メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2018.05.15

家の売却で大損しないための「5つの条件」|「不動産業者任せ」にすると大きな痛手も


家を売る、住み替えるときは要注意。特に離婚や相続などで不動産業者任せにすると大幅に安く売ることになりかねない。「タワマンだから安心」とは言えない(写真:PIXTOKYO / PIXTA)

家を売る、住み替えるときは要注意。特に離婚や相続などで不動産業者任せにすると大幅に安く売ることになりかねない。「タワマンだから安心」とは言えない(写真:PIXTOKYO / PIXTA)

突然ですが、不動産の買い替えや売却をする際、仲介を依頼する不動産業者以外にセカンドオピニオンを聞いたことはありますか。セカンドオピニオンというと、医師や弁護士に治療や相談をする際に行うことがあると思います。不動産取引においては聞き慣れませんが、ぜひ行っておいたほうがいいのです。なぜなら、不動産取引、ひいては不動産業界が私たち消費者にとってブラックボックスになっているところがあまりにも多く、取引の際、不利益を被る可能性が高いからです。

知識と経験がないと仲介業者のいいなりに

私はファイナンシャルプランナー(以下、FP)と夫婦問題カウンセラーの二刀流で仕事をしているため、離婚の際の不動産売却について相談を受けることがたびたびあります。離婚をするとき、ネックになるのが家の処分です。離婚とは関係ない人も、売却や買い替えのときにはトラブルになりやすいので、ぜひこのまま読み進めてください。

離婚が成立するまではたくさんの悩みを抱えるものです。そこに重くのしかかる不動産の売却は、速やかな離婚の妨げになります。離婚の際の財産分与で不動産が絡むケースは40代以降が多いと思います。その年代の方々は、ちょうど夫婦共働きや子育てなどで忙しく、タイトな日々を過ごしています。そんなときに離婚をするとなると、不動産の売却にきちんと向き合うのは難しいものです。一般の人は、ただでさえ不動産取引の知識も経験も少ないので、業者のいいなりになりかねないのです。

私はそういった人から相談を受けることが多いのですが、私自身は宅建資格がないため、業務パートナーであるFP会社の不動産部門と組んで、不動産売買のお手伝いをしています。

FPとして不動産業務に向き合うときのポイントは、まず「ライフプラン」をしっかり立てて、売却時期やローンの兼ね合いを見ていきます。一方、不動産仲介業者はあくまでも「家の売買」に焦点を絞り、顧客の家計状況を考慮することはほとんどありません。

実際、私自身、30代後半から40代前半でマンションの売買を一定数担当しましたが、仲介業者が考慮するのは「住宅ローンが通るかどうか」という査定部分のみで、ローンを組んだ後の「キャッシュフロー」について聞くことは一度もありませんでした。

「専属」「専任」の場合「レインズ」に登録しているか確認を

私自身が扱った案件の話をすると、今年、立て続けに入った2件の不動産売買で不動産業者のルール違反を見つけ、とても驚きました。それは物件の取引形態に絡むものでした。

そもそも不動産売買をするとき、宅地建物取引士の免許を取得している業者に仲介してもらいますが、その際、次の3つの形態があります。3つの契約を一つひとつ見ていただきたいのですが、簡単に言うと、契約をしておきながら、ルールを守らない業者が後を絶たないのです。

●専属専任契約

依頼者(売り主・貸主)が、ほかの宅建業者に重複して依頼することができないと同時に、依頼した宅建業者が紹介する相手以外の人とは取引できない媒介契約。依頼した業者にすべてを託すことになる(以下「専属」)。

●専任媒介契約

依頼者(売り主・貸主)が、ほかの宅建業者に重複して依頼できない媒介契約。上記の「専属」との違いは、依頼者が自ら取引相手を見つけた場合、業者に仲介手数料を支払う必要はないところ(以下「専任」)。

●一般媒介契約

依頼者は(売り主・貸主)は、ほかの宅建業者に重複して依頼をすることができる媒介契約。売り主としては自由度が高いものの、依頼された不動産業者は販売熱が入りづらいため、宣伝告知の面で不利になりやすい。

