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2019.05.21

「赤ちゃんが泣き止まない」 どうすればいい?…夜泣きへの対処法


子どもの病気やホームケアの啓発を行う「教えて!ドクター」プロジェクトを始めて、今年で5年目になります。私たちのウェブサイトに検索でたどり着く方で、圧倒的に多い検索ワードがあります。何かお分かりでしょうか?

 それは「赤ちゃん 泣き 止(や) まない」です。「新生児 泣き止まない」と合わせると、2位のワードの2倍以上にもなります。

 試しに、インスタグラムのハッシュタグで「#夜泣き」と打ってみたら、投稿件数はなんと9万件に達していました。赤ちゃんが泣き止まないことにしんどい思いを抱えている保護者が、いかに多いかが分かります。そこで今回は夜泣きについてお話しします。

イラスト:江村康子

イラスト:江村康子

夜泣きの原因は分かっていない

夜泣きの定義に、医学的に明確なものはありません。辞書を引くと、「夜、赤ん坊や幼い子どもが泣くこと。毎夜くせのように続くことが多い」(三省堂 大辞林)とあります。

 もっとも、一言で夜泣きといっても、大きく二つに分かれます。

 一つは、生後2~3週くらいから特に理由がなく泣くものです。夕方から夜にかけてが多く、 黄昏(たそがれ) 泣きともいいます。外国では、コリックとかPURPLE CRYING(パープル・クライング)と呼ばれます。これは、生後3~4か月で自然に消えていきます。

 もう一つ、生後4~6か月くらいから3歳くらいまで、夜になると何度も目覚めて泣くものがあります。特に、こちらの方を「夜泣き」と呼ぶこともあります。これも明確な原因は分かっていませんが、睡眠サイクルがまだ不安定なことと関係しているのでは、と考えられています。いずれも赤ちゃんにとっては自然な経過で、正常な発達の範囲内です。

 それでも、なかなか泣き止まなかったり、一晩に何度も夜泣きを繰り返したりすると、眠りを妨げられるお母さん、お父さんにとっては、大きなストレスになります。

 では、どうすればいいのでしょうか。ポイントは、意外かもしれませんが、「何をやっても泣き止まないことがあると知ること」です。順に説明したいと思います。

「母乳やミルクが飲めない」「活気がない」場合は病院へ

赤ちゃんは、不快感や不安などの感情を言葉や動作でうまく表現できないため、泣き出したりぐずったりします。具体的には、「眠い」「お 腹(なか)がすく」「驚いたり怖かったりする」「周囲がうるさい」「かゆい」「おむつが汚れて気持ち悪い」「暑い」「寒い」などです。泣いたときは、何かの欲求が隠れていることがあるので、まず一通り試してみることになります。

 (1)授乳する(2)おむつを替える(3)抱っこしてトントンする(4)話しかけたり歌を歌ったりする……などを試したり、(5)おむつかぶれがないか(6)服がきつかったり暑がっていたりしないか……なども確認します。乳歯が生えかけなのかもしれません。もし、機嫌が悪く、顔色が普段と違っていたり、ぐったりしている場合、哺乳ができないようなら病院で受診する必要があります。元気に泣いているのであれば、通常は病院へ急ぐまでもないことが多いです。

昔の人の知恵「疳の虫」

いろいろと試しても原因が分からず、何をやっても泣き止まないとなれば、途方に暮れますよね。実際、泣いている原因がよく分からないことは多いのです。まずは、そのことを知ってください。

 「泣き止ませられない自分は、親失格なのではないか」「私を嫌っているんじゃないか」と、打ちのめされてしまう親御さんもいると思いますが、そうではないのです。「ママなら泣き止ませられるはず」なんていうことはありません。一通りのことを試したら、原因を追究しすぎず見守りましょう。

 ちなみに昔の人はそんなとき、「 疳(かん)の虫」という架空の虫のせいにしてやり過ごしました。親のせいでも、赤ちゃんのせいでもない。虫のせい。そうすることで、結果的に誰も傷つかない。昔の人の知恵と優しさが垣間見えます。

イライラしたらバギーで外出

夜泣きそのものは、赤ちゃんには無害です。しかし、夜泣きがもたらす影響としては、 「泣き止ませようと子どもを傷つけてしまうリスクが増えること」※1 や、 「産後うつのリスクが上がること」※2 が報告されています。

