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2017.09.13

不安に強い人は「考えない」を習慣にしている│1日16時間、9年歩いた僧侶が悟ったこと


1日5分“小さな修行”を実践してみませんか(写真:Aoao2981 / PIXTA)

1日5分“小さな修行”を実践してみませんか(写真:Aoao2981 / PIXTA)

電車にいる人の大半がスマホにかじりついている現代。つねに新しい情報が更新され、周囲からの反応が気になっている状態といえるのではないでしょうか。

こうした状況においても、ストレスを抱えず、笑顔で仕事や物事を軽やかにこなしていくために、最も必要なことは「自分の心をコントロールする技術」であると塩沼亮潤氏(新著に『歩くだけであらゆる不調が消える歩行禅のすすめ』)は語ります。

『歩くだけであらゆる不調が消える歩行禅のすすめ』 ※外部サイトに遷移します

荒々しい歩みは困難を増やすだけ

私たちの人生は、毎日が小さな修行の連続です。幸せを求め、困難に耐え、この世に生きる意味を問いながら、人生の曲がりくねった道をひたすらに前へと歩み、人それぞれの旅を続けています。

その道のりは、晴天ばかりではありません。ときに、悲しみや理不尽に襲われて涙で泣きぬれたり、怒りやつらさに震えたりすることもあるでしょう。

そんなふうに感じてしまうとき、いちばん大切なのは、そのつらさ、苦しさ、悲しさの波にのみこまれないように自分の心をコントロールすることです。

私がかつて経験した「大峯千日回峰行」は、自分の思いどおりには決していかない大自然を相手にする、厳しく険しい修行でした。前回記事でもご紹介したように、これは奈良県吉野山の金峯山寺蔵王堂から大峯山と呼ばれる山上ヶ岳までの往復48キロメートルを1日16時間かけて歩き、それを1000日間、雪で山が閉ざされる期間を除いて足かけ9年にわたり続けるというものです。1000日間の行程はまさに、私たち人間が生まれてから死ぬまで歩む“ままならない人生”のようです。

前回記事:「つぶやきながら歩く」と不調が消えるワケ ※外部サイトに遷移します

行に入ったばかりの頃は、お山の過酷な環境との戦い、自分を襲う苦難との戦いに心がとらわれていました。当時24歳という若さだったこともあり、「命の1つや2つ、落としてもどうってことはない」という驕った気持ちで力まかせに駆け、山道を踏破しようとしたのです。

しかし、すぐに足腰が悲鳴を上げ、体力は激しく消耗しました。この調子では、1000日間歩き続けることなど到底できません。

「自分が、自分が」と荒々しく戦いながら進むのでは、お山の自然から反発を招いて、かえって困難が増えるだけ。環境に逆らわず、調和して歩まなければならない――そして、これは「人生の歩み方」とまったく同じだと悟ったのです。

人生を歩くための杖となる“小さな修行”

冒頭にも書いたように、人生には晴天の日もあれば、雨の日もあります。雨ばかり続いて晴れ間の見えない梅雨のような時期もあれば、一歩進むことさえできない嵐の日、ときには、大災害のような未曾有の試練に見舞われるタイミングもあるかもしれません。

そのような人生のつらい局面を少しでもスムーズに乗り切るためにも、「環境に逆らわず、調和して歩む」という意識はとても大事です。

では、自分の置かれた環境を受け入れ、調和して歩むための秘訣とはどんなものでしょうか。日常のなかで実践していただけるように、“心のエクササイズ”としてご提案、ご紹介したいと思います。

【エクササイズ1】イラッとしたら、まず自分の行動を振り返る

対人関係で何かイラッとすることがあったら、すぐに相手のことを責めたくなるのが人間です。しかし、そこでぐっとこらえ、ちょっとひと呼吸おいて、自分の行動を振り返ってみてください。

自分の都合だけを考えていませんでしたか? 自分の態度や言い方に問題はありませんでしたか? 相手の事情に対して配慮が欠けていませんでしたか?

