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2017.01.14

うつ病かも?と思ったら|季節も要因になるうつ病対策


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「最近なんだかやる気がでない」「よく眠れていない」など、理由が分からない気持ちの落ち込みや体調の変化を感じていませんか? そんな場合、もしかするとうつ病の可能性があるかもしれません。見逃すわけにはいかない、うつ病の見極め方と対策をまとめました。

【目次】
-「うつ病」とは?
-どうしてうつ病になるの?法
-うつ病になってしまったら…自分でできる対処法

うつ病とは?

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「うつ状態」と「うつ病」の違い

「嫌なことがあって気持ちが落ち込む」といううつ状態になることは、誰にでも当たり前に起きうること。「うつなのかなぁ…」と思っても、それだけでは「うつ病」とは言い切れません。

うつ病は、「不眠や食欲不振などを含めた特定の症状が、2週間以上にわたりほぼ毎日続いている状態」と診断基準が決まっており、気分の落ち込みのほかにもいくつかの精神的・身体的な症状を伴います。

うつ病の症状

うつ病の代表的な症状を9つご紹介します。

(1)抑うつ気分

気持ちが落ち込み、理由もなく悲しくなったり、絶望的な気持ちになったりします。午前中に気分が落ち込み、夕方以降になると症状が回復する「日内変動」があることも。

(2)興味または喜びがなくなる

これまで楽しめていたことを、急に「つまらない」「関心がない」と感じるようになります。

(3)食欲が減る、または増す

うつ病では食欲が減るケースが多く、それに伴い体重も減少します。また、食事をしてもそれまでのように「おいしい」と感じられなくなることもあります。

(4)睡眠障害

うつ病の初期症状に「不眠」があります。過去の研究では、うつ病患者の93%が不眠症状を抱えていたという結果もあるほどです。

(5)強い焦燥感または動きにくくなる

落ち着きがなくなり、イライラしやすくなります。また、周囲から見てもわかるほど口数が少なくなったり、反応や動作が鈍くなったりすることがあります。それまで難なくこなせていた家事や簡単な作業などにも、時間がかかるようになります。

(6)疲れやすさ、気力の減退

少しの活動でひどく疲れたり、やる気がなくなったりします。それまでは簡単にできていたこと(着替えや身だしなみを整えることなど)がおっくうになる場合も。

(7)自責感

必要以上に罪悪感を覚えたり、「迷惑をかけてしまった」などと思い込み、自分を責めたりするようになります。

(8)思考力や集中力の低下

考えを整理できず、物事に集中できなくなります。決断力も低下するため、仕事の効率が悪くなったり、ミスを繰り返したりするようになります。

(9)死にたくなる

「自分には生きている価値がない」「死んでしまった方がいい」などと考えるようになります。自殺の危険性もあることから、最も深刻な症状と言えます。

上記の9つの症状のうち、「抑うつ気分」と「興味または喜びの損失」のどちらかを含めた5つ以上の症状が当てはまる人は要注意。それらの症状が2週間以上ほぼ毎日続き、そのために苦痛を感じたり、生活に支障をきたしていたりする場合は、うつ病の可能性が高まります。

どうしてうつ病になるの?

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うつ病のメカニズムは、実は詳しく解明されていません。現状では、何らかのきっかけにより、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった感情や意思を司る脳内の神経伝達物質の分泌に異常が生じることが原因だと考えられています。

分泌に異常をきたすきっかけは、「精神的・身体的・環境的」要因が多数を占めます。これらは思っている以上に日常的なものなのです。もしかしたらFuminners(フミナーズ)読者の皆さんにも、当てはまるものがあるかもしれません。

精神的要因

うつ病の最も代表的な原因が、精神的なストレスによるものです。具体的には、主に下記の出来事がきっかけで発症する人が多いとされています。

<主な原因>
-仕事や人間関係でのストレス
-家族や親しい人との離別
-仕事や財産の喪失
-幼少期のつらい記憶
-進学、就職、結婚、引っ越し、昇進など環境の変化

また、本来であれば喜ばしい出来事である結婚や就職も、プレッシャーが原因となってうつ病になってしまうケースもあります。

身体的要因

脳や精神状態に影響するような大きな病気のほか、誰もが経験する身体の不調も、うつ病の原因になることが多いと言われています。

<主な原因>
-慢性的な疲労
-月経、出産、更年期などによるホルモンバランスの乱れ
-がんや感染症によるストレス、脳神経への影響

女性の場合、「生理前になるとうつっぽくなる」という人も多いかもしれませんが、これはホルモンバランスの乱れや痛みによるストレスが原因の1つと考えられます。経口避妊薬(ピル)などでホルモンを一定量に保つことで症状が改善される場合もありますが、使用は医師の指示に従って、慎重に行いましょう。