ここで、皆さんは、「レインズ」という不動産専門のコンピューターネットワークシステムをご存じでしょうか。これは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構(指定流通機構)が運営しているシステムの名称です。このシステムによって、指定流通機構の会員である不動産業者間で物件情報のやり取りができます。不動産売買の経験のある方なら、仲介業者から「レインズ」という言葉を聞いたことがあると思います。このシステム上にアップされる物件情報を基に、「これだ!」という物件を見つけた仲介業者は自社のHPや不動産情報サイトに掲載して、顧客にPRをしていくというのが一般的な流れです。

ただし「取り扱い物件」として紹介されているものは、すべてその仲介業者が物件の持ち主であるオーナーと契約したものではありません。よく見ると、違う業者のHPでも同じ物件が「自社物件」としてPRされていることがあるのです。

媒介契約形態のうち「専属」と「専任」は、売り主から依頼された物件をレインズに登録をする義務があります。それは広く多くの業者に物件を紹介することで、買い主を早く見つけるためです。一方「一般」の場合、レインズへの告知義務はありません。売り主の自由度は高いですが、レインズに掲載されないとPRの幅が狭くなるので不利になります。

売り主にとっては不動産が売れないと、不安になってストレスになります。人によってはいつまでも売れないままだと、何も手につかなくなるほどです。もちろん気になる販売状況については、売り出し期間中は契約している不動産業者に聞くしかありません。しかし業者は一人が抱えている物件数が多く、あまり引き合いのない物件は後回しにしがちです。

こうしたイライラを解消するためにも、大切な資産を預かる不動産業者は売り主に対して、「状況の告知義務」があります。「専属」は1週間に1度、「専任」は2週間に1度、「一般」では義務は発生しません。そのため、売り主の多くは、「専属」か「専任」を選択するのです。

「違法スレスレな行為」がまかり通る不動産業界

ここからが特に問題です。不動産取引を管轄している国土交通省の下、不動産の媒介仲介にはさまざまなルールがあります。しかし、実際にルールが守られているかどうかはわからないのが現状です。ほとんどの人は不動産売買の経験値は低く、業者にお任せするしかありません。不動産業者は総じて「口がうまい人」が多いため、その人の言いなりになることも少なくないのです。

不動産業者は、扱っている商品の価格がほかの業界に比べて高いため、1回成約当たりの利益が大きいのです。また、基本的に在庫を抱えるリスクは低いため、営業力のある人にとっては魅力的な職業です。東日本不動産流通機構の調べによると、2016度の指定流通機構(レインズ)の活用状況は160万件以上あり、そのうち「専属」14%、「専任」30%強、「一般」30%弱、「その他」が26%でした。意外にも「一般」契約も多いですが、それでも「専属」と「専任」を合わせると44%と、約半数は不動産業者頼みなのがわかります。

私が扱ったケースでは、業者が「専属」契約をしていたにもかかわらず、レインズに登録がされていませんでした。私がかかわった取引でたまたまグレーな不正が発覚しましたが、仲介業者に任せきりにしていたら、見つけ出すことが困難だったと思います。

なぜ仲介業者がそうしたかというと、「両手取引」といって手数料を「売り主」と「買い主」の双方から受け取るためです。仲介業は1つの物件に対して、「売り主」と「買い主」がいます。片方を顧客にするよりも、両方を顧客にすることで、1つの物件から手数料が2回とれます。業者からすると、こんなにおいしいことはありません。「専属」で契約をしていたら、ほかの業者に依頼できないので、顧客を縛ることができます。もちろん自ら買い主を見つけてくる自信があるからそうしているのでしょうが、販売窓口が少なくなるので、買い主が見つかる確率は低くなります。すると、成約までに時間がかかるので、顧客にとっては何かとロスが生じるのです。

特に注意しなくてはならないのが、「買い替え」のときです。売り主がすでに次に住む物件を購入している場合、「Wローン」の問題が生じます。顧客の属性(勤務先や年収等の条件)が比較的いい場合、金融機関は買い替え時のローン特約として「万が一、今お住まいの物件が売れない場合は、住宅ローンの返済を◯◯カ月待ちます」という条件を出すところもあります。借りるときは「なんてすばらしい特約だろう」と思いますが、安心してはいけません。

