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2019.03.14

災害時に突然起きる「自宅の停電」への対処|停電時に住宅用蓄電池はどう機能したか


地震大国の日本。近年は台風や豪雨なども多発し、停電が多く起こっている。そんな中、住宅用蓄電池が徐々に普及してきている(写真:Chi-/PIXTA)

地震大国の日本。近年は台風や豪雨なども多発し、停電が多く起こっている。そんな中、住宅用蓄電池が徐々に普及してきている(写真:Chi-/PIXTA)

昨年は北海道胆振東部地震(以下、北海道地震)のほか、大型台風の襲来が相次ぐ大規模災害が多発した1年だった。そして、これらの災害によって大規模な停電も発生し、多くの人々が不自由な暮らしを強いられた。

そこで注目されるのが、「住宅用蓄電池(以下、蓄電池)」を備えた住宅の存在。停電の際に電力が確保できるため、不自由さがある程度解消されるとみられるからだ。では実際に、蓄電池を有していた住宅では、停電時にどのような暮らしができていたのだろうか。本稿ではその具体例とともに、蓄電池の現状やこれからの普及についてまとめた。

2018年だけでも約855万戸が停電

大地震や大型台風だけでなく、近年は豪雨や竜巻などが頻発しており、日本でこの8年間に停電したのは約2600万戸にのぼる。2018年だけでも約855万戸で発生しており、これは全住宅(約5210万戸)の1/6程度にあたる(内閣府ホームページ「防災情報のページ」)。

東日本大震災直後に実施された計画停電では信号も機能を停止した(筆者撮影)

東日本大震災直後に実施された計画停電では信号も機能を停止した(筆者撮影)

北海道地震では全道がブラックアウトする事態となった。最大震度7を記録した厚真町では停電期間が最大29日になったほか、約200km離れた北見市でも最大震度3でありながら約31時間も停電が続いた。

東日本大震災直後には、東京電力管内で計画停電が実施されたことも記憶に新しい。関東在住の筆者も体験したが、長い期間、時間ではなかったものの、とても不自由で不安な気持ちになった。実際に被災された方々にとってはなおさらつらい体験だったろうと思われる。

では、まず蓄電池とそれに関連するシステムについて確認しておきたい。東日本大震災以降に普及が始まった、比較的新しい住宅設備機器である。現在、販売されているものは蓄電容量1kWh程度の小容量のものから10kWhを超えるものまである。価格も数万円から100万円超まで幅広い。

省スペースでありながら容量の大きな蓄電池も登場している(筆者撮影)

省スペースでありながら容量の大きな蓄電池も登場している(筆者撮影)

近年は安全性の向上からリチウムイオンタイプを中心に室内設置型、壁掛け型なども普及し始めており、中には10kWhクラスの比較的大容量の充電容量でありながら、押し入れのようなスペースにも設置できるコンパクトタイプも登場している。

一般電力に加え、太陽光発電システムにより電力も充電できるものもある。後者は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)とパワーコンディショナーなどの付帯設備を必要とする。

また、住宅と電気自動車に搭載されている蓄電池の間で電力をやり取りできる「V2H(Vehicle to Home)」というシステムもある。住宅用に比べ大容量(日産「リーフ」で容量は約30kWh)の蓄電池を活用するものだ。

災害時に蓄電池はどのように稼働したのか

さて、セキスイハイム(積水化学工業住宅カンパニー)は蓄電池を1万7292棟分、V2Hを543棟分出荷(2018年9月末時点、リフォーム含む)している、住宅業界ではトップの実績を誇るハウスメーカーだ。

「V2H」システムでは住宅と電気自動車の間で電力をやり取りできる(筆者撮影)

「V2H」システムでは住宅と電気自動車の間で電力をやり取りできる(筆者撮影)

同社は2月25日に「長期停電時におけるセキスイハイムの蓄電システムの稼働状況について」を発表した。

その説明会では昨年9月に発生し大きな停電が起こった北海道地震、台風21・24号において蓄電池がどのように稼働していたかを明らかにしていたので紹介する。

【北海道地震による停電に直面したA邸】

太陽光発電5.94kWh 蓄電池5kWh
9月6日3時停電 7日22時復電
停電発生時は充電量100%。6日の日中は晴天だったことから太陽光発電による充電で100%を維持し、夜間に電力を使用したことから7日0時過ぎに充電量45%となり、同日日中に100%を回復し、その後復電した。

A邸は太陽光発電、蓄電池とも中型だが、使用する家電や設備を絞ったことから、約2日間の停電中、ある程度の電力を使えた。

【台風24号による停電に直面したB邸】

太陽光発電4.90kWh 蓄電池5kWh
9月30日23時停電 10月3日14時復電
停電発生時は充電量30%。日の出までに12%まで下がり、日中に太陽光発電からの充電で100%に回復。その後の2日間の夜間に50%程度になり復電した。

B邸もA邸同様、太陽光発電と蓄電池が中型だが、こちらは普段から多くの家電・設備を使っていたため、停電発生時に充電量が少なくなっていた事例だ。その後、電力使用を抑制することにより、充電量を確保しながら復電のときを迎えている。

