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2017.12.04

医師が警告!「魔の2歳」の育て方、ここに注意│「叱り方、甘えを許す・・・」その認識は正しい?


「2歳からの育て方」の注意点をご紹介します(写真 : den-sen / PIXTA)

「2歳からの育て方」の注意点をご紹介します(写真 : den-sen / PIXTA)

体とこころを動かす「脳」は、3歳までに約80%完成する。「こころ」が育まれる環境も、脳がつくられる胎児期の初期から始まり、3歳ころまでにその基礎がほぼできあがる――。

新生児医療に25年以上たずさわり、小児科医としても多くの子どもたちと接してきた福岡新水巻病院周産期センター長の白川嘉継氏は、「発育のルール」とも言えるような共通点を実感し、乳幼児の子育てについて悩み、苦しむ多くの親たちの力になってきた。

長年の経験をもとに、「子育ての道しるべ」として刊行した『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』は、親だけでなく教育関係者、助産師、保育関係者など、子育てに関わるさまざまな人たちの支持を受け、10刷3万部を超える「隠れたロングセラー」になっている。

『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』 ※外部サイトに遷移します

「妊娠中」はどのような食べ物に気をつけていけば、元気で健康な子どもが生まれてきてくれるのだろうか――。本記事では「2歳からの育て方」について解説する。

2歳を過ぎると「なんでも自分でやりたがる」

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『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる: 人生でいちばん大切な3歳までの育て方』(クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

2歳を過ぎたあたりから、なんでも「自分でやる」と言うようになっていく子どもが増えるものです。親の言うことをなかなか聞かなくなるため、「魔の2歳児」「イヤイヤ期」と言われることもあります。

とくに2歳後半から3歳にかけては、「言語に関連した脳領域の神経回路」が増加する時期です。そのため、「言葉の発達」が急速に進み、「自己主張する言葉」も覚えていきます。

子どもも2歳児になると、「自己主張」をすることが増え、「自分の力で、何でもやってみよう」と思うようになっていきます。その分、親の言うことを聞かなくなったり、子ども同士でケンカをしたりすることも増えていきます。

しかし、この時期の「なぜ、子どもはこんな行動をするのか」をきちんと理解できれば、余計なストレスを感じることなく、親子とも笑顔で過ごせる時間も増えていくはずです。

では、「2歳児の育て方」は、どのようなことにとくに気をつければいいでしょうか。さまざまな注意点がありますが、その中からいくつか紹介します。

まず、子どもが間違ったことをしたときは「怒る」のではなく「上手に叱る」ことが大切です。

子どもの話をきちんと聞くことの大切さ

【1】子どもを「怒る」ではなく「上手に叱る」

2歳を過ぎると母親から離れて、母親以外の兄弟や友だちとの人間関係をつくっていくようになっていきます。このときに「自己主張」や「我慢すること」も覚えていくのですが、そのため子ども同士の衝突やケンカもしょっちゅう起こってしまいます。

しかしここで、頭ごなしに子どもを否定したり威圧するように怒ったりしないことが大切です。

長々とした説教は、単に親の感情をぶつけているだけになってしまいます。また、子ども時代に激しく叩かれると後に「右前頭前野内側部」などの脳容量が減少したり、日常的に暴言を受けていると「側頭部」の弓状束に変化をきたしたりするなど、脳の発達に悪影響を及ぼすことになってしまうかもしれないからです。

脳の「右前前頭野内側部」や「側頭部」が傷ついてしまうと、感情が不安定なときにコントロールができなくなったり、聞くことや話すことに支障が出てきたりする可能性があります。

子どもがケンカをしたときは、「なぜケンカをしてしまったのか」を聞いて、子どもがきちんと話せたら「きちんとほめる」ようにしましょう。そして、なぜそれがいけないことなのか、相手の気持ちを考えさせるように伝え、「きちんと叱る」ように心がけましょう。

「怒る」と「叱る」の大きな違いは、「怒る」は自分に向いていること、「叱る」は相手に向いていることです。「怒る」は顔を真っ赤にして怒るなど、自分の感情をぶつける行為です。

一方、「叱る」は、相手をよくしようとする行為です。ただし、激しく言ってしまうと子どもは委縮してしまい、効果は低くなると思います。「間主観性」と呼ばれる、「主観でもなく客観でもない、お互いに通じ合う気持ち」を持って伝えることがベストです。

