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2017.10.10

医師が警告!「妊娠中の食べ物」、ここに注意│「肉は?魚は?調理法は?」ポイントを解説


女性だけではなく、ぜひ男性にも知っておいてほしいテーマです(写真:msv / PIXTA)

女性だけではなく、ぜひ男性にも知っておいてほしいテーマです(写真:msv / PIXTA)

体と心を動かす「脳」は、3歳までに約80%完成する。「心」が育まれる環境も、脳がつくられる胎児期の初期から始まり、3歳ころまでにその基礎がほぼ出来上がる――。

新生児医療に25年以上携わり、小児科医としても多くの子どもたちと接してきた福岡新水巻病院周産期センター長の白川嘉継氏は、「発育のルール」とも言えるような共通点を実感し、乳幼児の子育てについて悩み、苦しむ多くの親たちの力になってきた。

長年の経験をもとに、「子育ての道しるべ」として刊行した『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』は、親だけでなく教育関係者、助産師、保育関係者など、子育てにかかわるさまざまな人たちの支持を受け、9刷3万部を超える「隠れたロングセラー」になっている。

『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』 ※外部サイトに遷移します

「妊娠中」はどのような食べ物に気をつけていけば、元気で健康な子どもが生まれてきてくれるのだろうか――。本記事では「妊娠中の食べ物」について解説する。

「やせすぎの女性」が突出して多い日本

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『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる: 人生でいちばん大切な3歳までの育て方』(クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

妊娠中は、誰もが「元気で健康な赤ちゃんが生まれてきてほしい」と願いながら過ごしているものです。

そのためには、母親は「赤ちゃんにとって必要な栄養」を、食事を通して取ることが大切なのですが、最近は「やせすぎの女性」が増え、先進国の中でも日本が突出して多く、「母体の栄養不足や低体重」が問題視されています。

実は、「母体の低体重増加」と「低出生体重児の増加」には、ほぼ相関性があります。

一時期は、「胎児の成長が過剰にならないように」と妊婦の栄養制限が行われていましたが、「胎児期の栄養状態が成人病発症と深く関係している」という「成人病(生活習慣病)胎児期発症説」が唱えられるようになるなど、最近では「適切な体重増加は必要」という考えになってきています。

もちろん、「高栄養食を取らなければならない」ということではありませんが、脳がつくられる胎児期に「どのような食べ物」を摂取するかによって、赤ちゃんの発育にも影響が出てくるのです。

では、「妊娠中の食べ物」は何に気をつければいいのか。さまざまな注意点がありますが、その中からポイントを3つ紹介しましょう。

まず、いちばん気をつけてほしいのが、「肉の生食」です。

「DHA」「EPA」は、妊娠中も産後も助ける

【1】「肉の生食や不十分な加熱」は要注意

妊娠中に「トキソプラズマ」という原虫の一種に初感染すると、胎児は30~40%の確率で「先天性トキソプラズマ感染症」を発症します。

「先天性トキソプラズマ感染症」を発症すると、水頭症や脳内石灰化などによって発達が遅れる可能性があります。

「トキソプラズマ」は多くの温血動物に寄生します。ほぼすべてのほ乳類や鳥類は感染の可能性がありますが、特に「羊肉・豚肉・鹿肉は寄生しやすい」といわれているので注意が必要です。

「トキソプラズマ」は「生食や不十分な加熱」による感染が知られていますが、包丁やまな板などの調理器具からほかの食材や手にうつることもあります。

この感染を防ぐために、妊娠中の「肉の生食」は控えるようにしましょう。

【2】魚には「必要な栄養」がいっぱい(ただし大型回遊魚はNG)

最近は「魚の摂取量が減ってきている」といわれていますが、魚には大切な栄養が多く含まれています。

たとえば、週に1回魚を食べた妊婦とまったく食べない妊婦を比べたとき、魚を食べた妊婦の子どもは、小児ぜんそくやアレルギー性皮膚炎にかかる危険度が43%も低下したという研究報告があります。

これは魚油にある「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」が影響しているからです。

このほかに、妊娠中に「DHA」を積極的に取ると早産率が低下したり、「EPA」を多く取ると出産後に気分が沈む症状(いわゆる「マタニティブルー」)が出にくくなったりと、妊婦にとっては「いい効果」がたくさんあります。魚は意識して取ることをお勧めします。

ただし、マグロなどの大型回遊魚は「水銀の摂取」を避けるために控えたほうがいいでしょう。

最後は、多くの方が意識している「お酒のリスク」です。「ちょっとなら……」と思っても、赤ちゃんには大きな影響をたくさん与えてしまいます。

【3】たばこと一緒の「お酒」はリスクがさらに高まる

たばこはもちろんダメですが、それにお酒が加わってくると、赤ちゃんへの悪影響はさらに大きくなり、たとえば「低出生体重児」となる確率が30%近く増加するという報告も出ています。

また、妊婦の飲酒による「FAS(胎児性アルコール症候群)」は1万人に1人発症するとされています。

「FAS」は発育が悪く、頭やあごが小さいという特徴があるほか、小脳・脳梁・前頭葉などが萎縮するなどの障害が起こります。

そのため、「集中力や注意力が持続できない」「計画性をもった行動ができない」などの「学習・行動上の障害」や「自己の感情抑制ができない」など、社会生活に困難が生じてしまいます。

妊娠中は、喫煙はもちろん、飲酒のリスクにも十二分に注意してください。

子どもの人生は「妊娠中」から始まっている

「妊娠中でも太りすぎはいけない」と思って体重ばかり気にしても、必要な栄養を取らないと、元気で健康な赤ちゃんは生まれてきません。

でも、食べ物に神経質になりすぎてストレスをためてしまっては、いくら食べ物に気をつけても効果は薄れてしまいます。

毎日の食生活ですから、一緒に生活をしているパートナーや家族の協力も必要になってきます。お互いに協力し合って、赤ちゃんに必要な栄養を意識しながら日々の食生活を考えてみましょう。

子どもの人生は「妊娠中」から始まっています。ぜひ、「妊娠中の正しい過ごし方」を知り、みんなで子どもを守ってほしいと思います。

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提供元:医師が警告!「妊娠中の食べ物」、ここに注意│東洋経済オンライン

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