※1「泣き止ませようと子どもを傷つけてしまうリスクが増えること」はこちら ※外部サイトに遷移します

※2「産後うつのリスクが上がること」はこちら ※外部サイトに遷移します

そこで、途方に暮れたときの対処法をお話しします。すなわち、親自身のフラストレーションのケアについてです。

 まずは、あらかじめ夫婦で「夜泣き」という課題を共有し、夜の役割分担をあらかじめ決めておくことをお勧めします。例えば、夜のおむつ替えはお父さん、授乳はお母さん。夜泣きには、曜日ごとに、お父さんとお母さんのどちらが対応するかを、あらかじめ決めておく(そして当番ではない方は、その間に休む)。お母さん一人で乗り越えるのは、 辛 いものです。繰り返しになりますが、「ママだから泣き止ませられる」わけではないのですから。お父さんと一緒に、夫婦で乗り越えることで、精神的な負担は軽くなります。

 次に、赤ちゃんが泣き止まず、親のイライラが募ったときは、抱っこひもやバギーを使って「外に出てみる」ことも、選択肢の一つに入れてみてください。部屋の中にいるときと比べ、意外なほど、泣き声を大きく感じず、気にならないものです。閉塞感からも解放されます。外気に触れると、赤ちゃんが泣き止むこともあります。

 「イライラしたら、ちょっと赤ちゃんから離れる」こともお勧めです。どんなことがあっても、泣き止むまで赤ちゃんから離れてはいけないわけではありません。安全なところに 仰向(あおむ)けに寝かせ、目の届く範囲で離れて、お茶を飲んだり、電話で話したり。10分くらいは、一休みしていいと思います。リフレッシュできれば、また赤ちゃんと向き合おうという気力も出てきます。

決して揺さぶらないで

イライラが募ると、発作的に揺さぶってしまいそうになるかもしれません。しかし、揺さぶって泣き止むことはありませんし、むしろ乳幼児揺さぶられ症候群(最近は、虐待による乳幼児頭部外傷(AHT:Abusive Head Trauma)という名称が推奨されています)という、非常に重い障害をもたらします。暴力的に胸を揺さぶることで頭がグラグラする「むち打ち効果」で、脳や眼底に出血を起こし、場合によっては死に至ります。決してやってはいけません。なお、こうした障害は、「高い高い」など通常のあやし方では起こりません。

 ただ、私は、AHTの予防は「揺さぶらないように」と強調するだけでは不十分だと考えています。先ほど紹介した「泣き止ませようと子どもを傷つけてしまうリスクが増えること」を示した 2004年の論文※3 は、「親が夜泣きを『泣きすぎだ』と感じた場合に、暴力を振るうリスクが2.6倍に上がること」を報告すると同時に、「夜泣きに対処する保護者へのサポートが大切だ」と述べています。揺さぶるのは発作的な行動です。揺さぶろうと思って計画的に揺さぶっている訳ではないのです。
 だから「揺さぶってはダメ」と言うだけでは不十分なのです。前述したような、イライラを子どもに向けずにすむ方法、冷静になる方法を伝えることが大切です。

※3 2004年の論文 ※外部サイトに遷移します

小児科医も夜泣きに悩む

私自身、子どもの夜泣きに悩んだ経験があります。何をしても泣き止まず、睡眠不足でイライラする日々が続きました。どうすればいいのか、途方に暮れました。私がそれまで積んできた小児科の経験は、夜泣きの原因を探り、泣き止ませることに無力でした。

 そんなとき、ふと「やることをやっても泣き止まないことはある」と知ったことがきっかけで、「泣き止ませなくては!」と思い詰めていた気持ちを切り替えることができました。ふっと心が軽くなりました。このコラムが、少しでも「夜泣き」に向き合う保護者の皆さんのお役に立つことができれば幸いです。

 なお、これらの内容をまとめた フライヤー※4を作成していますので、こちらも併せてご利用ください。(坂本昌彦 小児科医)

※4フライヤーはこちら ※外部サイトに遷移します

<その他の参考文献>

CDC. A Journalist’s Guide to Shaken Baby Syndrome ※外部サイトに遷移します

「ママドクターからの幸せカルテ」ウェンディ・スー・スワンソン著、五十嵐隆総監訳、吉田穂波監訳(西村書店・2017年)

記事提供:ヨミドクター(読売新聞社)

ヨミドクターは読売新聞社がお届けする医療、健康、介護情報の総合サイトです。

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提供元:「赤ちゃんが泣き止まない」 どうすればいい?…夜泣きへの対処法|ヨミドクター(読売新聞)

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