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2017.07.24

私がいないとダメ・・・「共依存夫婦」が抱える闇│「支配・服従」の関係性に陥っていませんか?


「献身的な妻」のつもりが、思わぬ落とし穴にハマッているかもしれません(写真:しげぱぱ / PIXTA)

「献身的な妻」のつもりが、思わぬ落とし穴にハマッているかもしれません(写真:しげぱぱ / PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ(R)」の大野萌子です。

あなたは、パートナーとどのような関係性を築いていますか。良き理解者、この世に唯一無二の存在として支え合っていければ理想的ですが、ときに「彼をサポートできるのは、私だけ」「彼を理解できるのは、私しかいない」と思うことはないでしょうか。実は、ここには危険な因子が含まれており、一歩間違うと、ゆがんだ“共依存”関係になりかねません。

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「あなたには私しかいない」は危険信号

もっとも、人間関係はすなわち依存関係なので、共依存そのものに問題があるわけではありません。ただ、「あなたには私しかいない」という感覚は、共依存関係がゆがんでしまっている可能性があります。

ゆがんだ共依存は、相手からの攻撃によって支配と服従の関係を起こしやすくなります。すると、服従の側は自分自身の意思や気持ちよりも相手の機嫌ばかりに気をとられて、疲弊してしまうことになります。

極端な例としては、暴力を振るう夫に苦しみつつ、耐え続ける妻、といった関係が挙げられますが、やっかいなのは見えにくい攻撃の場合です。知らず知らずのうちに、パートナーから「支配」されているかもしれません。

以下のチェックリストで、一つでも当てはまるものがあれば、ゆがんだ共依存関係にある可能性があります。その数が多いほど、支配されている度合いは高くなります。

・自分の気持ちより、パートナーの気分が自分の行動基準になっている
・パートナーがいる前で、友達と電話をしたくない
・パートナーが気分を害すると、何とかなだめようと一生懸命になる
・友達や親との交友関係が密だと、パートナーが良い顔をしないため、周囲の人と疎遠になりがち
・予定より遅く帰ることは、とてもハードルが高い
・自分が欲しいものでも、パートナーが嫌な顔をすれば買えない
・パートナーに対して意見することに、エネルギーがいる

「見えにくい攻撃」4パターン

それでは、ゆがんだ共依存関係にある場合に相手はいったいどのような攻撃をしてくるのでしょうか。見えにくい代表的な例としては、以下のようなものが挙げられます(今回は説明をわかりやすくするために妻=服従側として書いていますが、夫がこの立場になることも十分にあります)。

1. 理不尽なダメ出しをされる

「君が旅行日程を決めたら、雨が降ったじゃないか!?」「せっかく飲み会を断って帰ってきたのに、こんなおかずしかないのか!?」などといった理不尽な言葉かけをしてきます。じわじわと、「自分を不愉快にさせているのはあなた」と思わせていくのです。

こうした攻撃は、相手の考え方の批判や否定の形をとることもあり、さらに言葉だけでなく、妻が友達と会っている時に些細なことで頻繁に連絡を入れる、帰宅したら明らかに機嫌が悪いなど、行動や態度に表れることもあります。妻側は、これらを「自分の非」と捉えず、「相手からの攻撃」と認識することが大切です。

2. 優しさの賄賂を送る

強い口調で攻撃したあとに、プレゼントを贈る、家事を手伝うなど優しさを見せたり、必死に謝ってきたりします。すると、「こんなに優しい人を怒らせてしまった私が悪い」と思ってしまいがちです。ただ、これはDVのハネムーン期にあたる言動で、相手をコントロールするものです。

これが、嫌な気分を味わった後にもかかわらず「やっていける」と思ってしまう罠(わな)です。離れたいという思いがありながら、離れられない原因の多くは、このコントロールによるもので、心理的な鎖となります。

3. 幼児性のある言動をする

「自分のことを愛しているか」と繰り返し聞いてくる、自分の趣味や嗜好に対し、必要以上に同感対応を求めてくるなどの言動があります。妻側は、相手からの要求をうっとうしいと思いつつも、必要とされている感覚に陥る傾向があります。一緒に出掛けた先で、探してほしい、気づいてほしいがごとく、ふらっといなくなるなどの行動に表れることもあります。

ただ、これは小さな子供が母親に対して、なんでも「見て見て!」と要求する気持ちに類似するもの。相手に幼児性があることに気づいてください。執着や依存心を「愛情」と錯覚しないことです。

4.「あなたのため」というフレーズを使う

相手を苦しめる人は、「あなたのため」というフレーズを使う傾向にあります。一見、「自分のことを考えてくれているんだ」とありがたく思うかもしれませんが、この言葉に支配欲が隠れていることを、使っているほうも使われているほうも無自覚なことが多いのが問題です。これは感情的恐喝と言われ、愛情や信頼を引き合いに出すことで、相手の罪の意識を刺激して、いいように相手を利用するための関わりだということを理解することが必要です。

以上のような攻撃を受けると、服従側は「自分が悪いのでは・・・」という罪悪感を抱きがちです。その葛藤とどう向き合っていくか、どのように相手とかかわることが大切になってきます。

「私のせいかも」と思うのをやめるのが初めの一歩

誰にでも、自分の意見を通したい、相手に自分と同じ感覚を持ってほしい、自分のペースを乱されるのは面白くない、という自然な欲求はあります。ただ、健全な関係性の中では、相手と自分の境界をしっかりと意識し、折り合う地点を、お互いの気持ちを大切にしながら模索していきます。

一方、攻撃性のある支配と服従の関係では、相手をやり込めたい、何とかして相手を思いどおりにさせたい、という思いが根本にあります。相手が思いどおりにならない場合は、攻撃の程度をエスカレートさせていく形となり、最終的には肉体的な暴力に至ってしまう可能性もないとは言えません。

相手から攻撃された場合は、これが相手からの支配だということに気づき、罪悪感を手放すことが最初の一歩となります。そのうえで、相手の論理に引きずり込まれないよう意識しましょう。正論を返しても、そもそも相手の理論は破たんしていて、わけがわからないものです。それに対して、誠実に答えようとする必要はまったくありません。真に受けないことが大切です。

また、相手が謝ったら許すというのも考えものです。「こんなに謝っている」「土下座をして涙まで流した」からといって、のど元過ぎれば元の関係に戻ってしまうようであれば、謝罪は単なる儀礼にすぎません。毅然とした態度で臨みましょう。

自分一人で対処できない場合は、周りの人に助けを求めたり、男女参画センター等の相談を利用することも視野に入れてみましょう。支配されていることに気づき、対処することが大切なのです。すっかり自分を追い詰めてしまい、気力を失い逃げ遅れる前に、是非行動を起こしていただきたいと思います。

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大野 萌子 :日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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