【台風21号による停電に直面したC邸】

太陽光発電8.84kWh 蓄電池12kWh
9月4日13時停電 9月5日0時復電
太陽光発電、蓄電池とも比較的大型で、悪天候により太陽光発電による充電ができなかったケースだ。停電時の充電量60%からスタートし、11時間後に25%で復電している。

11時間の間に使用できたのはLED照明(13灯)、冷蔵庫、テレビ、携帯電話の充電。LDKと主寝室などで電力を使用したという。近所に住む娘夫婦が冷蔵庫の食材を持ってC邸を訪れ避難し、食材を腐らすことがなかった。

【台風21号による停電に直面したD邸】

太陽光発電10.39kWh 蓄電池30kWh
9月4日12時停電 9月5日4時復電
太陽光発電、蓄電池(V2H)とも最大級のケース。停電後、外部で電気自動車を100%充電した。太陽光発電による充電がなく、電気自動車の放電開始(9月4日15時)から13時間経過した復電時には充電量35%となっていた。

このケースでは、1階LDK(冷蔵庫、照明、テレビ、IHクッキングヒーター、炊飯器)、浴室(エコキュート、ドライヤー込み)、空調システム、寝室(エアコン)を使用し、停電中もほぼ普段どおりの生活ができた。

以上の事例から、蓄電池により電力が確保でき、停電時にありがちな不自由な生活をある程度回避できたことがわかる。ただ、その一方で蓄電池はその充電容量はもちろん、太陽光発電の発電能力や日中の天候、家電設備の使用のあり方によって、状況が大きく異なる。

蓄電池は普及するのか

ちなみに、セキスイハイムの場合は停電状態になると、太陽光発電から充電するモードに自動で切り替わる仕組みとなっている。一般的な蓄電池ではこのようなシステムにはなっていないケースが多いのでご留意いただきたい。このほか、太陽光発電を搭載している住宅も同様だが、配電盤の関係上、住宅内のすべてのコンセントから電力を取れるわけでないこともご理解いただきたい。

いずれにせよ、蓄電池の災害時における稼働実態というのはこれまでほとんど明らかにされておらず、そういった意味でセキスイハイムの調査は貴重なのでここで紹介した。

ところで、このように大規模災害での役割が期待される蓄電池だが、今後の普及についてはどうなるのだろうか。大きく3つ、普及を後押しする要因がある。1つ目は「出力抑制」だ。これは、電力会社が再生可能エネルギーの発電設備から電力系統への出力を一時的に停止あるいは抑制することを言う。

近年、太陽光発電などが急速に普及し、供給が需要を上回ることで周波数が狂い、電力の安定供給が困難になる懸念が生じている。中でも、九州電力の管轄エリアではすでに実施されており、これは今後、全国的に広がると見込まれている。

このような状況下で、蓄電池には日中の発電電力をためることで、需要と供給のバランスを保つことが期待され、そのことが普及を後押しすると考えられるのだ。

2つ目として、2012年に始まり太陽光発電などの普及を強く後押しした再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の終了(2019年11月から順次)がある。これに対して、太陽光発電のユーザーは、電力小売業者か、電力を供給する家庭と需要家の間で需給バランスを保つアグリゲーターと契約する方法があるが、そのほかに電力を自家消費する方法もある。

自家消費の場合、蓄電池を新たに設置することで光熱費を大幅に削減し経済的な暮らしにつなげられる可能性があるため、現在、蓄電池メーカーは太陽光発電ユーザーに積極的に提案活動を行っている。前述のセキスイハイムでも蓄電池をリフォーム向け商材としても積極的に訴求している。

電気自動車の蓄電池は大容量

3つ目は電気自動車の普及だ。電気自動車の蓄電池は住宅用に比べて大容量であるのに加え、住宅に必要なのはパワーコンディショナーだけとなる。電気自動車には購入時に補助金があるので、住宅と電気自動車を同時に取得するという層にはメリットがありそうだ。

とはいえ、次世代自動車には電気自動車のほか燃料電池自動車などがあり、その主役の位置付けがどうなるか、そうしたことも蓄電池の普及に影響することが考えられる。

また、中大型の容量がある蓄電池は以前に比べ低価格化しているものの、まだ導入には金額的負担が大きいのは事実。さらに、2018年度には設置を後押ししてきた補助金もなくなってしまった(ZEH<ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス>関連の補助事業の一部としては蓄電池も補助金支給対象)。

しかしながら、例えば住宅の地震対策の強化である制震システムや免震システムも万が一のための備えであり、それらと同じようなものと考えるなら、蓄電池は導入に値するのではないか。

そして今後、東南海トラフ地震や首都圏直下型地震などの大規模地震の発生、大型台風や豪雨被害の頻発化により、停電の発生リスクはさらに高まる可能性がある。バックアップ電源としての蓄電池の重要性がさらに高まることも予想される。今後、住宅取得やリフォームを検討される方は導入を検討されてみてはいかがだろうか。

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提供元:災害時に突然起きる「自宅の停電」への対処|東洋経済オンライン

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