2021.03.10
知らないと損「お金リテラシー」鍛える質問6つ|定期預金をネット銀行に変えるといくら得か?
定期預金はネット銀行に変えたほうがお得!? 「お金」に関するお得になる知識をご紹介します(写真:【IWJ】Image Works Japan/PIXTA)
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クルマは所有したほうが得? それとも借りたほうが得?
Q1. 週2回の買い物利用で月間走行距離320キロです。居住地は首都圏(中心地ではなく郊外)の場合、10年間でいったいどれが一番低コストでしょう?
(1)新車購入
(2)レンタカー
(3)リース
(4)カーシェア
A. (4)カーシェア
ここでは、車両を1500cc以下のコンパクトカー、ベーシックグレード、オプションはマット、ETC、最安のナビを前提として比較します。10年間の出費は、所有518万円(※1)、レンタカー664万円(※2)、リース572万円(※3)、カーシェア443万円(※4)です。
4つの中ではカーシェアが最も低コストでした。某有名会社のプランによると、入会金と月額固定費を払えば、大変リーズナブルに借りることが可能です。しかも、6時間以内に返却するときはガソリン代が不要、免責補償料も安くなっています。所有する場合は車両代に加え、ランニングコストもすべて自己負担です。そのかわり10年後に売れば、売却益が出ます。
レンタカーは借り賃、免責補償料、ガソリン代が実費負担です。
リースは借り賃、任意保険料、ガソリン代、駐車場代がかかります。某大手リース会社のプランでは9年経つと車両がもらえるため、最後の1年は所有と同様の出費と、最終的に売却益を得る計算にしました。
もっとも、車の使用頻度や走行距離によって、この順位は変わります。カーシェアは安いとはいえ、加入したきり全然乗らないのであれば、毎月の固定費だけずっとかかってしまいます。ご注意を。
補足説明)
※1 購入費、オプション、諸経費で191万円、10年のランニングコスト346万円、売却益19万円と仮定。
※2 借り賃と免責6600円、ガソリンは130円/ℓで燃費16㎞/ℓで計算。
※3 毎月の借り賃28万490円の9年分、10年分の任意保険、ガソリン、駐車場が約270万円、最終1年間のそのほかのランニングコスト約14万円、売却益19万円。
※4 借り賃と免責4620円で計算。
Q2. 標準報酬月額(ボーナスなど一時的な収入を除く定期的収入)25万円で働いています。妊娠を機に会社を辞め、産休育休制度を利用しなかったら、どれくらい損をするでしょう?
(1)42万円
(2)128万円
(3)283万円
(4)360万円
A. (3)283万円
制度を使わないと大きな痛手
仕事と子育ての両立は大変ですが、勤めているからこそのメリットもあります。それが産休育休制度です。
まず、出産日以前の42日と、出産日以降の56日分、出産手当金がもらえます。支給開始日以前の継続した12カ月の標準報酬月額を平均した金額を30で割り、その3分の2が支給金額です。
標準月額報酬が25万円なら、1日当たり約5555円、98日間で54万4444円となります。
さらに、産後56日を経過したあとは、育児休業給付金が出ます。なかなか保育園に入れないなどの場合は、子どもが1歳半まで適用されます。
当初6カ月は25万円の3分の2が、その後も半分程度はもらえます。育児休業給付金を計算してみましょう。最初は5555円が180日分で、99万9900円です。
残りは365日ですが、出産手当金が支給されていた56日は除きます。今度は25万円を30で割ったものの半分で、日額は4160円です。
これが309日ですから、128万7603万円もらえることになります。出産手当金と育児休業給付金で合計283万1947円。退社してしまうと、これが受け取れないのです。
ただし、これは概算ですので、個別に計算すると金額は前後する可能性があります。
補足説明)
ちなみに、選択肢(1)は出産育児一時金の金額。退職していてももらえる。(2)は育児休業給付金のみの計算。(4)は一定の条件を満たし、子どもが2歳になるまで適用できた場合の概算。
Q3.定期預金をネット銀行に変えると、5年後に○円違う?
200万円を定期預金に預けます。大手銀行とネット銀行では、5年間でどれくらい利息に差が出るでしょう? どちらが得かも考えてください。
(1)1万1680円
(2)2万3360円
(3)3万5040円
(4)4万6720円
A. (3)3万5040円
ネット銀行が圧倒的に有利
低金利の現在、どこに預けたって大差ないと思っていませんか。でも、銀行によって金利は違うのです。
大手銀行の定期預金に預けた場合、5年後の金額は200万200円(※1)。利息はたった200円しかつきません。
それに対して、ネット銀行は203万5240円(※2)となり、利息は3万5240円。その差額は3万5040円(※3)で、ネット銀行のほうがずっとお得です。
同じ金額を預けても、金利次第で結果はこのように変わります。申し込みの時期によってはキャンペーン金利を設けていたり、退職金を預けると金利を上乗せしてくれる銀行もあります。
預金は1000万円まではノーリスク(ペイオフという制度で守られる)が特徴ですから、少しでも金利が高い銀行に預けたいものです。大手銀行に比べると、おおむねネット銀行のほうが金利は高くなっています。
参考までに、預金と同じく元本割れの心配がない商品に、個人向け国債があります。個人向け国債は、固定型3年、固定型5年、変動型10年があり、年率0.05%は最低保証されます。金利は購入する時期で変わります。
お金の預け先は預金以外にもたくさんあります。よく調べて、自分に合った預け先を見つけてください。
補足説明)
※1 大手銀行金利:0.002%で計算。
※2 ネット銀行金利:0.35%で計算。
※3 税金は加味せず。実際には利息に対して20.315%分の税金が差し引かれる。
Q4. タンス預金ではなく、毎月3万円を利回り3.1%の複利で積み立てると、40年後にはいくらになるでしょうか?(積み立て元本の累計は1440万円)
(1)1499万円
(2)1770万円
(3)2203万円
(4)2845万円
A. (4)2845万円
元本の2倍に!
