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2019.06.10

おねしょの原因と対策|親子でできる卒業メソッド


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子どもの「おねしょ」に悩んでいる育児中のママやパパは多いのでは?

でも、おねしょの原因や病気の可能性についてはあまり知られていません。

そこで、なぜおねしょが起こるのか、おねしょのメカニズムや、親子で取り組めるおねしょの卒業メソッドを紹介します。

目次

-おねしょって病気なの?
-おねしょ&夜尿症の原因とは?
-おねしょの卒業メソッド
-おねしょ(夜尿症)が治らない! 病院で診てもらった方が良いケースとは?
-おねしょで汚れた布団のケア方法
-子どもだけじゃない! 大人のおねしょ「成人夜尿症」

おねしょって病気なの?

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おねしょは「恥ずかしいもの」と思われがちですが、乳幼児期には誰もが経験する、成長の過程に必要なこと。決して悪いことではありません。

おねしょとは

おねしょとは、眠っている間に「おしっこ」をもらしてしまうこと。おねしょ自体は病気ではなく、身体の成長過程で起こりうる生理現象です。

一般的に、生後間もない赤ちゃんや乳幼児は身体が未発達のため、24時間、好きなときにおしっこをします。

成長とともに生活リズムが身について排尿パターンを把握し、さらに膀胱が発達すれば、夜に尿意を感じても意識的に朝までおしっこを我慢できるようになります。

しかし、排尿に関わる器官の成長が遅れたり、器官の働きに異常があったりすると、おねしょがなかなか治らないこともあります。

おねしょと夜尿症の違い

「おねしょ」と「夜尿症」は、どちらも眠っている間に無意識に排尿してしまうことですが、「年齢」によって呼び方が変わります。

乳幼児期のおもらしは「おねしょ」と呼ぶのに対し、就学前の5~6歳以降も1カ月に1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合は「夜尿症」と呼ばれます。

夜尿症の症状が見られる子どもの割合は5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%と減少しますが、10歳児でも5%ほどいます。

Point

<夜尿症の定義>
・5〜6歳以上で睡眠中におしっこをもらしてしまう
・1カ月に1回以上のおねしょが3カ月以上続く

実は頻尿の可能性も

おねしょと併せてチェックしたいのが、日ごろのトイレの回数。

トイレに行く間隔が2時間以下、または日中の排尿回数が8〜10回以上という場合、頻尿と考えられます。

通常、2~3歳くらいになれば、尿意に応じて自分でおしっこが出せるようになり、4〜5歳までには排尿機能も整います。

しかし、排尿機能の成熟が遅れてしまうと、尿をためているときに意図せず膀胱が収縮し、何度も尿意を感じてしまうことがあります。

これが頻尿のメカニズムです。

頻尿の原因としては、不適切な排尿習慣がついていたり、間違ったトイレトレーニングを行っていたりすることが考えられます。

また、排尿時に痛みや不快感がある場合、膀胱炎や尿道炎といった病気の可能性も考えられます。疾患や異常がない場合でも、精神的な要因やストレスが原因で起こる「神経性頻尿」の可能性があります。

おねしょ&夜尿症の原因とは?

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おねしょ(夜尿症)は夜眠っている間に作られるおしっこの量と、おしっこをためる膀胱の大きさのバランスがとれていないために起こります。

では、なぜバランスが悪くなってしまうのでしょうか?

おねしょ(夜尿症)の主な原因

5~6歳を超えても子どものおねしょ(夜尿症)がなかなか治らない時は、下記の原因が考えられます。

(1)夜間に作られるおしっこの量が多い

夜間の尿量をコントロールする上で重要なのが「抗利尿ホルモン」です。

夜になると多く分泌されるホルモンで、眠っている間に作られる尿の量を制御する働きがあります。

通常、成長とともにホルモンの分泌リズムが整っていきますが、夜尿症の場合、抗利尿ホルモンがうまく分泌されず、夜間の尿量が多くなってしまうケースがあります。

また、眠る前に水分を大量に摂取すると、睡眠中に作られる尿量も自然と多くなって、おねしょ(夜尿症)の原因になります。

(2)夜になっても膀胱が広がらない、膀胱の大きさ・容量が小さい

膀胱は夜になると昼間に比べて容量広がり、眠っている間におしっこへ行く回数を減らすシステムになっています。

この機能は成長とともに発達し、夜間は1回につき昼間の尿量の1.5~2.0倍はためられるようになります。

しかし、膀胱の機能が未発達または膀胱が小さい場合は、容量が小さいため、眠る前にトイレに行ってもすぐに尿がたまってしまい、おねしょ(夜尿症)につながってしまいます。

