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2019.06.18

老後に本当に必要な金額は一体いくらなのか?|何とも奇妙な「老後2000万円報告書」問題


山崎元氏は「老後2000万円報告書」は麻生大臣の無能と非礼が招いたと手厳しい。では老後に本当に必要な金額は? 実は、誰でも3分あれば計算できるのだ(写真:zak/PIXTA)

山崎元氏は「老後2000万円報告書」は麻生大臣の無能と非礼が招いたと手厳しい。では老後に本当に必要な金額は? 実は、誰でも3分あれば計算できるのだ(写真:zak/PIXTA)

いわゆる“炎上”状態となった「老後2000万円報告書」問題は、極めて奇妙な展開だと言うしかない。

麻生大臣の無能と非礼が招いた「実に下らない事態」

もともと、金融審議会の市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書(6月3日付)が、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿」で見た支出を基に、95歳までの30年間の老後を想定すると、生活費の取り崩しとして必要な金額が約2000万円だとの試算を示しただけのことだった。

報告書 ※外部サイトに遷移します

これに対して「公的年金への不安を煽る」とか、まして「年金制度は崩壊しているのでまず謝れ」、といった野党の批判はまったくピント外れの言いがかりに近いものだったのだが、何と麻生太郎大臣(金融担当)が、適切に説明せずに、「表現が不適切だった」と認めてしまった。報告書の文章を起草した担当者にも、これを審議して了承した有識者たちにも何とも失礼な話だった。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。

この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。

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麻生大臣の非礼はさらに続き、ついには報告書を正式なものとしては受け取らないと言い出した。政府の方針と異なるからという理由を挙げているようだが、政府の方針どおりの内容でないと受け取らないというのでは、審議会など開く意味がない。もともと政府が専門家・有識者に検討を依頼している立場なのだから、報告書を受け取ったうえで、反論があれば丁寧に意見を述べるのが、大臣の役割だろう。

そもそも「2000万円」は一定の仮定に基づく1つの試算にすぎず、老後に必要な額は家計によってさまざまであり、公的年金は一定の役割を今後も果たすことを丁寧に説明すれば、どうということはなかったはずだ。

今回の“炎上”は、麻生大臣の無能と非礼が招いた実に下らない事態だというしかない。

それでは、老後の生活に備えていったいいくら必要なのだろうか? 報告書は平均的な支出のケースで試算を示したが、世の中には、高所得・高支出な家計もあれば、低所得・低支出な家計もある。それぞれ、家計の事情に応じて、現役時代の収入を、「現在の支出」と「将来の支出」に振り分けなければならないので、問題の質は同じだ。

個々のケース別の「自分の数字」に応じた計算は、筆者がかつて本欄で説明した「人生設計の基本公式」を使って行うことができる(図)。

(図)【人生設計の基本公式】

記事画像

詳しい意味と使い方は、拙稿(毎年マジで貯めないとヤバイ金額はいくらか)、あるいは書籍『人生にお金はいくら必要か』(山崎元・岩城みずほ著、東洋経済新報社)などを参照していただきたい。また、計算用のサイトは「人生設計の基本公式」で検索するとすぐに見つけられるだろう(例えば、https://www.officebenefit.com/calculate/)。

毎年マジで貯めないとヤバイ金額はいくらか ※外部サイトに遷移します

『人生にお金はいくら必要か』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

https://www.officebenefit.com/calculate/ ※外部サイトに遷移します

「23歳から働き、平均手取り月収30万円」なら老後は?

仮に、23歳から働き始めて65歳で退職し、現役時代42年間を通じた平均手取り収入がひと月30万円、年額360万円のサラリーマンを考えてみよう。将来の年金の受取額を手取り収入の3割と見て、老後を30年と想定すると、必要貯蓄率は19.05%となる。なお、計算の前提として、インフレも運用利回りも考慮していない。賃金はインフレ率並みに上昇し、資産はインフレ率並みに運用できているという前提だ。

月額に均してみると、現役時代は24万2857円で暮らし、5万7143円を将来の備えに回す計算だ。年額68万5716円を42年間貯めることになるので、リタイア生活に入る前の時点で元本だけで2880万72円貯める計算になる。これで、老後は年金と合わせて17万円で暮らせる(現役時代の「収入額」に対してではなく「支出額」の70%である)。