環境要因

うつ病は、日照時間が短くなる秋〜冬にかけて発症しやすくなります。実際に、気温が低く日照時間が短い北欧諸国では、うつ病患者の数が多いと言われています。これは、太陽の光を浴びることでつくられる、気持ちを穏やかにする脳内ホルモン「セロトニン」や、情緒に関わる脳機能を維持するビタミンDが不足するからだと考えられています。

<主な原因>
-日照時間が短い
-低気圧
-寒さ

気圧や気温などがうつ病の原因になることもありますが、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。気圧の低い日に体調が悪くなる、寒さが苦手という人は、事前に体調不良を予防することが、うつ病を防ぐことにつながるかもしれません。

うつ病になってしまったら…自分でできる対処法

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原因不明のだるさや気持ちの落ち込み、体調不良がうつ病によるものである場合があるということをご紹介しましたが、病院へ行く前にどう過ごせばいいのでしょうか。自宅でできる簡単な対処法をまとめてみました。

生活習慣を整える

うつ病そのものの治療には時間がかかるため、できる範囲で症状に対処していきましょう。だるさ、疲労感、食欲や睡眠の異常など、日常生活に影響する症状は、生活習慣を改善することで軽減できる場合もあります。

(1) 日光を浴びる

先にもご紹介したように、日光を浴びることで精神を穏やかにするセロトニンやビタミンDが体内でつくられます。また、朝の決まった時刻に日光を浴びることで、体内時計を正常にする効果も期待できます。

うつ病、うつ状態のときには、どうしても生活にメリハリがつきにくく、生活リズムも乱れがちになります。朝の太陽で体内時計が正常に働くようになれば、身体の中で1日のリズムが整いやすくなっていきます。

<対策>
-朝起きたらすぐにカーテンを開ける
-ベッドから出たら外に出て、太陽の光を浴びる
-夜、寝る前にカーテンを少し開けておく

(2) 無理のない範囲で睡眠の質を高める

不眠傾向の人は、正常な人に比べてうつ病の発症率が約40倍も高まるという研究結果があります。また、不眠が続くと、その日にあった出来事のうち、ネガティブなことの方を記憶してしまいがちになります。そのため、良質な睡眠を十分にとることは、うつ病対策としても非常に効果的といえます。

ただし、無理は禁物。無理に「早く眠らなきゃ」と思うことがストレスにつながり、うつ病が悪化してしまうこともあるので注意しましょう。昼寝は早めの時間に終わらせることがポイント。夕方以降の仮眠は、夜の本来の睡眠の先取りになり、睡眠の質をかえって悪化させることになりかねません。

<対策>
-毎日、同じ時刻に起きる
-就寝時刻にはこだわらない
-眠れない日は無理に眠ろうとしなくてOK、ただし翌朝はいつも通りの時間に起きる
-昼寝は20分以内の短時間に収め、15時までに済ませる

(3) 食生活を改善する

食生活の改善も、うつ病の治療においてはとても重要です。特にうつ病の改善に効果的な栄養素を含む食べ物を積極的に摂るとよいでしょう。牛乳やチーズなどの乳製品は、セロトニンの生成を助けるトリプトファンが多く含まれ、葉酸は神経系の働きを整えてくれると言われています。

最近では、青魚に多く含まれるEPA、やDHAがセロトニンの働きを高め、攻撃性や衝動性を抑えてくれるということもわかっています。

<対策>
-1日3食、毎日同じ時刻に食べる
-朝食はしっかり食べ、夕食は軽めに
-トリプトファンを含む乳製品を積極的に食べる
-葉酸を含むほうれん草、ブロッコリー、レバーなどを積極的に食べる
-EPAやDHAを含むサバやアジ、イワシなどの青魚を積極的に食べる