イラッとしたり、ムッとしたりする出来事に遭遇したとき、私たちは条件反射的にネガティブな気持ちに心が支配されます。そして、意識的に切り替えないかぎり、ネガティブな“心の闇”はどんどん増幅していきます。

具体的には、「さっきの出来事、イライラするなあ」「あの人、ムカつくなあ」ということを反復して考えれば考えるほど、その気持ちは大きく、根深くなっていくのです。

お釈迦様は、いっさいの苦から解放されるには「恨み」から離れ、「執着」を捨てることだと説かれました。そのとおり、これらがまさに俗世の不幸の根源です。

嫌な出来事があったときの対処法としては「心に生まれたネガティブな気持ちを深追いせず、嫌な出来事をそれ以上頭に思い浮かべないこと」が正解なのですが、これは少々難しいかもしれません。そこで、「自分の行動はどうだったかな?」と一歩引いた目線を取り入れてみるのです。

このワンアクションによって、その分だけ、ネガティブな気持ちの占める割合が減るというわけです。

【エクササイズ2】心配事や不安があっても、あえて考えない

不安や心配、不平不満といった心の動きは、自分の外側からもたらされることに対する反応です。 

外的環境は、いつも自分が期待するとおりのお膳立てが整えられているわけではありません。そんな人生の「どうにもならなさ」を、どうにかしようと思わないこと。自分の思いどおりにならないことに対して、どうにかしたいと思う心のとらわれを捨てることです。

そのためには、目の前の出来事に一喜一憂しないことが肝心です。困った事態も、苦しい状況も、「しょうがないな」と、あるがままに受け止めましょう。そして、クヨクヨと無用に悩む時間を減らしましょう。ましてや、怒りにまかせて誰かを責めたり、うまくいっている他人を妬んだりすることは、自ら不幸のスパイラルに飛び込むようなものです。

目の前の不平不満にとらわれるのではなく、明るい要素や感謝すべきことに目を向ける努力をすることが、人生の幸せへの第一歩です。前回記事で紹介したお釈迦様の言葉どおり、人間は、自分の心の向いた方向に人生のエネルギー、すなわち運気が運ばれます。その結果を私たちは「運がよい」とか、「運が悪い」とか呼んでいるだけなのです。

言葉のもつエネルギーは強大だ

【エクササイズ3】ネガティブな言葉を避け、ポジティブな言葉だけで過ごす

言葉のもつエネルギーは、実に強大です。前向きな言葉は、よい運につながります。ポジティブで明るい言葉を使うと、ポジティブで明るい現実を作り出せますし、逆に、のです。ネガティブで゙暗い言葉は、ネガティブで暗い現実を作り出す

ネガティブな言葉とは、「嫌だ」「嫌い」「できない」といった否定的な言葉や、「でも」「だって」「どうせ」といった言い訳の言葉、それに「うざい」「むかつく」などの攻撃的な言葉です。また、「運がない」「いいことがない」「おカネがない」「つまらない」といった、自分の現状に対する不平不満も、ネガティブな言葉の仲間に入ります。

「不平不満や愚痴を吐き出すことで、ストレス解消になるんだ」と言う人もいるかもしれませんが、本当の意味で心が晴れることはありません。ネガティブな言葉は、まるで人生をマイナスの方向にひっぱる呪文のように心のなかに堆積していき、あなたを幸せから一歩遠ざけてしまいます。

では、ポジティブな言葉とはどんなものでしょうか? 前回記事でもご紹介した歩行禅のキーワードでもある「ありがとう」という感謝の言葉は、その代表格です。

前回記事:「つぶやきながら歩く」と不調が消えるワケ ※外部サイトに遷移します

その他、相手に対する敬意と肯定を表す「はい」という返事、また「いいね」「おいしいね」「すてきだね」「楽しい」「幸せ」といった幸福感を表現する言葉や、「お疲れさま」「調子はどう?」「無理しないで」といった慈愛の言葉も、ポジティブな力に満ちています。

ここに挙げた3つのエクササイズは、お釈迦様の教えや、私自身が修行で得た悟りがベースになっています。歩行禅と同様に、自分の心をコントロールするための“心の鍛え方”でもあります。

まずは、1日のうち5分だけでも“小さな修行”を実践してみてください。それを日々継続していくことで、苦難を軽やかに乗り越え、幸せを引き寄せて不幸を遠ざける生き方が自然と身に付いていくはずです。

記事画像

『歩くだけで不調が消える 歩行禅のすすめ』(クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

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提供元:不安に強い人は「考えない」を習慣にしている│東洋経済オンライン

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