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2021.04.15

バカ高い資格取得費用を国に払ってもらう裏技|給付金制度をうまく利用するにはどうする?


会社勤めをしていても「何か資格を取ってキャリアアップしたい」という人が少なくない。ネックは資格講座の高額な受講費だが、あまり知られていない「国のおいしい支援制度」がある(写真:EKAKI/PIXTA)

会社勤めをしていても「何か資格を取ってキャリアアップしたい」という人が少なくない。ネックは資格講座の高額な受講費だが、あまり知られていない「国のおいしい支援制度」がある(写真:EKAKI/PIXTA)

2021年4月から、70歳までの就業機会確保が努力義務化されることになり、「70歳定年時代」も近づきつつあります。60代前半だけでなく、60代後半や、場合によっては70代でも勤務する機会がこれから増えることでしょう。

そうした時代の流れの中で「まだまだ働かなければいけないのか」と考える人もいる一方で、「長く働けるなら働きたい」「働き続けられるように何か資格を取得したい」と考える人もいると思います。今回は、資格取得によるスキルアップを支援する制度として活用できる、雇用保険の「教育訓練給付制度」についてお話ししましょう。

国が資格取得費用の20%を支給してくれる

会社員として勤務していると、雇用保険の被保険者になり、厚生年金保険料や健康保険料より低い金額ではあるものの、毎月の給与から雇用保険料が控除されていることでしょう。雇用保険に加入していれば、離職後、失業している際に、失業給付を受けられることがありますが、雇用保険制度の給付は失業に対する給付だけではありません。

働く人、あるいはこれから働きたい人が自ら主体的に職業に関する教育訓練を受ける場合に、それを支援するための「教育訓練給付制度」があります。

この教育訓練給付制度により、資格取得を目的とした、厚生労働大臣の指定する講座を受講、修了した場合は、受講費用の一部が支給されることになっています。教育訓練給付金には4種類あります。①一般教育訓練給付金、②特定一般教育訓練給付金、③専門実践教育訓練給付金、④教育訓練支援給付金で、それぞれ受給できる要件や給付金額が異なっています。

まず、一般教育訓練給付金は最もポピュラーなもので、在職中(雇用保険の被保険者)の場合、原則として、指定講座の受講開始日時点で雇用保険加入期間が継続して3年以上(初回の受給の場合は1年以上)あれば支給されます。また、離職して被保険者でなくても、離職前に当該雇用保険加入期間があり、離職して1年以内の受講開始であれば対象となります。

実際に一般教育訓練給付金の対象となる費用は入学金と受講料などで、その費用の20%が給付金として支給されることとなります。つまり20万円の講座を受講した場合、4万円の給付金が支給されます。ただし、給付金の上限は10万円となりますので、10万円を超えて給付金は支給されず、給付金として計算される額が4000円を超えない場合は給付金が支給されません。また、受講期間が1年を超える場合は、1年を超える部分の受講料は対象になりません。

給付金の申請は、教育訓練修了(受講修了)から1カ月以内にハローワークで行うことになります。一般教育訓練給付金は最もポピュラーとしましたが、その対象として指定されている講座が1万講座を超え、非常に多いからです。教育訓練給付制度の中で最も利用できる機会の多い給付金制度といえます。

2019年10月から、速やかな再就職や早期のキャリア形成に資するとされる講座を受講、修了した場合には、特定一般教育訓練給付金が支給されることになりました。

一般教育訓練給付金が費用の20%(上限10万円)だったのに対し、その2倍の給付金、つまり受講のために支払った費用の40%(上限20万円)が支給されることになります(給付金が4000円を超えない場合は不支給)。受給のために必要な雇用保険加入期間も一般教育訓練給付金と同じ(3年以上、初回の場合は1年以上)です。

ただし、一般教育訓練給付金と異なり、給付金の支給申請の手続きのほかに、受講前の手続きもあります。受講開始の1カ月前までに、「訓練対応キャリアコンサルタント」による訓練前キャリアコンサルティングを受けたうえ、訓練前キャリアコンサルティングで交付されたジョブ・カードに「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」などを添えてハローワークに提出する必要があります。

