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2021.03.31

本当は怖い「スマホ料金」値下げ合戦のウラ側|私たちは本当にトクをするのか?


携帯大手3キャリア各社が自前の決済アプリを通じて、これでもかという「ポイント還元キャンペーン」を実施しています。それははたしておトクなのでしょうか?(写真:metamorworks/PIXTA)

携帯大手3キャリア各社が自前の決済アプリを通じて、これでもかという「ポイント還元キャンペーン」を実施しています。それははたしておトクなのでしょうか?(写真:metamorworks/PIXTA)

2021年前半、消費まわりのキーワードは断トツで「スマホ」だろう。ご存じのように今年3月は大手キャリアの廉価プランの“草刈り場”となった。

ぱっと見では大差ないように感じる新プラン。元々そのキャリアを使っていた利用者のスライドも多いのではないか。ドコモユーザーがahamoへ、auユーザーがpovoへ、ソフトバンクユーザーがLINEMOへというようにだ。

通信会社にとっては、電話料金収入ががた減りするのは痛手だが、それより値下げを渋ってユーザーを他社へ逃すのはもっとつらい。新プランの価格が、3社が似たり寄ったりの横並びになったのは、そんな台所事情だろう。

しかし、裏キーワードもある。それが「ポイントばらまきキャンペーン」だ。

3月にかけてキャリア各社は、自前の決済アプリを通じてこれでもかというほど還元し始めたのだ。ドコモはdポイント、KDDI(au)はPonta、ソフトバンクはPayPayボーナスを付与する大キャンペーンを一斉に実施したわけだが、その大量投下ぶりはすごかった。

まずはPayPay。「超PayPay祭」と銘打って、20~40%還元キャンペーン(いずれも3月28日まで)を展開した。しかもソフトバンクやワイモバイルユーザーなら、還元率は30~50%まで引き上げられた。

また、ソフトバンクのグループ会社であるZホールディングスが3月1日にLINEと経営統合を果たしたのはご存じのとおり。PayPayとLINE Payの2つのコード決済はこの先PayPayに統一されるため、さっそくLINEポイントからPayPayボーナスへの交換が始まった。しかも、本来は等価交換のところ、3月31日まではキャンペーンとして25%増額して交換できるのだ(ただし上限は500円相当まで)。

重複を考慮せずに両アプリのユーザー数を単純に足すと、なんと1億を超える巨大決済圏が出来上がることになる。LINEの個人情報アクセス問題というトンデモおまけまでついてしまったのは誤算としても(※PayPayボーナスは本来はポイントではないが、決済に対し付与されるボーナスをポイントとして扱うとする)。

auユーザーもポイント増量・高い還元は当たり前

続いてau(KDDI)。携帯の利用状況に応じてユーザーに付与されるのはPontaポイントだ。Pontaカードやアプリで貯めたポイントとも合算でき、決済アプリau PAYの残高としてチャージが可能(auとPontaのID連携が必要)。

au PAYでも3月22日まで20%還元キャンペーンを実施していた。しかもPayPayの20%還元は1000円相当まで(ソフトバンクユーザーは2000円)のところ、auは月3000円相当までOKと、さらに太っ腹というか挑戦的というか。

さらに、通常PontaをECサイト「au PAYマーケット」限定のPontaポイント(有効期限あり)へと交換すると50%増量、つまり1.5倍になる。おまけにauスマートパスプレミアム会員なら100%増量つまり2倍にアップできるという大サービスまで。期間限定のキャンペーンとはいえ、ポイント2倍はめったに聞かない。PayPayもau PAYも他社スマホでも使えるアプリだが、やはり自社ユーザーへの優待はじつに手厚いのだ。

3月に大量還元キャンペーンを利用すると、そのポイントが付与されるのは4月以降になることが多い。その時差がユーザーを他キャリアに逃さない足かせにもなると考えるのは意地が悪いだろうか。

最後にドコモのdポイント。こちらもd払いで合計2000ポイントまでの20%還元キャンペーンを3月12日まで実施していた。しかし、他社と比べ、自社サービスに囲い込む動きは弱い。契約者を逃さないとの余裕があるのか、決済サービスよりクレジットカードのdカードで稼いでもらおうと考えているのかもしれないが。

