保険)」から保険給付を受けることができます。医療費の負担はありませんし、休業(補償)給付も手厚く受けられます。2020年9月からはダブルワーカーが増えていることを背景に、法律(労働者災害補償保険法)が改正されました。ダブルワーカーが安心して働けるように、保険給付について「複数事業の賃金を合算」するようになったのです。

例えば幸田さんがA社の仕事を終えた後、副業先のB社で週に3日程度、夜間に仕事をしたとします。両社の労働時間を通算すると、月の時間外労働が100時間を超えることが続き、精神疾患を発病してしまいました。

収入はA社で月30万円、副業先のB社で月15万円です。働けなくなった場合に給付される「複数業務要因災害休業給付」は、それぞれ

A社 30万円×3カ月÷90日=1万円

B社 15万円×3カ月÷90日=5000円

となりますが、法改正によって給付基礎日額は両社を合わせて1万5000円となります。このような場合、従来は労働災害が発生した会社(A社あるいはB社)での収入をもとに給付額が計算されていましたが、複数の会社で働いている場合はすべての会社の賃金合計額をもとに給付基礎日額が算定されるようになったのです。これで幸田さんは休業しても生活にそう困らないでしょう。

ところが、副業先のB社と雇用契約ではなく請負や委任などの業務委託契約で働く場合は、労災保険からの補償は受けられません(契約の実態が雇用関係に近いとみなされれば労働法規の適用対象になることがあります)。

この場合、幸田さんは本業のA社で加入している健康保険給付の対象となります。A社では会社員の雇用契約で働く幸田さんは仕事ができなくなった場合、仕事ができなくなった日から起算して継続3日を経過した4日目から傷病手当を受けることができますが、受け取れるのはA社の標準報酬日額の3分の2に当たる約6666円です。

副業のB社については休業するわけですから、当然賃金は支払われません。収入は大きく減ることになります。もし、B社での副業のことをA社に伝えていない場合、副業をしたせいで本業に支障をきたすことになったとわかったら、A社で気まずい思いをするかもしれません。

副業を考える前に「家計」を見直す

このように、請負や委任での仕事を副業にする場合、想定外の不利益を被ることがあります。収入減少を取り返すために、刹那的に副業をしようと考えるより前に、まずは家計の見直しをしてみましょう。

幸田さんも、副業を決める前に家計を見直すことにしました。

現在の手取り年収は幸田さんが350万円、派遣社員の奥様は手取り150万円です。貯蓄額は300万円、6歳の子どもは将来大学まで進学させるつもりで、教育費は1000万円を見込んでいます。住宅ローンは65歳で完済予定です。

幸田さんはこれから、いくらお金が必要なのか。まず「人生設計の基本公式」で幸田家の必要貯蓄率を求めます。「人生設計の基本公式」は「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」の記事をご覧下さい。3~5分もあれば、自分がどれくらいお金を貯める必要があるかがわかります。

「あなたの人生におカネはいくら必要なのか」 ※外部サイトに遷移します

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今後の平均手取り収入(Y)は600万円としました。現在の資産額(A)は教育費を差し引いて(300万円−1000万円)、マイナス700万円です。年金の手取り額は簡易的に求めましたが、厳しめにYの4割程度としても構いません。

その結果、幸田さんの「必要貯蓄率」は約21%、老後生活費は月額27万円の見込みとなりました。幸田さんはこれまで年間60万円の貯蓄をしてきたと言いますが、貯蓄率は現在の手取りの12%相当です。想定するライフプランをかなえるために必要な貯蓄率21%を下回っています。

幸田さんは「お金の計画」を見直す必要がありますが、具体的な方法として

(1)必要貯蓄率は変えないで支出を抑える。

(2) 実行できる必要貯蓄率を求め直す。

(3) 収入を増やして貯蓄に回す。

などを行わなければなりません。

支出を抑えるためには、不要な保険の見直し、通信費、食費、娯楽費などが多すぎないかを検討します。必要貯蓄率を下げるには、例えば老後生活費率(x)を60%にすると必要貯蓄率は17%となります。現役時代にゆとりを持たせる分、老後生活費は25万円に下がります。あるいは働く期間を70歳まで延ばすと、老後の期間が短くなるので、必要貯蓄率を14%に下げることができます。老後生活費は26万円です。今後は「70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)」により長く働くことが可能になりますし、長く働けばその分受け取れる年金も増えますので有力候補です。

収入を増やすためには、長期的な視点でライフプランを考えてみることです。幸田さんの場合、奥様が正社員で働くことも検討してみてはとお伝えしました。

キャリアアップとワークライフバランスを考慮すべき

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2020年)によると、雇用形態間の賃金格差はいまだに大きく、正社員を100とした場合、非正規雇用(男女)で66.3となっています。今後、「同一労働同一賃金」の動きが進むことで、これまでの年功的な賃金上昇とは変わってくるかもしれませんが、老後受け取る老齢厚生年金額も年収や被保険者期間によって変わってきますので、なるべく高い賃金でより長く働けるようにすることは大切です。

副業する場合は、本業でのキャリアアップを熟慮し、ワークライフバランスや働き方の柔軟性なども総合的に考えて検討するとよいでしょう。副業で得たお金を無計画に使ってしまわないように、「必要貯蓄率」を明確にすることも忘れずに。

人生に必要なお金をつくるのは、計画的にゆっくり合理的な方法で貯蓄運用していく以外にはありません。目先のことだけを考えずに、どのような人生を送っていくか、長期的な視点で考えてみてください。今後ライフプランに変更が生じたらお金の計画も立て直してみてください。家族とコミュニケーションをとり、「必要貯蓄率」を求めて実行しましょう。

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提供元:「副業をしている人」がハマりやすい落とし穴|東洋経済オンライン

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