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2024.12.08

ストレスによる「めまい」を改善する4つの習慣|「耳の治療」だけではなく、「心のケア」も必要


耳鼻咽喉科での治療だけでは改善しない「ストレス性のめまい」の対処法とは(写真:psisa/PIXTA)

耳鼻咽喉科での治療だけでは改善しない「ストレス性のめまい」の対処法とは(写真:psisa/PIXTA)

「めまい」の原因の多くは「耳」にありますが、横浜市立みなと赤十字病院めまい平衡神経科部長の新井基洋氏によれば、じつは「心の状態」も深く関わっているそうです。
耳鼻咽喉科での治療だけでは症状が改善しない、そんな「ストレス性のめまい」は、どう対処すればいいのか。新井基洋氏の著書『1万人を治療してきた名医が教える 自力で治すめまいのリセット法』から、一部を抜粋・編集して解説します。

めまいは、じつは「心の病」でもある

「心の状態」と「めまい」には、深い関わりがあります。実際、引っ越しや転職など、環境が変わったり、ショッキングな出来事をきっかけに、めまいの発作を起こす人がたくさんいます。

さらに悪いことに、めまいのつらさは他人には理解されないことが珍しくはなく、仕事を休んだりすると「さぼっているんじゃないの」などと、心ない言葉を投げかけられるようなこともあります。すると、症状がより重くなるという悪循環に陥ってしまいます。

病院をはしごしてもなかなか病名が判明せず、私のところにやって来て、つらいめまいの原因があきらかになっただけで、心が軽くなって表情が明るくなり、症状がやわらぐ人もいます。

このような例からもわかるとおり、ストレスはめまいの症状を悪化させることが医学的にあきらかになっていて、次にあげるような傾向がある人はめまいの発症率が高いことがわかっています。

・ネガティブな感情を抱きやすい人
・イライラしやすい人
・真面目で几帳面な人

ストレスが原因となる代表的なめまいの病気が、

・持続性知覚性姿勢誘発めまい
・メニエール病
・片頭痛性めまい

です。とくにメニエール病は「耳のストレス病」とも言われています。
私たちの耳は、じつは非常に繊細で、ストレスの影響をとても受けやすい器官です。強いストレスを感じたとき、心は壊れないように踏ん張れていたとしても、耳は耐え切れず、心よりも先に壊れてしまう人もいるのです。

ストレスが原因の場合、耳の治療だけでは治らず、心のケアも必要になります。ですから、本来、めまいを治療するときには、耳の状態だけではなく、心の状態も診る必要があるのです。

心の状態があまりに悪い場合には、めまい専門医(めまい相談医)や耳鼻咽喉科だけで症状を改善することが難しくなります。そんなときには、並行して心療内科や精神科など、心を診る専門医の受診をすすめることもあります。

更年期以降に増える女性の「めまい患者」

自律神経失調症と診断されためまい患者さんには、心の不安とストレス症状が隠れています。病気のひとつと思っている人も多いかもしれませんが、自律神経失調症は正式な疾患名ではなく、「自律神経のバランスが乱れることで、さまざまな症状が現れた状態」のことを示す言葉です。

いくら検査をしても、内臓などに異常は見られないのに症状が治まらないなど、いわゆる「原因不明」のときに自律神経失調症と診断されることがあります。

自律神経は、交感神経と副交感神経というふたつの神経からなり、呼吸、血圧、心拍、体温、消化、排尿・排便、代謝など、生きていくうえで欠かせない機能を調整しています。交感神経は心身を興奮させる神経、副交感神経は心身の興奮を鎮めてリラックスさせる神経です。これらのふたつの神経がバランスよくはたらくことで健康がたもたれています。

自律神経はストレスに弱く、ストレス状態が続くと交感神経がたかぶったままとなり、副交感神経がはたらかなくなるなどしてバランスが崩れていきます。その結果、めまい、ふらつき、頭痛、耳鳴り、動悸などの身体症状のほか、イライラ、不眠、記憶力や集中力の低下などの精神症状が発生するのです。

めまいの症状がある人で、検査をしても「耳や脳に異常が見られない」と言われた人は、自律神経失調症の可能性が考えられます。

めまいは、女性の方が男性より多い

めまいが起こるのは、女性のほうが男性より多いことがわかっています。厚生労働省の2022年「国民生活基礎調査」によると、めまいの症状を訴える人の割合は、どの世代でも女性のほうが多くなっています。

