2020.04.13
進化した「iPad」をパソコンのように使う裏技|アップデートで「文字入力」が圧倒的に便利に
マウスとトラックパッドに対応した「iPad」をさらに便利に使う裏技を紹介する(筆者撮影)
コンテンツを消費するためのタブレットから、PCのような生産性を備えたデバイスへと舵を切ったiPadだが、3月に登場したiPadOS 13.4では、その方向性をさらに強化した。タッチ操作を売りにしてきたiPadが、マウスやトラックパッドに対応したのは、それを象徴する出来事と言えるだろう。
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日本向けに特化したアップデートとしては、ひらがなを入力した直後に日本語に変換する「ライブ変換」に対応。難があった変換精度も大きく向上しており、キーボードを装着して使ったときの入力の快適さが格段に増した格好だ。
同時に、11インチと12.9インチのiPad Proに向けたMagic Keyboard(税別3万1800円~)も5月に発売されることが決まった。
これまでのiPadやiPad Proにも本体のケースを兼ねる「Smart Keyboard」や「Smart Keyboard Folio」があったが、ケースを兼ねているがゆえに、キーストロークが浅いという弱点もあった。Magic Keyboardでは、Macと同じ押し心地のキーを採用したうえで、iOS 13.4に合わせ、トラックパッドも搭載する。
一方で、ライブ変換は入力の仕方まで大きく変えなければならず、これまでのようにスペースキーを押して変換するのがクセになっていると、少々戸惑うこともある。マウスやトラックパッドも、初期設定を変更することで、より自分が使いやすいようにカスタマイズできる。そこで今回は、もっとPCのようにiPadやiPadOS 13.4を使いこなすテクニックを紹介していこう。
文字入力は設定変更でもっと快適になる
iPadOS 13.4では、キーボードを装着した際の日本語入力の仕方が大きく変わった。これまでは、ひらがなを打ち、スペースキーを押して変換候補を選んでいく必要があった。一方のiPadOS 13.4では、ひらがなを打つとリアルタイムに変換がかかるライブ変換を搭載している。
ひらがなを打って、単語ができた時点で変換がかかり、そのまま入力を続けると、文章に沿った形で再変換がかかる。スペースキーを押して候補を選び、リターンキーで確定させるという動作が少なくなるため、入力の効率が格段に上がるはずだ。
もちろん、誤変換した際は修正が必要になるため、そのぶん指の動きは増えてしまうことになるが、iPadOS 13.4では変換精度自体が向上している。基本的には、文章をずっとひらがなで打ち続けていくつもりでキーボードを打っていけば、入力がスムーズにできるはずだ。
ただ、長年続けてきた入力のスタイルを変えるとなると、慣れるのにはやはり時間がかかる。iPadをすぐに実戦投入するといったときに、一時的にライブ変換を切っておきたいこともあるはずだ。
このような場合、ライブ変換をオフにすることが可能。設定はキーボード装着時のみ可能で、「設定」アプリにある「キーボード」の中の「ハードウェアキーボード」で行う。この中に、「ライブ変換」という項目があるため、ここをオフにすると、従来通りの方法で変換することができるようになる。この設定メニューでは、ライブ変換のオン・オフだけでなく、さまざまな項目を変更することもできる。
例えば、「Command」や「Option」などの修飾キーの入れ替えがその1つ。キーボードの配列になじめないときは、ここで割り当てを変更することが可能だ。
例えば、筆者の場合、入力中に間違って左下にある「Caps Lock」を押してしまうことが比較的多い。そのため、修飾キーの割り当て変更を使って、「Caps Lock」と「Control」を入れ替えておいた。さらに、「Caps Lock」キーを使って言語の切り替えをオンにすることもできる。こうしたカスタマイズをしっかりやっておけば、入力効率はさらに上がるはずだ。
オススメのマウスやトラックパッドは?