(3)覚醒障害

脳から「おしっこが出そうだから、起きてトイレに行きなさい」という指令が、うまく伝わっていない障害です。

上記の夜間多尿、膀胱容量低下といった症状が起きていない場合は、この覚醒障害が原因となっていることが多いと考えられます。

おねしょ(夜尿症)は、睡眠不足が影響することも

おねしょ(夜尿症)の原因として、睡眠不足も深く関わっているといわれています。

睡眠不足のおねしょ(夜尿症)への影響は、以下のような点が挙げられます。

(1)自律神経の乱れ

排尿は自律神経によってコントロールされています。

睡眠不足によりストレスや疲労などが解消されずに自律神経が乱れると、排尿機能が正常に働かなくなり、おねしょ(夜尿症)の原因になる可能性があります。

(2)抗利尿ホルモンの分泌が減少

眠りが浅くなると、眠っている間に脳から分泌される抗利尿ホルモンが減少します。

さらに、睡眠不足で交感神経が高ぶった状態になると、膀胱が小さくなって十分に尿をためておくことができなくなり、おねしょ(夜尿症)を引き起こしてしまいます。

さらに、おねしょ(夜尿症)への不安が交感神経を刺激し、症状を悪化させるケースもあります。

おねしょの卒業メソッド

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おねしょは子どもだけの問題ではなく、親子で一緒に解決する必要があります。

どうすればおねしょは治る? ママ&パパの心構え

おねしょが癖になっている子どもとのコミュニケーションは、まず以下の4つのポイントを大切にしましょう。

(1)夜に起こさない

「おねしょをしないように」と、夜中に眠っている子どもを起こしてトイレに行かせるのはあまり良い方法ではありません。

睡眠リズムが崩れるだけでなく、抗利尿ホルモンの分泌が妨げられ、逆におねしょが悪化することもあります。

(2)焦らない

子どもがおねしょを卒業するタイミングは、子どもによってそれぞれ異なります。他の子どもと比べて焦る必要はありません。

子どもに「〇〇ちゃんはもうおねしょを卒業したのに」と比較するような発言は厳禁です。

また、親が焦ると子どもも不安になるため、親は大らかな気持ちで、子どもがおねしょを卒業するのを見守ってあげるのが大切です。

(3)怒らない

「なんで、おねしょするの!」と怒っても、根本的な解決にはなりません。

それどころか、ストレスやおねしょに対する不安によって、余計に症状が長引いてしまいます。そもそも、おねしょは子どもが意図して行っているわけではありません。

子どもを叱ることで親のストレスや罪悪感も高まってしまうので、おねしょをしたからといってむやみに怒るのは避けましょう。

(4)褒める

朝起きて子どもがおねしょをしていなかったら、思いっきり褒めてあげましょう。

成功するたびに「すごいね!」と、失敗してしまったら「大丈夫だよ。次は頑張ろうね」と毎日声掛けを繰り返すことが大切です。

子どもはママやパパに褒められるだけで、少しずつ自信をつけていきます。

おねしょ卒業の5つのメソッド

おねしょを卒業するためには、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。家庭で簡単に意識できる方法をご紹介します。