もし売れないまま引っ越しを迎えると、特約の期限が切れて、「Wローンの悲劇」が発生することにもなりかねません。しかも、その間に物件の価格が変動し、当初より安くなってしまうリスクもあります。一方で、新築物件を購入した際には、保険や行政書士の費用、追加オプションの費用など、想像以上にかかります。多くの人にとって「諸費用」の増加や、予定しなかった請求はつらいものがあります。ましてや「Wローン」が発生してしまうと大変です。新しい家に住みながら、前の家の固定資産税や管理費なども支払い続けなくてはならず、家計の破綻を招きかねません。

売り急ぐと「相場より大幅減」で買いたたかれることも

結局、家計の破綻を避けるため、物件を早急に売却しないと大変なことになります。売り急ぐ売り主に対して、場合によっては仲介業者か、または関係業者が物件を引き取ります。その場合、相場の7掛けほどの価格になるケースが多く、売り主のキャッシュフローは痛手を負います。

仮に、5000万円で約定を予定していた物件が3500万円にしかならないと、想定より1500万円もの大幅なマイナスになってしまい、残債分を差し引くと手元におカネが残るどころかマイナスになる可能性が出てきます。

「こんなはずではなかった」と嘆く前に、「セカンドオピニオン」を取るなどの対策をお勧めします。最初に依頼した業者がよい業者なのかどうかを見抜く際のポイントは、主に以下の5つです。

① 立地条件がいいにもかかわらず、内覧が少ない
② その業者以外のHPに物件情報が掲載されていない
(レインズに掲載をしていないから情報が拡散されない。検索サイトで一目瞭然)
③ 顧客からの引き合いがないのにチラシ配布などもしてくれない
④ 契約書に契約期限を書いていない(「専属」「専任」は3カ月)
⑤ 契約時と話が大きく変わってきて、かつ理由が明確ではない

また、離婚や相続の際、名義人が複数いる場合、基本的に媒介契約をするのに全員の同意が必要です。しかし、名義人の誰かが勝手に動いているケースもあって、それに対しては「おとがめがない」のが実情です。実際、私の顧客のケースについて東京都(免許権者は都道府県知事)に確認したところ、「勧告」程度で済まされてしまいました。さまざまな業界でコンプライアンス(法令順守)がこれだけ厳しい時代に、不動産業界がいまだに緩いのが、私には不思議で仕方ありません。

もし所有物件を売り急いでいて、セカンドオピニオンをする際は、FPにぜひ「キャッシュフロー」の相談もしてください。せっかく家を買い替えたのに、引っ越し後の家計状況が悪化し生活の質が低下したら、元も子もありません。現在、幸いなことに都市部のマンション価格は上昇し高止まりしています。そんなに条件が悪くならないうちに多少の値下げをしてでも、早期に売却したほうがその後の人生にとっていい場合が多いでしょう。

記事画像

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

45歳女性が「電撃結婚」で気付いた致命的失敗

持ち家を苦労して買った人が将来抱える爆弾

年収500万円で「億り人」になる地味な方法

提供元:家の売却で大損しないための「5つの条件」|「不動産業者任せ」にすると大きな痛手も|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

日本中で大号令「貯蓄から投資へ」に感じる違和感|預貯金は時代遅れ? 金利が動く今考えたい本質

日本中で大号令「貯蓄から投資へ」に感じる違和感|預貯金は時代遅れ? 金利が動く今考えたい本質

長引く物価高で節約疲れ。無理せずできる節約のコツはないの?

長引く物価高で節約疲れ。無理せずできる節約のコツはないの?

ハワイ旅行も夢じゃない!?「マイル付き預金」って何?注意点は?

ハワイ旅行も夢じゃない!?「マイル付き預金」って何?注意点は?

「昇給」とは?ベースアップとどう違う?産業別の平均額を紹介

「昇給」とは?ベースアップとどう違う?産業別の平均額を紹介

戻る