一般的に、金利には単利と複利があります。
単利は、運用元本を一定のまま運用します。例えば、100万円を3%単利の運用だと、1年後に3万円のリターンを受け取れます(※1)。その後も同じ形が続きます。
一方、複利は1年後に受け取る3万円を再投資して運用に回すため、運用元本は103万円となります。すると、2年目のリターンは3万900円と、わずかながら3万円を上回ります。
ところが、このわずかな差が、長期にわたると大きな差になるのです。単利と複利を比べると、5年後には1万円近くの差がつきます(※2)。
では、毎月3万円を40年間、複利で積み立てるといくらになるでしょう。利回り「0.2%」のときは1499万円。「1%」なら1770万円。「2%」では、2203万円。そして、「3.1%」では、2845万円となります。
利回り3.1%(※3)なら、積み立て元本の約2倍になります。
天才物理学者アインシュタインは、「複利は人類最大の発明」であるという言葉を残したといわれています。タンス預金は減りもしませんが、増えもしません。アインシュタインをして人類最大の発明といわしめた複利効果、使わない手はないのではないでしょうか。
補足説明)
※1 ここでは税金は考慮せず。
※2 利回り3%の単利で5年間運用した場合 1年目100万円×3%=3万円、2年目100万円×3%=3万円、5年後は115万円。
利回り3%の複利で5年運用した場合 1年目100万円×3%=3万円、2年目103万円×3%=3.09万円、5年後は115.93万円。
※3 利回り3.1%はインデックスファンドでの運用を想定。
Q5. 親が亡くなったあと、地方にある実家は空き家になっています。このまま放置しておくと、10年間でどれくらい損になるでしょう?
(1)50万円以下
(2)100万円程度
(3)200万円以上
A. (3)200万円以上
金銭的喪失のほかにもリスクがある
地方に実家を所有していると、使っているか否かにかかわらず、毎年一定の費用がかかります。
代表的なものは、固定資産税や都市計画税です。仮に、固定資産税の評価額が宅地(150㎡)1800万円、家屋500万円だと、税額は年に約14万円(※1)になります。家を管理するためには、最低限の電気・水道も必要です。これが年3万6000円(※2)かかるとすれば、実家の維持費は年17万6000円。
10年間では176万円にもなります。庭木の手入れや実家に行く交通費まで含めると、200万円を超えてしまいます。
さらに、長年放置した建物は劣化します。すると、行政から「特定空き家」に指定され、固定資産税が上がったり、解体などの改善措置を求められます。建物の大きさや庭木の量次第ですが、解体には100万~200万円(※3)がかかります。行政からの指導を無視すると、罰金や行政代執行をされる可能性もあります。
慌てて手放そうにも、一部のエリアを除いて地方の地価は下落しています。需要も減り続けているため、売却は難しいかもしれません。維持費に加えて解体費用がかかるうえ、最終的には処分できずに困ることも。早めに将来どのようにするかを親族で話し合うことが大切です。
補足説明)
※1 固定資産税・都市計画税は、「小規模宅地の特例」を加味して算出。
※2 電気代は月1000円、水道代は月2000円で算出。
※3 解体費用は100㎡~150㎡程度の一般的な2階建て木造住宅を想定。建築地のエリアや状況、建物の構造、面積、付帯物等によって、費用は大きく異なる。
Q6. 全面テレワークになったので、東京都杉並区(最寄り駅JR中央線荻窪駅)から、新幹線を使えば1時間程度で都心に出られる地方に引っ越しました。70㎡の3LDKを借りるという条件は同じとすると、20年間でどれだけの差になるでしょうか?
(1)約1000万円
(2)約2100万円
(3)約3200万円
(4)約4300万円
A. (3)約3200万円
地方移住で新たに発生する出費も
都心から地方に引っ越すことによる家賃コストの減少は、20年の累計で3168万円と試算されました。
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東京都杉並区、荻窪駅周辺の70㎡3LDKの賃料は23万7000円(※1)、地方の同じ広さの賃料は10万5000円(※2)。
その差は13万2000円、年間だと158万4000円です。それが20年続いたとすると、3168万円にもなり、建て売り住宅が1軒買えてしまいそうな金額ですね。ただし、ここで注意しなければならない点があります。
東京の職場に、新幹線を使って頻繁に行くことになってしまったら、そのコストは非常に大きくなります。新幹線代は1往復で8000円程度かかります。また、地方は都心ほど交通の便がよくありません。自動車がないと不便になり、自動車維持費という新たな出費が増える可能性もあります。
ちなみに、週1回程度の出勤であれば、新幹線代も4週分の3万2000円ですみます。まだまだ毎月10万円は浮くので、検討の余地はあるかもしれません。
テレワークが広がる中、近ごろは地方への移住が注目を集めています。ただ、移住には引っ越し代など大きな費用がかかります。安易に決定せず、勤めている会社の当面の方針をよく確認しながら考えましょう。
補足説明)
※1 荻窪駅の1㎡当たりの賃料は、某賃貸情報サイトによると3389円(2020年10月現在)。その数値を参考に計算。
※2 新幹線を使って1時間で都心に出られる地方を静岡県三島駅と仮定。同じサイトによると、1㎡当たり1508円(2020年10月現在)。それを参考に算出。
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提供元:知らないと損「お金リテラシー」鍛える質問6つ|東洋経済オンライン