(1)規則正しい生活を送る

不規則な生活は、おねしょを悪化させます。夜更かしを避け、決まった時間に寝かせてあげましょう。

また、睡眠の質を高めるために、就寝の3時間前までには食事を終わらせるのがベター。

早寝早起きはもちろん、朝・昼・晩と決まった時間に食事をとることが生活のリズムを作っていきます。

(2)水分のとり方に気をつける

眠る前に水分をとりすぎるのはNG。夕食時以降に飲ませる水分は、夏などの汗をたくさんかく時期を除き、コップ1杯程度までにとどめてください。

ただし、朝起きたらしっかりと水分補給を。

(3)塩分を控える

塩分の多い食生活を送っていると、のどの渇きから水分を過剰に摂取してしまい、おねしょの原因になります。

味付けの濃すぎるものがないか、子どもの普段の食生活に気を配ってあげましょう。

(4)睡眠時の寒さから守る

冷えはおしっこの量を増やし、膀胱の縮小にもつながります。

特に寒い時期には、下着を温かく工夫したり、靴下を履かせたりするなど、子どもの身体を冷えから守り、温かくして寝かせてください。

(5)布団に入る前にトイレに行く

基本的なことですが、眠る前にトイレに行く習慣をつくりましょう。

布団に入り30分~1時間経っても寝付けない場合は、もう一度トイレに連れていきましょう。

学校でお泊まり行事があるときの対処法

幼稚園や小学校での宿泊行事は、子どもにとって楽しいイベント。

保護者や教育機関の責任者と連携し、おねしょ(夜尿症)の対応策をとっておくことで、子どもも安心して行事を迎えることができます。

(1)夕方以降はあまり水分をとらない、眠る前は必ずトイレへ行く

家庭で心がけているのと同様に、夕方から就寝前までは水分をとりすぎないように意識する、また眠る直前に必ずトイレに行くことを、子どもに伝えましょう。

ただし、行事になると気分が高ぶり、普段気をつけていることができなくなることもあります。必ず、引率や担当の先生に事前に相談しておきましょう。

(2)ぬれても目立たないよう、濃い色のパジャマを用意しておく

もし、おねしょ(夜尿症)で服がぬれてしまっても、恥ずかしい思いをしないように、できるだけ目立たないような衣服を準備してあげましょう。

替えの衣服を余分に用意しておくのも手です。

おねしょ(夜尿症)が治らない! 病院で診てもらった方が良いケースとは?

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おねしょ(夜尿症)は、子どもの成長とともに自然と減っていくものですが、成長しても治らない場合や気になる症状が見られた場合は、医師に相談するのも一つの手です。

病院へ行く判断の目安

「おねしょぐらいで病院に行くなんて」と思うかもしれませんが、下記に心当たりがある場合は、受診してみてはいかがでしょうか。

(1)小学校1~3年生で頻繁に(週3日〜毎日)おねしょをする場合

頻繁なおねしょ(夜尿症)で子どもが自信を失うと、精神面や社会的な面に影響を及ぼすことがあります。

治療によって早期におねしょ(夜尿症)を卒業できる場合もあるため、生活習慣を見直しても改善しない場合は、医療機関の受診をおすすめします。

(2)子ども自身やママ、パパの負担が大きい場合

おねしょ(夜尿症)は、子どもはもちろん、親にとっても心身ともに負担がかかります。

もし、子どものストレスが強まって心身に影響が出ている、おねしょ(夜尿症)が理由で子どもとうまく接することができないなどの場合は、医師に相談してみましょう。

(3)おねしょ(夜尿症)やおもらし以外に気になる症状を併発している場合

おねしょ(夜尿症)以外に気になる症状を併発している場合は、内臓に疾患がある可能性もあります。

漏らすおしっこの量が多い、尿の出かたがおかしい、睡眠障害がある、発熱するなど、子どもの様子に異変があれば、病院に行った方が良いでしょう。

おねしょ(夜尿症)の治療方法

病院では基本的に生活改善のアドバイスを中心に行いますが、その内容をしっかり守っても改善の兆候が見られない場合は下記のような治療法が試されます。

(1)薬物療法

(1)抗利尿ホルモン薬

尿を濃縮してその量を減らす働きがある「抗利尿ホルモン薬」を処方するのが一般的。内服薬と、点鼻薬の2タイプがあります。

(2)抗コリン薬

膀胱の緊張を和らげることで収縮を抑え、尿をためやすくする働きがある「抗コリン薬」を使用します。内服薬のほかに、腹部などに貼るテープ薬もあります。

(2)アラーム療法

眠る前に子どものパンツに小さなセンサーを装着し、おしっこでパンツがぬれるとアラームが鳴る条件づけ訓練法です。

何度も繰り返すことにより眠っている間の蓄尿量が増し、夜間のおしっこの量やトイレに行く回数を減少させる効果が期待できます。

おねしょで汚れた布団のケア方法

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おねしょ(夜尿症)でママやパパが困るのは、汚れてしまった布団や衣服の後始末。時間が経つほど、アンモニア臭や色が染み付いて取れなくなってしまうこともあります。