(4) 運動習慣を持つ

ある研究によると、定期的な有酸素運動は抗うつ剤と同じくらいのうつ病改善効果があり、再発率は抗うつ剤以上だという結果が出ています。さらに、ウォーキングやストレッチングなどの軽い運動は達成感につながり、睡眠の質も高めてくれるので、ぜひ取り入れてみましょう。

負荷が強めの運動は、就寝前に行うと睡眠の質を悪化させるケースもあります。強めの運動は昼間の内に、夜になったらゆったり軽めの運動と、使い分けるのもコツです。

(5)飲酒・喫煙は控える

うつ病で悩んでいる患者さんの中には、不安を紛らわせるため、睡眠薬代わりにお酒を飲む人がいます。しかし、就寝前の飲酒は、睡眠の質を確実に落としてしまいます。お酒を飲むと気持ちよく熟睡できるような感覚がありますが、実際は脳が一種の麻痺状態になっているだけ。質の良い深い睡眠ではなく、眠りも浅くなりがちで途中で目覚めることも多くなります。

また、ほとんどの心療内科や精神科病棟では、患者さんに対して喫煙を控えるよう指導しています。うつ病で精神的に不安定になっている時は特に、依存症を併発してしまう可能性があるためです。お酒や喫煙を控える努力もしてみましょう。

認知行動療法を試す

うつ病の治療において代表的なものに、「認知行動療法」があります。認知行動療法とは、ストレスになる出来事に直面した時、意識的に考え方を変える訓練を積み、ストレスを軽減させる方法です。

まずは、自分が「対人関係の問題」や「職業上、学業上の問題」、「経済的な問題」など、何にストレスを感じているのかを明確にします。問題が明らかになったところで、以下のような点に注目します。

1.問題がどんな状況で起こり、その結果、どのような感情を引き起こしているのか

2.自分の考え方が、感情や行動にどんな影響を与えているのか

3.自分の考え方に特徴やクセはないか

自分がどんな時にストレスを感じ、どう思うのか。また、そこに至るまでの自分の考え方について認識できたら、次のステップとして、自分の考えと現実にズレがないかを整理し、自由な視点で物事を柔らかく見る練習をします。具体的には、以下のような考え方で思考をコントロールしてみましょう。

ストレスに直面したときの考え方
-「今は○○な状況だから/○○なことをされたから、自分は今○○だと感じている」と認識する
-「その程度のことで嫌だと感じてはいけない」など、自分の認識を否定しない
-「これまでは我慢していたから、余計にストレスを感じていた」などのように理解する
-その状況を解決する方法が思い浮かばなくても、「解決できない自分はダメだ」などと考えない

このように、認知行動療法において重要なのは、自分がどんな時にどう感じるかを知ることにあります。自分のストレスの原因を知ることでその原因を意識して回避すれば、ストレスを軽減できます。

医師にかかった方がよいケース

もし、「死んでしまいたい」と感じるほどに思い詰めているのであれば、自宅や職場の近くの心療内科を受診してください。「死んでしまいたい」という考えは、うつ病の最も恐ろしく、末期的な症状です。

早急に診断を受け、気持ちが楽になる方法を探しましょう。もし家族や友人、職場などでうつ症状に悩んでいる人がいたら、適切なタイミングで受診を勧めるのも重要なサポートの1つになります。

うつ病は、誰しもかかる可能性がある病気です。少しでも「調子が悪いな」と感じたら、自分の生活や心の状態を見直してみるとよいでしょう。どうしても病院に行くのに抵抗がある場合は、心療内科の電話相談サービスを利用したり、親しい人に話を聞いてもらったりするだけでも、気持ちが楽になるかもしれません。

一人で悩んで放置してしまうことが、最も悪い選択です。自分の心を大切に、その変化に気づけるようにして、健康的な毎日を過ごしたいものですね。

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)

〈参照〉
うつ病のメンタルヘルスケア

http://utsu.omci-clinic.com/

認知療法・認知行動療法マニュアル|日本認知療法学会

http://jact.umin.jp/pdf/cognitive_patient.pdf

西大輔『元気なうちに知っておきたい! うつ病にならない鉄則』(マガジンハウス)
清水徹男『不眠とうつ病』(岩波書店)
白濱龍太郎『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』(アスコム)

photo:Thinkstock / Getty Images

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提供元:うつ病かも? と思ったら|季節も要因になるうつ病対策|Fuminners

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