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2020.10.05

おいしくなった?冷凍ラーメン超絶進化の裏側|キンレイ「お水がいらない」シリーズ人気のワケ


売れ行きが好調な冷凍麺。その中でも勢いがあるのがキンレイの「お水がいらない」シリーズだ(撮影:今井康一)

売れ行きが好調な冷凍麺。その中でも勢いがあるのがキンレイの「お水がいらない」シリーズだ(撮影:今井康一)

自宅で食事をとることが増えたことで、冷凍麺の売れ行きが好調だ。近年市場は拡大傾向にあったが、新型コロナによる自粛生活で需要が爆発。「冷凍麺需要はもともと業務用が主体で、業務用6に対し市販用は4だったのが、コロナ禍の1~6月は逆転した」と、日本冷凍めん協会の那須保信専務理事は話す。

なかでも注目はラーメン。同協会の調査によると、つゆや具が入ったセット麺・調理麺の生産量は、2014年以降5・4万食だったが、2019年は約8.7万食へとここ5年で6割以上伸びている。日本冷凍食品協会の調査でも、冷凍食品全体の中で、ラーメン類の生産量は、2014年~2018年に8位~10位だったのが、2019年は6位へ上昇している。

冷凍ラーメンで人気が高いのは

冷凍麺といえば、日清食品ホールディングスやテーブルマークなど大手がしのぎを削っている市場だが、その中でも勢いがあるのが、冷凍食品メーカー、キンレイの冷凍ラーメンの「お水がいらない」シリーズだ。冷凍食品の専門家などのおすすめでもよく紹介されている。スーパーで販売する同シリーズは、うどんも含めて2019年度は2500万食売れ、2010年の発売から累計販売食数1億を突破。自粛を追い風に、今年度は3000万食を超える勢いである。

10種類ある「お水のいらない」ラーメンシリーズのうち、一番人気は「ラーメン横綱」。これに「横浜家系ラーメン」、「塩元帥塩ラーメン」、「四海樓監修ちゃんぽん」が続く。同シリーズのラーメンは、緊急事態宣言下の4月に最も出荷量が伸び、5月も前年の倍近く売れた。さらに緊急事態宣言が明けた6月以降も、前年以上の出荷量を維持している。キンレイというと、鍋焼きうどんをイメージする人が多いだろうが、今やラーメンが主力商品となっている。

「お水がいらない」シリーズの中で一番人気の「ラーメン横綱」(撮影:今井康一)

「お水がいらない」シリーズの中で一番人気の「ラーメン横綱」(撮影:今井康一)

同社はもともと1974年、大阪ガスの子会社として誕生。冷凍冷蔵庫が家庭に行き渡り、各社が冷凍加工食品を売り始めた時代に、同社は業界の先陣を切って冷凍麺を発売し、1978年からコンビニへ冷凍調理麺を卸し始めた。

スーパーで冷凍麺を販売し始めたのは、2010年に「お水がいらない」シリーズを開発してから。麺がのびにくいよう、スープと麺・具材を、2段階に分けて別々に凍らせており、鍋に入れて加熱するだけで、スープが溶けて完成する。冷凍ラーメンは、電子レンジと組み合わせて使う商品があるなど、各社で少しずつ作り方が違うが、キンレイの同シリーズは工程がシンプルである。

加熱時間は6分30秒とインスタントラーメンより長いが、完成品は店で出されるラーメンの食感や味わいに近い。コロナ禍により「専門店に行けなくてもこれで十分」、とSNSで評価する人もいるほどだ。

麺、スープ、具材が一体化しているラーメンを加熱するとこの通りに。写真は人気の「横綱」(写真:キンレイ提供)

麺、スープ、具材が一体化しているラーメンを加熱するとこの通りに。写真は人気の「横綱」(写真:キンレイ提供)

実際、冷凍麺の開発には労力を惜しまない。例えば人気ラーメンチェーンの味を再現し、2014年に発売した「お水がいらない ラーメン横綱」の豚骨醤油味は、試作の20回目に、ラーメン横綱側から「もう無理じゃないか」と引導を渡されかかった。しかし、その後も挑戦を続け、60回目に完成した執念の商品である。

