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2018.10.15

「大卒熟年専業主婦」の上手な離婚の仕方|お金も知識も生かして新たな人生の一歩を


大卒熟年離婚の条件とは? お金も知識もそこそこあるのなら「3つのポイント」を押さえてくことが必要だ(写真:hanack/PIXTA)

大卒熟年離婚の条件とは? お金も知識もそこそこあるのなら「3つのポイント」を押さえてくことが必要だ(写真:hanack/PIXTA)

気持ちの離れた相手とストレスを抱えながら生きるよりも、いっそのこと別れたほうが幸せなこともあります。

実際、離婚件数を見てみると、約21万7000件(厚生労働省「人口動態統計」2016年)で、同年に結婚したカップル数と単純に比較すると、その3分の1にあたるほどの多さです。このように、今や離婚は珍しくありませんが、仮に婚姻20年以上経過後の離婚を熟年離婚とすると、約21万7000件のうち17%を占めています。

「熟年離婚」の条件は、とにかく「お金があること」だが…

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しかし、現実問題として考えなければならないのは「お金」のことです。逆にいえば「お金の問題さえクリアすれば、人生はいくらでもやり直すことが可能でしょう……」と、ここまではよく言われることですが、熟年離婚をする場合にはさらに考えなくてはいけないことがあります。どんなことでしょうか。実は先日、ファイナンシャルプランナーである私のところに離婚にまつわるお金の相談が2件、ほぼ同時期にあったので、それらをもとに早速考えてみましょう。

ご相談者の1人は、藤原須美江さん(50歳・パート)。大学生の子供が2人います。もう1人は、大竹聡夏さん(49歳・専業主婦)で、大学生と高校生の子供がいます。藤原さんも大竹さんも、夫はそれぞれ病院経営、会社経営をしていてかなりの資産家です。多額の財産分与が見込めて、よほど間違わなければ将来を心配することはありません。そう、両者とも「お金」があるケース、つまり、「離婚問題の第1段階」はクリアしたご相談です。逆にいえば、子供への影響や経済的な問題をクリアしたことで、熟年離婚が実現したということでしょう。

では、何が問題になったのでしょうか。3つポイントがあります。まず1つ目のポイントは、住宅にまつわる問題です。

離婚に伴って持ち家を売ることになった場合、通常、住宅ローンは一括返済する必要があります。頭金が少なく、多額の借り入れをしている場合は、ローン残高を売却価格が下回り、足が出てしまうこともありますので、「借入金額は慎重に」が原則です。もし完済できない場合は「離婚をしても相手と同じ場所に住み続ける」などといった苦痛を伴う現実も想定しなくてはいけません。

では、前出の藤原さん、大竹さんのケースを見てみましょう。2人はともに数年前から夫とは別居しているものの、首都圏の豪邸に住んでいます。高級住宅街の一軒家で、最寄駅から車で10~15分程の場所にあります。2人とも「セレブ妻」としての暮らしなら問題はありませんが、もし仕事をすることにして通勤するとなると、少々不便な場所です。

藤原さんは離婚後もそこに住み続け、住宅ローンの残金は夫が払い続けることになりました。一方、大竹さんは家をもらうか、現金をもらうかを選択することになっています。

「家」か「現金」か、なら「現金」を選ぶ

ここで考えたいポイントですが、大竹さんのように「家か現金か」という選択肢が提示されたら、ほとんどの場合「現金」をお勧めします。実は大竹さんは、愛着のあるわが家を希望していました。確かに「家があればなんとかなる」と思う人は多いでしょう。でも、以下のような4つの点を考えてみてください。

まず1番目は、一定以上の広さになると、いずれ子供が成人して家を出ていった場合、1人で住むには広すぎます。寂しさが身にしみるでしょうし、メンテナンスや維持費にもお金がかかり続けることになります。

2番目は、歳をとって車の運転ができなくなったとき、不便を感じて駅近のもっとコンパクトな住まいに住み替えたくなることを想定します。その時は賃貸に出すには、家賃が高額にならざるをえない物件は難しいということです。

3番目は、仮に30年後、歳をとって1人で暮らしていけなくなり、施設に入居するとなった場合、すんなり売却できるかどうかという問題です。

そして4番目。もし家を持ち続けたとしても、子供たちが相続する場合、家の分割は難しいし、代償分割(一部の相続人に財産を与え、他の相続人に金銭を支払う)、換価分割(家を売却し金銭で分割する)、共有分割(相続人で持ち分を定めて分配する)のいずれも、デメリットやリスクがあり、それをクリアしなければなりません。

住み慣れたわが家を出ることになると、もちろん大変ですが、専業主婦の大竹さんは傷ついた心を奮い立たせ、「先々のことまで考えると、やはり自由に使える現金を手に入れたほうがいい」という結論を出しました。

一方のパートで離婚相手が病院経営だった藤原さんは家を贈与され、広い家での1人暮らしを選択しました。大学生である2人の子供さんは、すでに家を出ていってしまっているので、将来的には家を売って駅近のマンションを購入したいと考えていますが、すぐマンションを購入すると、その家が終の住処になるかどうかはわかりません。確かに今後の物件価格の下落も考えられますし、2度も家を売るのは大変です。「まだ車の運転ができる間は、今の暮らしを続けるほうがいい」と結論づけました。

