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2021.05.18

「生理痛がつらい人」が食べていいもの、悪いもの|食事でとる「油」のバランスを意識してみる


生理痛を引き起こす痛み物質は、食材に含まれる油の種類にも関係している(写真:JOB DESIGN/PIXTA)

生理痛を引き起こす痛み物質は、食材に含まれる油の種類にも関係している(写真:JOB DESIGN/PIXTA)

前回の記事で、生理痛が起こる仕組みを説明しました。では、生理痛を軽くするには何をしたらいいかというと、まずは食事を変えることです。

新刊『生理で知っておくべきこと』は、生理のデータが集まった日本初の本です。予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさんによる本書の中から、生理痛を「食事で」軽くする方法をご紹介します。

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生理痛を軽くしたいなら、「魚」を多めにする

前回、生理の血を出すために子宮が収縮するように指令を出すのがプロスタグランジンという物質で、それが痛み物質でもあるため生理痛の原因になると説明しました。

この痛み物質は、油でできています。油にも種類があり、痛みのもとになるのはサラダオイル、バター、肉の油、牛乳や生クリームなど、「オメガ6系」と呼ばれる油です。

対して、エゴマ油、亜麻仁油、魚に含まれる油があります。

これらは痛み物質の逆で、生理痛を軽くします。「オメガ3系」と呼ばれる油です。DHAやEPAという名前を聞いたことがあるでしょうか。魚に含まれているのですが、日本人を対象とした調査で、EPAが痛みだけではなく産後うつなどの心の病気も減らしてくれることがわかっています。日常的に魚を食べている人のほうが、うつになりにくいのです。

EPAには血液をサラサラにする働きがあり、医薬品として動脈硬化などの生活習慣病にも処方されています。つまり、医学的に実証されており、子宮にたまった血液がドロドロになってしまうのを防ぎ、生理痛を緩和してくれる可能性があります。

また、プロスタグランジンによって引き起こされた痛みを悪化させる原因に、炎症があります。DHAには体の炎症を抑える力もあります。まだマウス実験の段階ですが、DHAとEPAを魚の油でセットでとることで、子宮内膜症の症状を抑制できたという研究報告もあります。というわけで、魚の油をはじめとするオメガ3系の油を意識してとりたいところです。

前回の記事はこちら ※外部サイトに遷移します

理想の状態は、このふたつの油の割合が、オメガ6系:オメガ3系=4:1になることです。

オメガ6は悪いわけではありません。体にとって大切で、体中の細胞の膜を作るのに使われます。

しかし、今の日本人はオメガ3系の油がほとんどとれていません。4:1どころか、50:1ぐらいの割合になってしまっています。生理痛になるのもわかりますね。生理痛だけではなく、普段の頭痛などもひどくなります。

私たちの調査でも、オメガ6系の油を多くとっている人は、痛みが強いということがわかってきています。揚げ物やアイスクリームなどをよく食べる人たちです。

大切なのは、ふたつの油の「バランス」です。つい多くなりがちで、痛みも誘発するオメガ6系を控えながら、体にいいオメガ3系を積極的にとることを意識しましょう。

オメガ6系の油はいたるところに使われているので、普通の生活をしていたら足りないことはほぼありえません。

ちなみに、オリーブオイルやごま油、アボカドなどはオメガ9系脂肪酸です。オメガ9系は、酸化に強く加熱料理に向いています。中等〜重度の生理痛に悩む17〜30歳の女性たちが、エクストラバージンオリーブオイルを1日大さじ1.5杯飲んだときに、生理痛が軽くなったという報告もあります。オリーブオイルは生理痛を軽くするのです。

オメガ3系の油をとる

オメガ3系の油はできれば毎日とりたいところです。人の体では作り出せないからです。

とくに、血液をサラサラにしたりうつを予防したりするEPAは、食事からとった量に血中濃度が比例します。多く食べる人ほど血中濃度が高く、さほど食べない人では低くなります。

さきほど、エゴマ油、亜麻仁油、魚といいましたが、どうすれば手軽にとれるでしょうか。エゴマ油や亜麻仁油は、そのままスムージーやサラダに混ぜて食べることで手軽にとれます。ただし、これらはα-リノレン酸といって、体内でDHAやEPAに変換される率はわずかです。また、変換できない人もいます。

よって、できれば魚でとることが望ましいです。しかし毎日は難しいので、控えとしてエゴマ油や亜麻仁油を使うことを考えましょう。

魚を普段とれている人たちの行動を集めたところ、

・調理のいらない刺身を買って食べる
・鮭フレークやシラスを買っておいて、ご飯にかける
・エゴマ油、亜麻仁油を常備して、家で食べるときはサラダなどに使う
・ランチは魚が食べられるお店に行く
・居酒屋で魚のつまみを頼んでみる
・魚の缶詰をおかずに一品足す

などありました。これらを参考に、ぜひ自分でもできそうなものを取り入れてみてください。

魚介類は高いのがネックですが、自炊をしている人は、スーパーで夕方割引になったお刺身の切れ端のまとめやアジのたたきをお得に買って、納豆とめかぶと一緒にごはんにのせて丼にして食べるのもおすすめです。冷凍しておいて食べる頻度を増やすのもいいですね。お刺身は手軽で使いやすいです。今は回転寿司チェーン店もたくさんあって、ひとりで気軽に魚介類が食べられるので、ありがたいですね。

オメガ3系の注意点は加熱です。揚げると50%、煮る、焼くで15%が消失します。

食生活に自信がない、生理痛がひどい、メンタルの浮き沈みが気になるという人は、フィッシュオイルのサプリメントもおすすめです。しかし、サプリメントは薬と違い、すぐに効果が出るものではありません。最低でも3カ月は試すようにしましょう。

サバ缶、シーフードミックス、鮭フレークを買っておく

私たちの調査によると、1人暮らしと実家暮らしでは栄養状態に大きな違いがありました。

カウンセリングをしていても、1人暮らしだと「冷蔵庫が小さい」「食材をすぐ腐らせてしまうから買い物をしたくない」「魚焼きコンロがない」といった悩みがあり、そもそも家でたくさんの種類の食べ物を食べません。

そこで、手軽に栄養をとるために、ぜひ冷蔵庫やキッチンに、便利なものをつねに置いておきましょう。

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おすすめなのは、サバ缶やサンマ缶、ツナ缶といった缶詰です。

パンやパスタにあえても美味しい牡蠣のオイル漬けもいいでしょう。ツナ缶はいろいろな使い道がありますね。最近のツナは缶詰ではなく、使いやすいパウチタイプもありますよ。

鮭フレークやちりめんじゃこは、ごはんにかけるだけでたんぱく質がとれます。麺類にまぶしやすい桜エビもおすすめです。

料理が苦手でなければ、冷凍あさりのむき身や、シーフードミックスを冷凍庫に入れておくのがおすすめです。あさりはチャーハンやリゾット、スープに入れるだけで鉄分もとれますすし、シーフードミックスもラーメンや焼きそばなどに加えやすいです。

私のおすすめはシラスです。栄養価が魅力なシラスは、冷凍しておいて、野菜炒めやおひたしのトッピングなどに使ってみましょう。

※Sadeghi N, Paknezhad F, Rashidi Nooshabadi M, Kavianpour M, Jafari Rad S, Khadem Haghighian H. Vitamin E and fish oil, separately or in combination, on treatment of primary dysmenorrhea: a double-blind, randomized clinical trial. Gynecol Endocrinol. 2018 Sep;34(9):804-808.より
(※2021年4月時点のデータです)

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提供元:「生理痛がつらい人」が食べていいもの、悪いもの|東洋経済オンライン

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