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2018.11.09

「実家大好き45歳男」に惚れた女性の"相場観"|夫が結婚後も実家に戻って寝てしまう…?!


長年実家ぐらしだと、ついつい居着いてしまいますが…(イラスト:堀江篤史)

長年実家ぐらしだと、ついつい居着いてしまいますが…(イラスト:堀江篤史)

東京の中央線沿線にある老舗の喫茶店に来ている。小さなテーブルを挟んで筆者と向かい合っているのは、機械メーカーで働いている大林康彦さん(仮名、45歳)と病院勤務の美佐さん(仮名、46歳)。昨年結婚したばかりの晩婚さんだ。

2人ともおとなしそうな風貌だが、康彦さんのほうは目が少年のように輝いている。カピバラのようなかわいらしい雰囲気だ。そんな康彦さんを愛おしくて仕方ない様子で美佐さんが寄り添っている。

小さな懸案もある。2人は東京の西部にある2DKのアパートで新婚生活をしているが、駅から離れているのに家賃は約10万円と安くない。それぞれの勤務先は東京の東部にあるので、通勤に1時間半以上かかっている。

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実家から離れられない夫

勤務先にもっと近くて安い賃貸物件はいくらでもある。しかし、康彦さんが首を縦に振らなかった。一人暮らしの母親を心配し、実家から徒歩圏の場所に住むことを主張したのだ。40代半ばまで実家暮らしだったので、自分も地元から離れがたかったのかもしれない。

「せっかくの結婚をダメにしないように、今はそこに住んでいます。康彦くんは会社帰りに毎日のように実家に行くんです」

「そんなことはないよ」

インタビューの前に軽い口げんかを始める2人。やめてください……。晩婚夫婦はいろんな過去やしがらみを背負っているので、共同生活をしながら少しずつ折り合いをつけていくしかないのだ。いずれは美佐さんの両親も老い、康彦さんが介護に協力してくれる日が来るだろう。

気を取り直して、まずは康彦さんの話から。都内に実家がある大企業の正社員と、条件面ではモテそうだ。結婚する機会はなかったのだろうか。

「恋愛することは多少はあったけれど、結婚するきっかけにはなりませんでした。僕は自由気ままな風来坊なんです。音楽と絵が好きで、いくつかのサークルに入っています。国内各地のイベントに出向くことも少なくありません」

実家暮らしで「風来坊」はないだろう、とツッコミを入れたくなるのを抑えつつ、美佐さんとの出会いについて聞いた。3年前の秋に開かれた小さな音楽会だったという。

「美佐ちゃんの第一印象は、おとなしそうなのに積極的に話しかけてくれる人、です。連絡先も交換して食事に行く約束をしたのですが、ドタキャンされたので『じゃ、いいか』と思って連絡をしなくなりました。再会したのは去年の2月です。それからの美佐ちゃんはドタキャンをしなくなったので、よく会うようになりました」

上記は、マイペースかつ断片的に話す康彦さんのセリフを、美佐さんの助けも得ながら集約して表現している。のん気そうに見える康彦さんだが、一度のキャンセルぐらいで傷ついてしまう繊細な心の持ち主なのだ。

康彦さんへのインタビューは早々に切り上げ、待ちかねた様子の美佐さんに声をかけると勢いよく話し始めた。

"普通の男性"に選ばれない

「私は31歳から6年間も結婚相談所に入っていました。5つの相談所に払ったお金は計算したくもありません。でも、全然うまくいきませんでした。お見合いできる男性は、『1000人の女性と会ったけれど心が動かない』という人だったり、病気で体が不自由な人だったり……。しっかりした定職を持っていて、容姿も性格も普通の男性は私を選んではくれません。お見合いはいつも1回きりで終わりでした。私はしゃべりすぎるのがいけないのでしょうか。男性と対等に話しちゃうんです。康彦くんは私が言いたいことを言わせてくれるし、許してもくれています」

さきほど口げんかをしていたのを忘れたように康彦さんを誉める美佐さん。服装や持ち物に無頓着な彼にこまごまとしたアドバイスをするのが楽しいようだ。

「放っておくと身の回りのことがすごくズボラになるんだから!」

「過干渉だな、と思うこともあります。ハハハ」

美佐さんの婚活話に戻ろう。結婚相談所は退会したものの結婚自体はあきらめたくなかった。

「同じく独身の妹も含めて実家で4人暮らしをしていましたが、40歳を超えた姉妹がずっと実家にいて関係がうまくいくはずがありません。親は先にいなくなります。そのときにどうしよう?と不安でした」

美佐さんの趣味も音楽であり、サークル活動を楽しみながら結婚相手を探し続けていた。そのときに音楽会で見つけたのが康彦さんだったのだ。

「仕事帰りなのか社員証をストラップでぶら下げていて、ちゃんとした仕事に就いていることがわかりました。見た目もあり、です。この人いい!と思って話しかけてメールアドレスを教えてもらいました」