2017年には、食材が焦げやすく手入れに手間がかかるが、プロの厨房でも使われる鉄の鍋を、思い切って工場に導入。同社商品企画チームの福田暢雄氏は、「鶏ガラや香味野菜で出汁を取る、鉄鍋で食材を炒めるなど、できる限りプロの技法を再現し、生産性とドッキングさせています。工場見学に来られた四海樓社長からは、『うちの厨房と同じ音と香りがする』と言われました」と話す。

同社では、料理人の指導を受ける、「味の探求プロジェクト」として年に一度、社員が鍋焼きうどんを手作りするなど、工場での食品の「製造」に「料理」として取り組む精神を養っている。

冷凍麺業界に起きた「革命」

前述のとおり、キンレイは大阪ガスの子会社だったが、上場した後に投資ファンドに買収されたりと紆余曲折を経た後、冷凍食品部門は日本酒大手月桂冠の傘下に入った。その際、企業理念を見直したことが、商品開発にもつながっている。

「冷凍麺がおいしくなった」。近年、こんな声を聞くことが多くなったが、実際、キンレイが存在感を増した2010年代は、ラーメンに限らず、冷凍麺全体の質が向上するタイミングでもあった。日本冷凍めん協会の那須氏によると、2010年頃に設備更新の時期が来た工場が多く、フロンの替わりに液化炭酸で冷却するフリーザーを入れ始めた。

従来の機械は冷凍するのに30~40分かかっていたが、今のものなら10~13分で冷凍できる。「冷凍のスピードが速くなれば、麺内部の水分が大きな氷の結晶となり麺の組織を壊すことを防ぎ、おいしさを保ちやすいのです」(那須氏)。つまり、急速冷凍によって、日本人が好む外はもっちり、中は少し硬さが残る、ゆでたての食感が実現できるようになったのである。

「また、生地を練りながら空気を抜き熟成時間を短縮する真空ミキサーを、10年ほど前までの間に各社が順次導入していきました。多加水の技術、練り方の技術、機械の改良などの技術が進化し、熟成時間が短縮され、茹で時間が効率化されています。その結果として、冷凍の際の劣化が極めて少なく、コシのある、食感がよくのど越しのいい冷凍麺ができるようになりました」(那須氏)

キンレイの場合はこうした業界全体の技術進化に加えて、自社の調理技術の進歩もあって大きく躍進したのだろう。

家庭用ラーメンといえば、インスタントラーメンという時代が長く続いた。店で食べるものと、家庭で食べるものは、別物で当たり前と思っていた人も多いだろう。とくに出汁は、手に入りにくい豚骨や鶏ガラを使って何時間も煮込む必要があるなど、家庭で店の味を再現するのは容易ではない。

主婦層の取り込みにも成功

ところが冷凍ラーメンでは近年、麺の食感や味わいはもちろん、出汁も専門店の味に近づけた商品が増えている。ネットなどでも冷凍ラーメンの味わいを評価する声は少なくなく、そもそもそうした素地がある中で、コロナによってより多くの人が冷凍ラーメンを試したことで、一段と需要が伸びているのだろう。

スーパーに置かれるようになって、主婦客の取り込みにも成功した。福田氏は「女性は1人でラーメン店に入れない方が多く、そうした方々に冷凍ラーメンが支持されています。また、小学校高学年以上になるお子さんもラーメンが好き。受験生の夜食としても人気があります」と話す。

ラーメン専門店は1990年代以降、女性を意識したデザインの店が増えた。しかし、それでもなお男性の店というイメージを持ち、1人で、あるいは子連れでは入れないと思っている女性がまだまだ多いのだ。そうした層の潜在需要を、冷凍ラーメンが掘り起こしたという側面もあるようだ。

また、コロナ禍のステイホーム期間中は、冷凍食品全体の需要も伸びている。今、冷凍食品はピザやコロッケなどの洋食、和総菜にたこ焼き、焼きおにぎり、中華など、さまざまな料理があり、野菜などの素材もバラエティ豊か。

冷凍ラーメンがそうだったように、初めて食べてみて、「これなら一から作らなくてもおいしい」「家で作ったことがなかったこの食品が気に入った」「これなら冷凍素材で十分」と思ったものがあれば、引き続き購入する人もいるだろう。コロナ禍は、冷凍食品の市場を拡大したといえる。

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提供元:おいしくなった?冷凍ラーメン超絶進化の裏側|東洋経済オンライン

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