また、子どものいい行動を見つけて「適切にほめる」ことも重要です。

【2】いい行動を見つけて「適切にほめる」

脳神経系には、欲求が満たされたときや満たされることがわかったときに活性化して「心地よい感覚」を与える「報酬系」というものがあります。

この「報酬系」の働きによって、たとえば「この仕事が終わったらボーナスがもらえる」という「長期的な報酬」を予測すれば、「残業で空腹」という「短期的な欲求」を抑えて仕事を優先することができます。

「報酬系」の働きは学習や環境の適応において重要な役割を果たしていますが、子どものうちは、まだこの働きに慣れていません。「これを我慢したら、そのあとでいいことがある」という「長期的な報酬」を子どもは予測できないので、我慢できずに間違った行動をとってしまうこともあります。

でも、このときは、「我慢できなかったことを叱る」のではなく、「我慢できたことをほめる」ほうが効果的です。

「我慢をしたらほめられた」ことで、子どもは「報酬系」の働きに慣れていき、我慢することを覚えていくからです。また、感情のコントロールも身に付いていきます。

子どもの行為を、「してほしいこと」「してほしくないこと」「してはいけないこと」に分け、「してほしくないこと」を我慢してしなかったときに、ほめるのが最も効果的と思います。

また、「してほしくない」行為をしたときに「知らないふり」をすることも大切です。子どもが「ほめてほしいところ」や「言ってほしい言葉」を探して発することも大切だからです。

子どものやる気は「大人の言葉」についてきます。そして、「子どもや他人をほめること」は、心が豊かになり「親が自分自身をほめること」にもつながるのです。

ただし、やたらとほめまくるのは好ましくありません。「子どものどんな行動がよかったのか」という「ほめどころ」を明確にして、上手にほめることが大切です。

「甘やかす」と「甘えを許す」は決定的に違う

最後にもう1つ、2歳児と接するコツは、「甘やかし」ではなく「甘えを許す」という態度で向き合うことです。

【3】「甘やかし」ではなく「甘えを許す」

「甘やかし」と「甘えを許す」ということは同じように聞こえるかもしれませんが、明確な違いがあるのです。

「甘やかし」は、じつは「親の意思が主体」になっています。

たとえば「さみしいから抱っこしてほしい」と意思表示しても、「忙しくて手が離せないの。そのかわり冷蔵庫のケーキを食べていていいよ」と、子どもがほしいものとは別のものが与えられたとします。

このとき、親は「ケーキを食べている間はおとなしくしてくれている」と好都合に思いますが、子どもは「抱っこしてもらえない」さみしさを「ケーキ」で紛らわすことになります。じつは、このときの「ケーキ」が「甘やかし」なのです。

子どもはケーキが食べられたのですが、抱っこをしてもらえていないさみしさはそのままで心は満たされていないので、「人と接する」よりも「物欲」でさみしさを紛らわすことを覚えるようになっていきます。

一方、「甘えを許す」は「子どもの意思が主体」です。子どもが「さみしいから抱っこしてほしい」と意思表示をしたときに、「いいよ、おいで」と、さみしい気持ちに寄り添って助けてあげることが「甘えを許す」ことです。

しかし、何でもかんでも子どものいうことを聞いてあげるということではありません。適切な「甘えを許す」行為の大切なポイントは、「困ったときに助けを得られる」心地よさを教えてあげることです。

「甘やかし」だけでは将来、人間関係で苦手意識を持ってしまうかもしれないので、適切な範囲で「甘えを許す」ようにしましょう。

「人生の基盤」は、3歳までに大きく決まる

2歳をすぎると自分の力で行動をするようになるので、親から離れて兄弟や友だちなどとのコミュニケーションも、さらに必要になってきます。

当然、子ども同士のケンカや衝突は避けられないのですが、そんなときこそ「叱るだけ」でも「甘やかすだけ」でもなく、「子どもと同じ目線」になって、子どもの気持ちに寄り添ってあげましょう。

小児科医として25年間、たくさんの子どもたちと接してきて身をもって実感するのは、「3歳までの育て方で、その後の『人生の基盤』は大きく決まる」ということです。人との接し方、感情コントロールなど、3歳までの育て方で、その後の人生が大きく変わる、ということは少なくありません。

ぜひ、「3歳までの子育てのコツ」を知って、子どもが将来、強く明るく過ごすことができる手助けをしてほしいと思います。

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提供元:医師が警告!「魔の2歳」の育て方、ここに注意│東洋経済オンライン

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