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2019.08.13

急増する男性特有の“前立腺がん”とは?~旦那さん、お父さんは大丈夫?~


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男性がかかる「前立腺がん」という言葉を聞いたことがあるひとも多いはず。読者の中にも、身近な人が罹った方もいるのではないでしょうか。 いつ自分自身や身近にいる大切な人がかかるかわからない病気。実際にどのような病気なのか?検査方法や治療法は?など、知っているようで知らない「前立腺がん」について、専門家である東海大学医学部の准教授である小路先生に、わかりやすく解説していただきました! 自分のため、身近な人のため、この機会に正しい知識を身につけましょう。

前立腺(ぜんりつせん)ってどこにあるの?

前立腺は、通常はクルミ大の大きさで、骨盤のいちばん奥にあります。腎臓でつくられた尿が貯められる膀胱(尿を我慢しているとヘソの下が張ってくるところ)から、尿を出すための尿道を取り囲んでいます。

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前立腺のすぐ下には、無意識に尿漏れしないためにある尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)があります。
また、前立腺の後には、精嚢(せいのう)という精液の貯留される袋があり、そこから射精の際に精液が通る管が、前立腺の中を走行し、尿道と合流します。

このように、前立腺やその周囲の構造は、排尿や性機能に重要な役割を果たしているのです。

前立腺がんはどれくらいの人がかかっているの?

前立腺は男性のみに存在する臓器で、それががんに侵される「前立腺がん」は、現在急速に増えています。 国立がん研究センターの報告では、2018年に新たに前立腺がんと診断された患者さんは、78,400人とされていて(※1)、男性でがんと診断された患者さんのうち、胃がん・大腸がん・ 肺がんの次に多いがんになります。さらに、2020年には、最も多いがんとなることも予測されているのです(※2)。

(※1)国立がん研究センターがん情報サービス
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html
(※2)国立がん研究センターがん対策情報センター
「がん・統計白書2012−データに基づくがん対策のために(篠原出版新社)」

前立腺がんの発症にはさまざまな原因があると考えられていますが、そのうちの1つとして、毎日の食事の摂取カロリーが関係しているという報告があり、食生活は前立腺がんの発症に関連があることが示唆されています。

また、いくつかあるがんの中でも「前立腺がん」が増えている、といわれている理由として、現代医療の進歩が関係しています。健診などで「PSA(ピーエスエー)」という前立腺がんで高くなる数値をチェックする血液検査が普及してきたため、これまで見逃されてきた患者さんがより正しく診断されるようになっています。

今後は、60歳以上の2人に1人が前立腺がんになるという時代が近いと考えられています。

どんな検査があるの?

前立腺がんを見つけるため、一番簡単にできることは、先ほどのPSA検査という血液検査です。
日本では、統計学的にこの数値が4.0ng/mL以上になると前立腺がんの割合が増加することから、PSA検査の結果が4.0ng/mL以上の場合、「要精査」となります。

「要検査」になった場合、前立腺がんかどうかを確認するために、肛門や股間の皮膚にボールペンほどの針を10~12本ほど刺して前立腺の組織を採取する「前立腺生検(ぜんりつせんせいけん)」という検査を行うことが勧められてきました。この従来の方法は、前立腺にランダムに針をさして組織を採取します。この方法では、ランダムに刺した針でがんが検出された場合、がんと診断されますが、どこにがんがあるのかわかりません。また、がんが針と針の間にはいってしまうことで、がんがあるのにもかかわらず、見逃されてしまうこともあるのです。

また、前立腺がん以外にも、症状を感じないこともある前立腺炎や、排尿に支障をきたすこともある前立腺肥大症でも、PSA値は上昇することがあります。
これを見分けるために有用とされるのが、MRI(核磁気共鳴画像)です。前立腺のMRIを撮影することで、前立腺がんの可能性が高い精度でわかるようになったのです。

さらに、前立腺がんが疑われた場合、私たちの施設では、麻酔をかけてからMRIでがんが疑われた場所に正確に針を刺す検査しています。 この技術をもちいることで、従来の生検では難しかった“がんの位置の診断”や“見逃しの少ない診断”が可能となりました。

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この技術は、2013年に私たちが先駆けて開始した技術(※3)で、2016年には厚生労働省から先進医療として認められて、現在では日本全国で19施設が導入・実施しています。

(※3)「MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法」

どんな治療があるの?