特定一般教育訓練給付金の対象講座については現在400講座以上指定されています。一般教育訓練給付金より対象講座数はかなり少ないですが、制度開始以降、対象講座数は増えつつあります。一般教育訓練給付金より多く給付金が支給されるため、取得したい資格で指定講座はないか確認してみましょう。

専門家を目指すための長期受講も支援してくれる

資格によっては専門性が高く、受講期間が2年、3年に及ぶ講座もあるでしょう。こういった中長期的なキャリアの形成を支援するための給付金として専門実践教育訓練給付金があり、専門的、実践的な教育訓練として厚生労働大臣に指定された教育訓練を修了した場合に支給されることになっています。

専門実践教育訓練給付金の対象教育訓練として、業務独占資格(建築士、美容師、看護師など)、名称独占資格(介護福祉士、精神保健福祉士、保育士など)の取得を目的とした課程、専修学校の職業実践専門課程(商業実務など)、専門職大学院のような高度専門職業人の養成を目的とした課程、大学の職業実践力育成プログラム、第4次産業革命スキル習得講座(AIなど)が含まれています。

専門実践教育訓練給付金を受けるためには、一般教育訓練給付金同様、雇用保険の加入期間が3年以上(ただし、初回の場合は1年以上ではなく、2年以上)あることが条件となります。また、受給のためには受給開始1カ月前までの事前手続きがあり、「訓練対応キャリアコンサルタント」による訓練前キャリアコンサルティング、ハローワークへのジョブ・カードなどの提出も必要です。

専門実践教育訓練給付金は、専門的な講座を対象としているため、一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金より給付率が高く、受講のために支払った費用(入学金・受講料)の50%となり、1年当たりの上限は40万円になります。長期に及ぶため、当然、1年を超える受講期間についても給付金の対象になります。

また、専門実践教育訓練を修了して当該訓練にかかる資格を取得し、訓練修了日から1年以内に雇用保険被保険者として雇用された場合は給付が上乗せされることになり、受講費用の70%が給付金として支給され、1年当たりの上限額も56万円となります。3年間の受講の場合では、通常は120万円(40万円×3)、資格取得・就職の場合は168万円(56万円×3)を上限として支給されるでしょう。

受講が長期間に及ぶため、ハローワークへの給付金の支給申請については6カ月ごとに行うことになります。つまり、受講修了を待たずに受給し始めることができます。

4つ目の給付金制度である教育訓練支援給付金は、昼間の専門実践教育訓練を受けている、失業中の人を対象とした給付金です。ただし、この給付金制度は45歳未満の人が対象で、2022年3月までの時限措置となります。比較的若い人向けといえます。

当該給付金は、失業給付である基本手当をもとに計算されます。基本手当の日額は賃金日額(離職直前の6カ月間の賃金の総額を180で割った額。上限額・下限額あり)の45~80%ですが、失業の認定を受けた日について、基本手当の80%が教育訓練支援給付金として支給されることになります(基本手当が支給される期間は除く)。

65歳以降に雇用保険加入しても使える

以上のように教育訓練給付制度の給付金は4種類あります。それぞれの給付金の受給の要件については、実際はさらに細かく設定されていますが、受給資格があるかハローワークに照会することも可能です。

2017年1月より、65歳以上で雇用される人は高年齢被保険者と呼ばれる被保険者となり、65歳未満の被保険者(一般被保険者)のように雇用保険に加入することになりました。45歳未満を対象とした教育訓練支援給付金を除き、65歳以上の人もこれまで述べた一定の雇用保険加入期間があって、指定された講座を修了すれば教育訓練給付金を受けることができます。

「生涯現役社会」ともいわれる中で、すでに65歳以上の人も、今後65歳を迎える人も、実務に役に立つ資格、職業生活を充実させるような資格に挑戦し、教育訓練給付制度も活用してみてはいかがでしょうか。

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提供元:バカ高い資格取得費用を国に払ってもらう裏技|東洋経済オンライン

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