2017.09.01
クレーム対応が「泥沼化」する人の7つの特徴│理不尽クレームも「まず全部言わせる」がキモ
自分のミスでなくても、クレーム電話の対応をしなければならないときがある。うまく切り抜ける方法はあるのだろうか (写真:EKAKI / PIXTA)
4月に入社した新入社員のなかには、現場でお客様や取引先と接し始めている人も多いことだろう。そこで、避けては通れないのが「クレーム対応」だ。
たとえ自分がミスをしてなくても、ほかのスタッフのミスについて、顧客や取引先から文句を言われることもある。そんなとき、対応の仕方を間違えれば、ますます相手を怒らせてしまい、大きな問題に発展しかねない。
新入社員がやりがちな初歩的なミスとは?
そうならないためには、どのようなクレーム対応を心掛けるべきか。「新入社員がやってしまいがちな初歩的なミス」をピックアップし、その対処法を紹介する。余計な大炎上を防ぐために、ぜひ頭に入れておいてほしい。
1 事情を聞かずに、ひたすら謝ってはいけない
電話や窓口でお客様からのクレームが入ったら、まずは謝るのが鉄則だ。一言も謝らないでいると、「自分は何も悪くない」と主張しているように見え、相手の怒りを増幅させてしまう。
ただ、「とにかく怒りを鎮めよう」とひたすら謝ることも間違った対応だ。相手に非がある場合でも、すべてこちらのせいになりかねない。また、「謝れば良いと思っているのではないか」と受け取られる。
正しい対応は、「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」と不愉快な思いをさせたことだけを謝ることだ。そのうえで、クレームの内容を具体的に聞いて、状況を確認していく。このような対応をすれば、責任のないことまでかぶらずに済む。
2 無表情・棒読みで謝ってはいけない
謝るときには、当然、正しい敬語を使うことが求められるが、言葉遣いに関しては、ほとんどの人が正しく使えているとはいう。「むしろ、多くの若手社員に見られる問題は『態度』です」と語るのは、『どんなクレームも絶対解決できる!』著者の津田卓也氏だ。
普通、謝罪をするときは、申し訳なさそうな表情をして、感情のこもった声で伝えるものだ。ところが、能面のような「無表情」で、棒読みで謝罪する若手社員は珍しくないという。
当然、それでは相手に「慇懃無礼だ。本当に謝る気があるのか」と思われ、火に油を注ぐ。しかし、当の本人は、まったく悪気がないことが多いそうだ。
「普段、ネットでのコミュニケーションが中心だからか、表情や声色の重要性をあまり認識していないようです。しかし、極端な話、謝罪するときは、言葉遣いよりも、表情や声色などで謝罪の思いを表すほうがよほど重要です」(津田氏)
「言いたいことは全部言わせる」がコツ
3 相手の話の途中で、反論してはいけない
お客様からのクレームは、理不尽なことも少なくない。無茶苦茶なことを言われれば、理詰めで反論したくもなるだろう。また、会社のルールで応じられないケースでは、「会社のルールで決まっているから無理です」で押し通そうとしがちだ。
しかし、早く終わらせたいからといって、話が終わらないうちに説得しようとすると、お客様は反発し、事態はこじれてしまう。
クレーム対応では「お客様の言い分をしっかり聞き切る」ことも大切だという。そうすることで、お客様も「自分の言い分をしっかり聞いてくれている」と感じる。言いたいことがすべて言えれば、スッキリして、怒りが収まることも期待できる。
また、しっかり聞いていけば、お客様がなぜ怒っているのか、真の原因を突き止められ、適切な解決策が打ち出せる。実はこちらに非がなく、お客様が勘違いしていることなども見えてくる。「クレーム対応は情報戦。いかに相手から多くの情報を引き出すかがカギだと心得ましょう」(津田氏)
4 相づちを打たずに話を聞いてはいけない
「相手の話を聞くこと」の重要性はすでに述べたが、「聞くことに関しても、謝るときと同じ問題がある」と津田氏は言う。話を聞こうとはするが、相手の話に対して「無表情」「うなずかない」「相づちを打たず、無言」という若手社員は、意外なほど多いという。
「相手の話に反応しなければ、真剣に聞いていないとみなされ、さらに怒らせてしまうこと必至です。こちらも、悪気なくやっている人は多いので、気をつけてください」(津田氏)
5 電話は小さな声でしゃべってはいけない
クレームの電話を取ったときに注意したいのは、「声の大きさ」。お客様の剣幕にビビってしまい、声が小さくなると、「何を言っているのかわからん!」と余計に怒らせることになる。
「声が小さいと、『こいつは気が弱そうだから、何を言っても大丈夫だ』と思われて、お客様がより攻撃的になることも」(津田氏)。自分では声を張っているつもりでも、声が小さいという人も少なくない。気になる人は、周囲の先輩などに、自分の声の大きさはどうか、確認してみよう。
たらい回しは、できるだけ防ぐ
6 クレームの内容をメモしないで対応してはいけない
クレームをつけてきたお客様を怒らせる原因としてよくあるのは、「複数の人に何度も同じことを聞かれること」だ。特に電話のクレームのとき、最初に電話に出た人に説明したのに、次に出た人にもう一度最初から説明するということがあると、「何度も同じことを言わせるな!」と、怒りを増幅させてしまう。
クレームをつけてくる人は、担当者などを考慮せずに、電話に出た人に対して、いきなり怒り出すことも少なくない。そんなクレーム電話を受けたときには、あなたが担当者でなくても、その内容をしっかりメモしておこう。それを担当者に伝えることで、大炎上を防げることがある。
また、他部署に案件を転送する際にも、たらい回しにならないよう、回答ができる担当者に的確につなぎたい。そのためには、常日頃から、会社の中で、どの部署がどんな仕事をしていて、誰が対外的な窓口になっているのか、把握しておくことが重要だろう。
7 「少々お待ちください」といって、何時間も待たせてはいけない
クレームを受けたとき、新入社員は、その場で判断できないことのほうが多いだろう。その場合、「少々お待ちください」と言って、お客様を待たせることがあるはずだ。
このときに注意したいのが、「少々」といって、何時間も待たせないことだ。「怒っているとき、お客様は気が短くなるもの。『少々』と言われれば、数分から数十分程度で連絡が来る、と思い込んでいることが少なくありません」(津田氏)。
そんなお客様を数時間待たせれば、イライラをどんどんためこむ。状況が見えないと「放っておかれているのでは?」などと思い込むものだ。ようやく連絡したら、「全然『少々』じゃない!」とキレられる可能性は高い。
このようなミスを防ぐためには、数十分で解決できなければ、「まだ調査しております」などと途中経過を報告することが大切だ。状況が見えれば、少しはお客様のイライラを鎮めることができる。
また、返事を別の同僚やほかの部署からしてもらう場合も、クレーム内容を伝えると同時に、「お客様は返事を急いでいます」「今日中に連絡がほしい」といったような情報も併せて伝えておいたほうがいい。
こうした策を講じても、相手がさらに強硬な姿勢になったり、大きな問題に発展するおそれがあれば、ひとりで抱え込むことはせず、速やかに先輩や上司に判断を委ねたほうがいいだろう。
クレーム対応は一筋縄ではいかないものだが、以上の初歩的なミスをなくせば、少しはお客様を怒らせるトラブルを減らせるはずだ。
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提供元:クレーム対応が「泥沼化」する人の7つの特徴│東洋経済オンライン