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2019.07.19

「水虫」?「たむし」? 語源に思わず唸った


皮膚糸状菌というカビの感染症

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こんにちは。皮膚科医のえんどこです。

 梅雨に入り、だいぶ湿度が高くなってきましたね。先日なんて、気温30度、湿度100%の中、街中を歩いてぐったりしてしまいました。3月末まで盛岡市に住んでいたものですから、気温も湿度も明らかに違う東京の気候に、かなり戸惑いを感じながら暮らしています。

 時期的に、やはり食材などには気をつけなければなりませんし、特に食パンなんてうかつに放っておくと、緑色ともなんとも言えない独特な色をしたカビがパンの表面を少しずつ覆ってきます。このようなカビは、おそらく誰もが一度くらいはご覧になったことがあると思います。「いや、一度も見たことはない」という方は、(1)裕福なご家庭の方か、(2)よほど食品の安全管理に 長(た)けた方か、(3)真実をお隠しになられている方(笑)、いずれかのような気がします(どれでもない方、ごめんなさい)。

 さて、すでにそれっぽい前フリなので、もはや言うまでもないかもしれませんが、今回はカビ、すなわち「水虫」のお話です。

 水虫は、正しくは 足白癬(あしはくせん)といいます。白癬は皮膚糸状菌(しじょうきん)というカビによって生じる感染症で、体に生じる白癬「たむし」もあれば、陰部に生じる白癬「いんきんたむし」もあります。足白癬、体部白癬というよりも、むしろ「水虫」とか「たむし」の方が身近な呼び名ではないかと思います。

江戸時代、田んぼの虫が原因と考えて「水虫」「田虫」

そもそも、どうしてそういう俗称になったかというと、江戸時代の農民は田んぼで仕事をすると、足に発疹や水ぶくれを作ることが多かったのだそうです。田んぼの水の中にいる虫によるものと考えられたことから「水虫」「田虫(たむし)」と呼ばれるようになったと言われています。

 こういう語源とか由来って、聞いて納得がいくものもあれば、聞いてもさして面白くもない場合とに分かれるのですが、これは間違いなく前者でしょう。初めて知った時は「あ~そういうこと!」と 唸(うな)ってしまったことを思い出します。 

 我々皮膚科医は、このような水虫やたむしの発疹を診察室で見た場合、まず何をするでしょう? それは顕微鏡による検査です。足の裏のかさかさや小さな水ぶくれなど、発疹のほんの一部を取って、それを顕微鏡で見て、皮膚糸状菌がいるかどうかを確認します。もちろん見た目に「どう考えても水虫!」という患者さんもいますが、きちんと検査をして確定させることが務めです。症状は爪に生じることもありますから、皮膚だけではなく爪もチェックすることが重要です。

格闘技選手の間で広がった、やっかいな「新型水虫」

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15~16年ほど前から国内でパラパラと見られはじめ、「新型水虫」(医学用語ではありません)だとして一時マスコミ誌をにぎわしたのはトリコフィトン・トンズランスというカビです。つい先日の週刊誌にも記事が掲載されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 高校の部活でレスリングや柔道といった格闘技を行っている選手の間で、体部白癬の集団発生がみられたのが始まりです。部活中の肌と肌の接触によるものだろうということは想像に難くないですし、それが部活だけではなく、練習試合や大会などでさらに広がっていったということです。

 もともとは海外の国際大会などで感染し、国内に持ち込まれたものと考えられており、実際に当初集団発生したのは、どれも柔道やレスリングの強豪校の選手だったようです。私も岩手県にいた頃に診察したことがありますが、確かにある競技の県内一の強豪校の選手たちでした。練習はしなきゃいけないし、試合もしなきゃいけない、自分が気をつけていても対戦相手がそうかもしれない……。現在でも、なかなか対策が難しい問題だなあと思っています。

 そういえば高校生の頃、格闘技ではありませんが、水泳の授業で水着を忘れた同級生男子が、友人から使用したばかりの水着を借りたら、後で陰部がかゆくなって大変なことになったということがありました。一体、彼の身に何が起こったのか? ご想像にお任せすることにして、今回の話をおしまいにします(笑)。(遠藤幸紀 皮膚科医)

記事提供:ヨミドクター(読売新聞社)

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提供元:「水虫」?「たむし」? 語源に思わず唸った|ヨミドクター(読売新聞)

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