「おひとりさま人生」を考える

次に考えたい2つ目のポイントは、人生への取り組み方の問題です。バリバリ仕事をしていれば別ですが、そうでなければ、離婚は今後の「おひとりさま人生」を考える転機となります。

実は、藤原さんは数年前に夫婦仲が悪くなり始めた頃から「いつかこういう日が来るかもしれない」と準備を始めていたそうです。若い時のフランス留学経験を生かし、フランス語の翻訳の仕事に携わりたいと、勉強も兼ねて翻訳の会社にパートに行っていました。そして離婚後は、晴れてフルタイムで働くことに。彼女にとって、離婚は「第2の人生の幕開け」となったわけです。準備をしてきたからこその展開でしょう。

一方、大竹さんはというと、これといってやりたいことも、できそうなこともないと意気消沈しています。これまではセレブ妻を絵に描いた生活でした。高級スポーツクラブにエステ、お友達とのぜいたくランチなどで日々を過ごし、ある意味、お金を使うことが日常生活だったそうです。

しかしたとえ、お金の心配がすごくあるわけではないとしても、人生に寂しさも感じ始めたと言います。今はまだ子供さんも同居していて、母親としてやることもありますが、いつかはその役目も終わってしまいます。少しずつでも、社会の中で活躍できる何かを見つけていきたいと、遅ればせながら、自分探しの旅が始まったというわけです。

お2人とも、もう十分に若くはないけれど、残りの人生の再スタートを切れるくらいには若いわけですから、頑張らなくてはいけません。これまで主婦として頑張ってきたことは経験として財産ですし、幸いにも管理さえ間違わなければ、安心して暮らせるだけのお金もあります。最初からフルで頑張らなくても、一歩を踏み出すことが大切でしょう。

最後は、お金に戻ります。2人ともお金はあるわけですが、問題はその管理の仕方です。これが3つ目のポイントです。

実は2人とも、お金にはほぼ無頓着で、「毎月夫から生活費として振り込まれるお金をあまり自覚せずに使ってきた」と言います。残った分は貯蓄してはきましたが、そんな調子ですので、税金や社会保険料だけでなく「マネーリテラシー」(お金についての知識)に不安があります。離婚ということになり、今後どのようにお金を管理していくか大きな問題です。

お金の勉強をして高コスト金融商品を買うリスクを遮断

実は、大竹さんには早くも「魔の手」が伸びていました。「今後、お金が足りるか不安だ」となにげなく話した大竹さんに、行きつけの美容室のオーナーが「2人のお金のプロ」を紹介してくれたというのです。1人は普通のFPで、その人からは外貨建て一時払い保険を勧められました。もう1人はIFA(Independent Financial Advisor)という投資アドバイザーで、「ラップ口座」を勧められていました。

商品内容を見ると、両方とも高コストで、運用目的としてふさわしいお金の置き場所ではありません。つまり「売り手にとって販売手数料の大きなうまみのある商品」です。このように、お金の匂いを嗅ぎつけて金融商品を売ろうとする人は、残念ながら後を絶ちません。

この連載でもご紹介している「老後設計の基本公式」で計算すると、大竹さんは今後100歳まで生きたとしても、よほどぜいたくをしなければお金に困ることもないことがわかりました。このように計算してみると、いたずらに不安を持つ必要がないことがわかるケースは多いので、まず計算してみることをお勧めします。

大切なのは、今後長くお金をもたせていくためには「毎月いくらまで使えるか」を知り、そしてもしインフレになった場合に購買力を減らさないために適切な運用をしていくことです。

お金の置き場所は、税制優遇が大きいiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)口座を優先的に、課税口座の順に使います。勧められたような外貨建て一時払い保険やラップ口座でなくとも、もっと低コストで同等程度の運用成果を得ることはできますので「長期で」「分散して」「低コストの商品で」運用をすることの重要性と方法をお伝えしました。契約前でつくづくよかったと思います。

セレブ妻でもそうでなくとも、働いていても働いていなくても、離婚してもしなくても、自分で自分の家計や資産を管理できるだけのマネーリテラシーは必要です。さまざまな家計を見ていると、夫婦のどちらか一方がお金を管理して、生活費なりお小遣いなりを相手に渡しているという家計も少なくはありません。

また連載でも取り上げましたが、収入や貯蓄額を知らない「共働き『ブラックボックス家計』が危険な理由」は要注意です。ぜひそのあり方を見直しましょう。家計をガラス張りにして、必要貯蓄率を求め、効率よく運用しながら、税金や必要経費など支出を適切に管理していきましょう。離婚という人生の一大事で見えてきた3つのポイントですが、パートナーが先立った後、おひとりさまになった時も同じです。

「共働き『ブラックボックス家計』が危険な理由」 ※外部サイトに遷移します

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提供元:「大卒熟年専業主婦」の上手な離婚の仕方|東洋経済オンライン

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