スマホによるポイント還元は金融業への入り口

なぜここまでポイントをばらまくのか。1つには、優遇を武器にキャリア契約者を維持したいため、そして付与したポイントを原資として決済サービスをどんどん使ってほしいためだろう。

ソフトバンクやauは今後、決済アプリを入り口に金融業で稼ぎたいと考えている。とくに、スマホネイティブな若者層へアプローチしたい。いわゆるレガシー的な大手銀行や証券会社がつかんでいる中・高所得層ではなく、これから消費や資産形成を活発化させるであろうZ世代をつかんでおきたいはずだ。

そこはまさに、各社の新プランが狙うデジタル層とも重なる。銀行取引も資産運用もアプリで行うことに抵抗はないうえ、ポイントを資産の一部として貯めたり増やしたりと使いこなしている。例えば「ポイント投資」はもはや彼らの“たしなみ”と言っていい。

ポイントをきっかけに、決済、借入、保険、資産運用等の入り口をアプリで束ねれば、グループ内に抱えた銀行、証券、保険に送客できる。しかも、決済アプリを使ってもらえばもらうほど、消費額や購買履歴のデータがたまっていく。それは金融商品をアプローチするには欠かせない材料となるだろう。

また、各社が乗り出しているのは、ユーザーへの融資、つまり貸付だ。過去の決済データを利用することで、所得がまだ少ない若年層に対しても与信枠を設定できるようになる。

4月からは改正割賦販売法により、クレジットカード会社が与信枠の設定に人工知能(AI)やビッグデータ分析を使えるようになる。コード決済事業者なども参入できるよう、登録制度も設けられるようだ。キャンペーンで還元されたポイントを、この人物はいつ・何に・いくら使うのか。それが大事なビジネスの種になる。

給与もデジタルマネーで支払いへ

ケータイキャリアがスマホ決済とそれにひもづくポイントを利用して、ユーザーを確保し、通話料金以外の金融で稼ぐ――。そうなると、銀行ものんびりしてはいられない。なにせ、2021年からは「デジタル給与払い」が解禁される。これまでは銀行振り込みがほとんどだった勤労者の給与を、デジタルマネーでも支給できるように解禁しようというのだ。

実際には給与の全額ではなく一部になると思われるが、PayPayやau PAY、d払いの残高で受け取れる未来が視野に入ってくる。この動きはユーザー側も歓迎しており、公正取引委員会が昨年行った調査では、もしコード決済事業者のアカウントに対して賃金の支払いが行えるようになったら、約4割の利用者が自分のアカウントへの振込を検討すると回答しているという。

実際に、ヤフーはリモートワーク支援として5万円相当をPayPayマネーライトで付与すると発表している。そのまま自社のオンラインサービスで使ってもらったり、PayPay加盟店で消費してもらえるメリットもあるが、これがデジタル給与の下地作りであることは間違いない。この先、給与として毎月PayPay残高が付与されれば、これほどおいしい話はないだろう。デジタルマネーを使えば使うほどポイントも貯まり続け、さらに利用者を囲い込める。

たかが“おまけ”だったポイントを横串に使うことで、スマホ決済、クレジットカード払い、そしてその決済元としての各グループの銀行へとつながる道筋ができる。

例えば4月から名称が「PayPay銀行」へと変更になるジャパンネット銀行。新規で口座を開き1万5000円以上を入金、さらにPayPayチャージ用の口座に登録すると現金4500円プレゼントというキャンペーン中だ(4月30日まで。PayPayアプリからの申し込み限定)。4500円もらえるなら一度口座解約して再度開こうか悩む、とのツイートまで見かけた。

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決済アプリからグループ銀行への資金還流が生まれ、やがては住宅ローンなど「もっと稼げる」アプローチもくる。これまでレガシー銀行が握っていた、個人のお金の流れが横取りされてしまうかもしれない。

「ポイントを貯めたいだけだったのに」と、無邪気な買い物をしているうちにわれわれのお金の流れと消費行動はガラス張りにされていく。

そもそも、事業者側が繰り広げる「出血大サービス」とは、お客様のためではなく、自分たちの稼ぎのためにやるのは常識ではないか。自分の利用履歴が蓄積されることを理解したうえで、おトクさと便利さを享受するべきだろう。

よくよく考えると“ちょっぴり怖いポイントの話”は、これでひとまずお終いにしておく。

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提供元:本当は怖い「スマホ料金」値下げ合戦のウラ側|東洋経済オンライン

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