そこで、少しでもママやパパの負担を減らす、簡単かつ効率的な布団ケア方法をご紹介します。

(1)おねしょ(夜尿症)でぬれた布団にお湯をかける

(1)おねしょ(夜尿症)でぬれた布団を風呂場に持っていき、汚れた部分に40度くらいのぬるま湯をゆっくりかける
(2)(1)を2~3回、臭いが消えるまで繰り返す
(3)乾いたタオルでたたくようにして水分を取る
(4)天日で布団を乾燥させる

Point

おしっこの成分のタンパク質は約70度で固まってしまうので、熱湯はNG。

(2)重曹を利用する

(1)重曹をおねしょ(夜尿症)でぬれた布団にかけて、おしっこの水分を吸い取る
(2)布団の水分を吸い取ったら重曹を取り払う
(3)汚れた部分に、ビネガースプレー(スプレーボトルにホワイトビネガー(食用酢)と水を1対4の比率で入れる)を吹き付けながら、乾いたタオルでたたくようにしてなじませる
(4)天日で布団を乾燥させる

Point

太陽の光には殺菌・消臭効果があります。昼に布団を干したり取り込んだりする余裕がない時は、室内の日当たりが良い場所に干しましょう。

(3)クエン酸を利用する

(1)スプレーボトルにクエン酸水(クエン酸の粉末小さじ2杯と水400ml)を用意する
(2)(1)をおねしょ(夜尿症)でぬれた布団に吹きかける
(3)天日で布団を乾燥させる

Point

クエン酸水がおしっこのアルカリ性を中和してくれるので、臭いが除去できます。

子どもだけじゃない! 大人のおねしょ「成人夜尿症」

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おねしょは子どもだけの問題と思いきや、実は大人になってから発症することもあります。

場合によっては、重大な病気のリスクを抱えている場合もあるので、注意が必要です。

「大人のおねしょ(成人夜尿症)」の原因

中学校高学年~高校生以上になって突然夜尿が始まる場合は、心因性のストレスや肉体疲労だけでなく、脳腫瘍、糖尿病やホルモン異常、その他にも以下のようなさまざまな疾病の可能性があります。必ず医療機関を受診しましょう。

<成人夜尿症を引き起こす可能性のある病気>

■糖尿病
血液中の血糖値が上昇して尿の量が極端に増加するため、夜尿症に悩まされることがあります。

■尿崩(にょうほう)症
1日の尿の量が3リットル以上に増えるため、夜尿症につながることがあります。

■脳梗塞
脳の血管が詰まり、膀胱の動きを調整する神経に異常が起こるため、夜尿症の原因になります。

■脳腫瘍
膀胱の動きを調整する神経の異常によって、夜尿症に悩むことがあります。

成人夜尿症の治療方法

上記のような夜尿症の原因となっている病気が認められない場合は、夜尿症のタイプ別に治療を行います。

夜間の尿量が多い場合は、抗利尿ホルモン製剤で利尿作用を抑制し、膀胱が小さく、尿をためられない場合には抗コリン薬などを使用します。

高校生以上になると、夜尿症の治癒までには2~3年ほどかかります。根気強く治療を続けていきましょう。

おねしょは、子どもの成長を見守る上で避けては通れないもの。

生活リズムを見直すだけでも大きく改善することもあるので、大らかな気持ちで親子一緒に卒業メソッドに取り組んでみましょう。

<参照>
『ポケット夜尿症 診療ガイドライン 2016』日本夜尿症学会著(診断と治療社)

photo:Getty Images

※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

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