美佐さんは長年の婚活によって「相場観」が養われていたのだと筆者は思う。多種多様な独身男性とのお見合いを繰り返し、心が傷つくことも数え切れないほど経験し、「40代以上で独身の男性はどのような人が多いのか。どんな男性ならば自分は生理的に受け入れられるのか。その男性が自分を好きになってくれる可能性はどれぐらいあるのか」に関する独自データを積み重ねていたのだ。そのうえで康彦さんにアプローチをした。直感や一目惚れではない。

無事に連絡先交換に成功したが、不幸にも美佐さんはインフルエンザに罹ってしまった。康彦さんとの食事の約束も「ドタキャン」しなければならない。回復後、美佐さんのほうからメールでデートに誘ったが、「また改めて食事に行きませんか?」という文面が、康彦さんには「お誘いではなく質問」と受け取られて連絡が途絶えてしまう。共通の友人がいないこともあり、2人が再会できたのは1年半後のことだった。

「私がピアノサークルに入っているので、その演奏会に康彦くんを誘ったんです。2度も来てくれたのですが、距離はなかなか縮まりませんでした」

訪れた転機

ただし、康彦さんの内面には変化があった。音楽サークルの独身仲間(60歳)が結婚をすることになり、12歳年下の婚約者を紹介してくれたのだ。自分だけ置いて行かれてしまう気持ちになったと康彦さんは率直に告白する。

康彦さんのように実家暮らしの場合、寂しさを感じることは結婚へと向かうチャンスだと思う。そして、康彦さんはいい意味で非常識な男性だった。美佐さんとのほぼ初デートで、「僕のお母さんに会ってみない?」と誘ったのだ。婚約どころか告白すらしていない状態で何を考えていたのだろうか。

「母の習い事のお披露目会があったので、女友だちの一人として紹介しようかな、と思ったんです」

意味がわからない。美佐さんは戸惑いながらもついて行った。そして、康彦さんの母親が「あなたはいつになったら結婚するのよ!」と息子を叱りつけているのを見て安心したと振り返る。この母親ならば息子の結婚に反対しないだろう。

翌月にはデート中に手をつなぐことに成功。さらに次の月には康彦さんの友だちによって強力に背中を押してもらう出来事があった。

「一緒に参加した音楽サークルの2次会で、私たちのことが話題になりました。結婚しないのかと聞かれて、康彦くんが『まだ親に言っていないから』と言葉を濁したら、『親は関係ないだろう。お前はどうしたいんだよ。男だろ!』と叱ってくれたんです。引っ越しや結婚式の段取りまで、その場で進めてくれました」

酒席での悪ノリである。しかし、そこまでしなければ康彦さんは前に進まないことも周囲はわかっていたのだろう。

無事に結婚をした今、美佐さんは「命を救われた」とやや大げさな表現で喜びを表現する。

「10年以上も婚活をしていて、何をしてもダメで、心に闇ができていました。自分はダメなんだという思いが心にしみ込んでいたんです。本当に苦しかった。そんな婚活からようやく逃れられたことが何よりも嬉しいです。どんなに努力をしてもダメなこともあります。私にとっては結婚相談所でのお見合いはダメでした。でも、婚活は止めなかったことが良かったのだと思います。知らない人と会うことからしかご縁は始まりませんから」

待ち望んだ結婚生活

ようやく自分の家庭を持てた美佐さん。もう5年早く結婚できていたら子どもが望めたかもしれないと後悔をしながらも、康彦さんをかわいがる生活に幸せを感じている。

一方の康彦さんは「環境変化に1年間は慣れませんでした」とあくまでも正直な感想を述べる。

「実家とは違って自分の部屋がありません。共同生活に疲れて、会社帰りに実家に寄って横になり、そのまま朝まで寝ちゃったこともあります。美佐ちゃんにすごく怒られました……」

そんな康彦さんも今では結婚生活に馴染み、土日は美佐さんと一緒にテレビを観たりしてゴロゴロしながら過ごしている。音楽会や旅行を2人で楽しむことも増えた。

マイペースな康彦さんとおしゃべりな美佐さん。似ているのは趣味ぐらいで、性格も特技も異なる。だからこそ、補完し合いながらお互いの老親も大事にできるのではないだろうか。時間をかけて、少しずつ、2人はいい夫婦になっていく気がする。

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「実家の手助けはタダ」というキケンな誤解

40代でやっと悟った親との楽な「付き合い方」

「実家から逃げるための結婚」の意外なその後

提供元:「実家大好き45歳男」に惚れた女性の"相場観"|東洋経済オンライン

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