(出所:『1万人を治療してきた名医が教える 自力で治すめまいのリセット法』より)

(出所:『1万人を治療してきた名医が教える 自力で治すめまいのリセット法』より)

とくにめまいを訴える女性が急激に増える50~54歳では、女性は34.4%、男性が10.2%と、3倍以上の差があります。私の病院の統計でも、女性のめまいは男性の2.7倍と、厚生労働省の数値と同じくらいです。
また、この調査では、75歳を過ぎると、めまいを訴える女性が再び急激に増え、80歳を過ぎた女性の4割以上に、めまいが起きていることがわかります。

50歳を過ぎた女性にめまいが起こりやすくなる原因のひとつが、女性ホルモンの減少です。更年期にさしかかって閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌は急激に減少します。すると、自律神経のバランスが崩れ、めまいが発症しやすくなるのです。

さらに悪いことに、50歳頃から、バランス感覚を司る小脳や内耳(耳石器)などの機能低下もはじまります。そのタイミングが更年期と合致してしまうことも、更年期以降の女性にめまい症状が多くなる原因と考えられます。

これまで多くの患者さんと接してきて、本当に女性はめまいになりやすい傾向があるのだなと日々実感しています。問診をすると、(家の)外では男性と同じ仕事量をこなし、家事も育児も家族の世話も引き受けているという人が多いのです。そして疲労困憊となり、ある日突然、めまいに襲われたというケースが少なくありません。

こうした社会的な背景も、女性にめまいが多いことの一因かもしれません。

「笑顔」「前向きな言葉」で幸せホルモンを増やそう

「しかめっ面じゃダメですよー」
「笑顔で、元気に」
「『めまいを治すぞ~』と、声を出しましょう!」
これらは、リハビリ教室でめまいリセット法を行ってもらう前に、必ず私が患者さんにかける言葉です。私ももちろん一緒にやっています。

中には、「うさん臭そう」と思う人もいるかもしれませんね。いいえ、これにはちゃんと科学的な根拠があるのです。前向きな言葉というのは、脳に暗示をかけることができるものですが、脳が暗示にかけられる秘密が「セロトニン」です。笑顔をつくったり、前向きな言葉を唱えると、脳から分泌されるこの物質、じつはものすごいパワーを秘めているのです。

セロトニンは、別名「幸せホルモン」と呼ばれ、幸福感をもたらし、心を安定させる作用を持っています。セロトニンの分泌量が減ると、心が不安定となり、気分が落ち込みやすくなります。

「つらい」「治らない」と連呼していると、セロトニンの分泌量が減り、幸福感がどんどん失われ、うつ傾向が強まる可能性があります。実際、うつ病の治療薬として、セロトニンの分泌量を増やす薬が用いられています。つまり、心の病でもあるめまいの治療をするうえで、「笑顔」「前向きな言葉」はとても有効ということです。

「セロトニン」を増やす4つの習慣

じつは、笑顔、前向きな言葉を唱える以外にも、セロトニンを増やす方法がいくつかあります。「つらい」と感じたら、試してみてください。

【「ありがとう」を口ぐせにする】

「ありがとう」という言葉を発すると、言われた側だけではなく、伝えた側にもセロトニンが分泌されます。この言葉で、幸福感が高まるだけではなく人間関係も良好になって、ストレスや、めまいの軽減にもつながります。

【「よいことメモ」を書く】

その日あったよい出来事や、小さな幸せを書きとめる習慣をつけましょう。「お買い得品を見つけた」「好きな芸能人が出演しているテレビ番組を観た」など、どんな小さなことでもOKです。

【好きなものをボーッと眺める】

心が癒されるものを「1日1分程度」でいいので、ボーッと眺めましょう。眺めるのは、自然の風景がおすすめですが、都会に住んでいる人は難しいと思います。そんな人は、好きな芸能人の写真、旅行先で撮った思い出の写真、部屋に飾ってある花などでもOKです。

【気の合う人と会話をする】

気遣いをする必要がない、気の合う人と会話をすることで、セロトニンの分泌が促され、一気にストレスが解消できます。

『1万人を治療してきた名医が教える 自力で治すめまいのリセット法』(アスコム)

『1万人を治療してきた名医が教える 自力で治すめまいのリセット法』(アスコム)

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提供元:ストレスによる「めまい」を改善する4つの習慣│東洋経済オンライン

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