タッチパネルでの操作を前提にしていたiPadが、マウスやトラックパッドに正式対応したのも、iPadOS 13.4の大きなトピックと言える。
直感的に操作できるタッチパネルだが、キーボードを装着したまま使うにはあまり向かない。キーボードから手を離し、腕を上げてディスプレーに触れなければならないからだ。たまに操作するぶんにはいいが、頻繁にキーボードとタッチパネルを行き来していると、腕が疲れてしまう。マウスやトラックパッドに対応したことで、この弱点が解消された格好だ。
ただし、一括りにマウスやトラックパッドと言っても、どの製品を選ぶかで操作性は大きく変わってくる。あまりお勧めできないのが、マウスだ。持っている人も多く、ノートPC用のものを流用できるのはメリットかもしれないが、できる操作が限定されてしまう。
例えば、ホーム画面をスクロールさせようと思うと、画面下に出ている小さな○までカーソルを持っていき、クリックしなければならない。これなら、タッチパネルをフリックしたほうが早いだろう。同様に、アプリを終了させる際にも、画面下のバーにカーソルを移動させなければならない。
オススメは、マルチタッチによるジェスチャー操作に対応したアップル製の「Magic Trackpad 2」(税別1万2800円~)だ。
操作性がいいのは、アップル製のMagic Trackpad 2だ(筆者撮影)
Magic Trackpad 2なら、画面のスクロールは2本の指でトラックパッド上をスワイプするだけと簡単。3本指で下から上にフリックすれば、アプリを終了させることも可能だ(ホームボタンのないiPad Proシリーズの場合)。
本体が薄いため、iPadと一緒に持ち運ぶ際にも、あまり邪魔にならない。デザイン的にもiPad Proに近く、一体感がある。
5月に発売されるiPad Pro用のMagic Keyboardにも、Magic Trackpad 2と同等の機能のトラックパッドが搭載されている。iPad Proのユーザーであれば、このキーボードの発売を待つのも手だ。Magic Trackpad 2とは異なり、本体と別々に持ち運ばなくてもいいため、手軽なのもうれしい。
手持ちのマウスやトラックパッドをもっと便利に
とはいえ、Magic TrackPad 2やMagic Keyboardは追加の出費が必要になってしまう。手持ちのマウスを使い回したいという人もいるはずだ。このような人にオススメしたいのが、マウスのボタンに特定の操作を割り当てるという裏技だ。例えば、右クリックだけで通知を開いたり、スクロールホイールを押し込むと画面をスクロールさせたりといった形で、特定のボタンに特定の操作を対応させる機能が用意されている。
設定は、「設定」アプリの「一般」にある「トラックパッドとマウス」ではなく、「設定」アプリ直下にある「アクセシビリティ」の「タッチ」で行う。トラックパッドやマウスの設定画面で設定できない点には、注意が必要だ。
それぞれのボタンに、iPadの各種操作を割り当てることができる(筆者撮影)
「タッチ」を開いたら、まず「AssistiveTouch」を開いて、これをオンにする。次にこのAssistiveTouchの画面で、「デバイス」をタップ。設定したいマウスやトラックパッドを選んだら、「追加のボタンをカスタマイズする」をタップしよう。すると、ボタンをカスタマイズというアラートが表示される。ここでは、特定の機能を割り当てたいマウスのボタンを押してみよう。
すると、割り当てることが可能な機能の一覧が表示される。試しにここでは、右クリックをしてから、「通知」を選んでみた。この設定をしておくと、右クリックだけで通知センターを開くことが可能になる。直近で開いたアプリの一覧を表示する「Appスイッチャー」を設定しておいてもいいだろう。
マウスはMagic Trackpad 2と比べると、画面のスクロールがしづらいのは難点だが、右クリックやスクロールホイールのクリックに対して、スクロールの操作を割り当てて、その弱点を補完することもできる。
ただし筆者の環境では、「アクセシビリティ」の「タッチ」→「AssistiveTouch」にある「マウスキー」で、「マウスキー」をオフにしておかないと、キーボードで正しく入力できないことがあった。これは、キーボードでポインターを操作する機能だが、何らかの操作に干渉してしまっているものと思われる。マウスにボタンを割り当てる際には、念のため、この機能はオフにしておいたほうがいいだろう。
ポインターの速度は、「一般」の「トラックパッドとマウス」で設定できる。上にフリックすると下にスクロールするという挙動に慣れないときは、「ナチュラルなスクロール」をオフにするといい。トラックパッドの場合、押し込まずにタップでクリックになるよう、「タップでクリック」という設定も用意されている。マウスやトラックパッドの基本的な設定を変更したいときは、ここのメニューを開いてみるといいだろう。
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提供元:進化した「iPad」をパソコンのように使う裏技|東洋経済オンライン