仮に上記の仮定で、年金額が平均手取り収入の40%あるとした場合でも、必要貯蓄率は14.29%あり、退職時点で約2160万円貯めていなければならない。筆者はそこまで楽観的ではないが、年金額が平均手取り収入の50%あるとするなら、退職時までの累積貯蓄額は約1440万円ということになる。

例えば、現役時の推定平均収入がひと月に50万円なら、金額のスケールをそれぞれ3分の5倍すればいいし、ひと月に20万円と想定するなら3分の2倍するといい。高所得者も低所得者も直面する問題の性質は同じだ。

なお、報告書にも指摘があるように、必要な資産額には、老後に介護施設に入所する資金、葬式代・お墓代、遺産の額などを含まない。別途必要な額を計算に反映したい場合は、資産額にマイナスの数字で入力して計算に反映させることができる。さらに、子供の学費がかかる場合なども、想定額を計算に反映させて支出と貯蓄のバランスを取らなければならない。

他方、退職金を期待できる場合は、これをプラスの額で「資産」に反映させると、必要貯蓄率が低下する。

新入社員ではなく、40代など「途中経過」の場合の計算もやってみよう。

例えば、現在45歳で今後に想定される平均的な手取り収入がひと月当たり40万円で、保有資産額が1000万円のサラリーマンがいて、この人が将来に向けた支出と貯蓄のバランスを考えるとしよう。

公的年金を手取額の30%、老後の支出を現役時代の70%、退職を65歳(現役期間はあと20年)、老後期間を30年と想定すると、この人の必要貯蓄率は24.19%で、毎月10万円近い金額を貯蓄する必要がある。40万円の手取り所得の中から10万円貯蓄することは不可能ではないが、かなりの自制心を必要とする。ざっくりとした数字では、残りの現役時代の支出額がひと月30万円、老後の支出額が21万円となる。退職時点の累積貯蓄額は3322万円だ。

資産寿命は支出と貯蓄の配分で計画的にコントロールを

先の生涯平均手取り収入がひと月30万円を想定したサラリーマンの場合、ひと月に5万7143円貯める必要があったが、この人の場合、年金が厚生年金だけであればiDeCo(個人型確定拠出年金)がひと月2万3000円、つみたてNISAが約3万3000円できるので、月額が5万6000円となり、ほぼ必要貯蓄額に近い。42年間では元本ベースで2822万4000円程度の貯蓄額となる。運用で利益が得られることを期待すると、おおよそ十分な備えになるのではないか。

もっとも、運用は「必ず」うまくいく、というものではない。時々の金融資産の評価額を反映して、必要な貯蓄額を時々計算し直す必要がある。

高齢者向けを標榜する金融商品の広告によくあるように、「資産寿命」を延ばすために、運用商品のリターンに期待することは不適切だ。運用は無理のない範囲で適切に行うとして、資産寿命は支出と貯蓄の配分で計画的にコントロールすることが重要だ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

さてここからは恒例の競馬コーナーだ。

週末の日曜日に函館競馬場で行われる函館スプリントステークス(G3、16日函館競馬場11R)を予想しよう。

函館スプリントステークス(G3、16日函館競馬場11R) ※外部サイトに遷移します

函館スプリントSの本命はダノンスマッシュが妥当

別定重量の1200m戦で右回りとなると、本命は3月の高松宮杯(G1)でも1番人気に推されたダノンスマッシュが妥当だ。

本馬はおそらく左回りが苦手で、加えて前走は外目の枠順も不利だった。得意の距離と右回りに戻り、騎手も川田将雅騎手なら連(2着以内)は外すまい。

対抗にはタワーオブロンドンを採る。初距離・初コースが不安材料だが、前走の京王杯スプリングカップで府中(東京競馬場)の1400mを1分19秒4のレコードで制したスピードは魅力だし、今まで距離を短縮するローテーションでは勝ってきた。初の1200mとはいえ、タフな洋芝なので十分勝負になるだろう。

単穴には前走で高松宮杯から負担重量が1キロ減となる6歳牝馬ペイシャフェリシタ、以下、函館コースに実績のあるアスターペガサス、リナーテ、シュウジまで押さえる(編集部注:記事配信後、ダノンスマッシュ、リナーテ、シュウジは出走取り消しになりました。詳しくはJRAのHPをご覧下さい)。

記事画像

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「老後2000万円」問題のあまりに残念なすれ違い

30代夫婦は65歳までいくら貯めればいいのか

共働き「ブラックボックス家計」が危険な理由

提供元:老後に本当に必要な金額は一体いくらなのか?|東洋経済オンライン

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