転移のない前立腺がんに対する治療は、前立腺と精嚢を一緒に摘出する手術療法や、前立腺全体を放射線により治療する放射線治療といった「根治的(こんちてき)治療」があります。
また、治療をおこなわずにPSA値やMRIの変化や、定期的な前立腺生検を行う「無治療経過観察」も行われています。
しかし、「無治療経過観察」を選択する人は前立腺がんの患者さんの約15%といわれており、「根治的治療」を選択する人が多いです。また、最近では手術支援ロボットによる外科的治療も多くの施設で行われています。
ただ、このような根治的治療では、尿漏れや性機能の著しい低下あるいは消失が生じてしまうことが少なくありません。最近では、前立腺がんのうち約35%の患者さんは、前立腺の一部にのみがんが存在している可能性が高いことも報告されています。

そこで、注目されているのが、がんを治療しながらも正常な組織を可能な限り残すことで排尿や性機能を温存する、“前立腺部分治療(フォーカルセラピー)”という治療方法です。

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たとえば私たちの場合、先ほどの前立腺生検でがんの場所を見つけて、前立腺内部のがんに対して、集中的に超音波をあてることで、正常な組織を可能な限り残す「高密度焦点式超音波療法」という治療を行っています。

この治療自体は1時間程度で終わり、治療後24時間以内に退院可能。さらに、根治的治療と比較して、治療後の尿漏れや性機能の低下が少ないことが、これまでの治療実績でわかっています。

発見が遅れるとどうなるの?

前立腺がんは、他のがんと比較して進行が遅いといわれています。しかし、前立腺の血液は脊椎(背骨)の中を通って心臓に戻るため、脊椎に転移しやすいことが知られています。
脊椎は、人間の体幹を支える柱の役割を果たしています。ここにがんが転移すると、強い痛みと、歩行障害や下半身の感覚障害などが起こり、生活の質が著しく低下することもあります。

また、前立腺がんの一部は進行が早いものもあるので、他のがんと同じように早めに発見することが重要です。

手遅れなく発見するために、大切なことは?

まずは、前立腺がんが急増していることを知ってください。
そして、一般的には50歳を過ぎたら、ご家族に前立腺がんの方がいる場合は、40歳になったらPSA検査を受けることをおすすめします。

前立腺がんについて、もっと知りたい。あるいは前立腺がんと診断されたがどうすればよいか困った場合は?

一番重要なのは、医師とよく相談することが必要です。しかし、難しい医学の話を短い診療時間で理解することは、なかなか難しいかもしれません。

そんな方のために、医師、栄養士、理学療法士が立ち上がって作り上げた企画が、“患者さんのための健康ライフマネージメント塾”です。ある日突然病気と診断された患者さんやその家族のために、医師などの専門家がわかりやすく、親身になって、講義形式で毎回特定の病気についての勉強会を行います。
第1回は、今回ご紹介した「前立腺がん」についてです。自分自身や家族で前立腺がんに悩んでいる方はもちろん、この記事を読んで前立腺がんのことが気になった方も、ぜひ参加してみてください。

第1回 「前立腺がんについて知る」
日時:2019年 8月24日(土)
場所:TKP日本橋カンファレンス

※本セミナーは終了しました。

執筆者プロフィール

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東海大学医学部外科学系泌尿器科学 准教授
小路 直 (しょうじ すなお)

東京医科大学卒後、聖路加国際病院で外科レジデント修了。
米国南カルフォルニア大学泌尿器科などを経て、現職。
前立腺がん診断・治療のスペシャリスト、数多くの論文執筆。
日本初の前立腺高精度生検を先進医療として開始し、排尿・性機能を温存する前立腺部分治療を確立した。

\前立腺がんについて詳しくはこちら/

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