メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2018.09.25

70歳まで働きたくない人の「地道な貯金法」|65歳定年制到来、スパッと仕事をやめるには?


定年が65歳、70歳と延長されたら同じ会社で働きますか?スパッと辞めるための上手な貯金法とは?(写真:Kazpon / PIXTA)

定年が65歳、70歳と延長されたら同じ会社で働きますか?スパッと辞めるための上手な貯金法とは?(写真:Kazpon / PIXTA)

いよいよ民間企業での「65歳定年制」が本格的に推進されそうです。人事院は今年8月、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げるよう、国会と内閣に申し入れました。同時に政府は「本人が希望すれば70歳まで働けるようにしたい」という方向性も示しており、政府でも民間企業でも、高齢者の雇用はどんどん拡大していきそうです。

まじめに働いてきたけど「65歳まで」は「本当は嫌」

しかし「企業の現場はどうか?」というと、国の旗振りとはどうも様子が異なるのです。筆者は、ファイナンシャルプランナー(FP)として企業のライフプランセミナーの講師を務めたり、個人相談を受けたりしていますが、実際は「長く働くこと」に戸惑いを隠せない人も多いのです。

相談に来られた、ある大手企業に勤務する独身男性のAさん(53歳)もそんな一人です。結婚歴はなく、今後も予定はないそうです。落ち着いた話しぶりから人柄があふれ、まじめな仕事ぶりも伝わってきます。父親が亡くなり一人になった母親を心配して、5年前から実家暮らしです。

Aさんの質問はズバリ「いったい何歳まで働かなければならないのかを知りたい」ということでした。職場でのトラブルなどもなく仕事をしてきたそうですが、「実はあまり仕事が好きではない」とのことで、「できるだけ早く会社員生活を切り上げたい」というのが本音。しかし、いまや会社では「65歳まで働くことが当たり前のようになっており、あと10年以上も働かなければならないのか」と思うと、気持ちが沈んでしまうと言います。

そこで、「なんとなく将来に希望が持てない」Aさんと一緒に、まずは60歳以降のキャッシュフローを確認することから始めました。まずは持参いただいた「ねんきん定期便」から老齢年金を確認します。次に、退職金の目安と企業年金の額についてお尋ねしました。筆者はAさんの会社でライフプランセミナーを担当しているので、会社の企業年金の状況は把握しています。また研修の時に、受講生一人ひとりが人事から資料を受け取り、自分の企業年金を試算するというワークもしているので、Aさんにはそれも持参してもらったのです。

人事の説明では十分理解できなかったというAさんに、改めて企業年金の説明をしながら、企業年金の受給スケジュールをエクセルに入力していきました。Aさんの会社には、「終身年金」「5年または10年の確定年金」「一時金」「確定拠出年金」があります。

企業年金と公的年金の基本情報をエクセル表に入力した後、受給開始年齢をずらしたらどうなるのか、税金は概算どの程度になるのかを踏まえ、いくつかのプランを作っていきます。

65歳以降のキャッシュフローはどうなる?

大学卒業後から働いているAさんが60歳まで働くとすれば、勤続38年です。退職金を受け取る際に使える退職所得控除は2060万円。会社から通知された「退職金の見込み額」は、退職所得控除を下回るので、確定拠出年金を60歳で一括解約して退職金として合算し、退職所得控除枠を有効に使うプランも入れてみました。

この場合、企業年金の1つである確定年金は「65歳からの5年間で受給するパターン」と「10年間で受給するパターン」で比較します。企業年金も公的年金控除の対象となるので、税金面を考えると企業年金は65歳からの5年確定年金とし、公的年金は70歳まで繰り下げとした方が有利に受け取れそうということもわかりました。この連載でもお伝えしているように、公的年金は70歳まで繰り下げると、年金額が1.42倍になりますから、かなりゆとりができます。

一方、預金額は「恥ずかしながら……」ということでしたが800万円。これを加え、金融資産の全体像が把握できる形にしてからもう一度、65歳以降のキャッシュフローを見ていただきました。

Aさんに「基本的な生活費は、いくらくらいか把握していますか?」と伺うと、「よくわからない」との返答です。「手取り給与はあまり意識せず使っており、外食ばかりで多分結構使っていると思います」とのあいまいな返事です。そこで、過去のカード決済の額、銀行の口座から引き落とされている水道光熱費や通信費の額、現金の引き出し額の流れを見て、その「平均値」を「1カ月に使っているお金の目安」としました。「リタイアすれば現役時代より交際費などは少なくなる」という前提に立って、そこから少し減額しました。

こうやって計算してみると、なんとか65歳以降については、企業年金(65歳から)と公的年金(70歳から)で生活は賄えそうというメドが立ちました。しかし60歳からの5年間で退職金を一部取り崩していくにしても、生活費を賄うには足りません。同居のお母さんの「今後の介護」に備えたり、「Aさん自身の長生きリスク」を考えると、できれば退職金は手を付けずに取っておきたいところです。

そこで、今度は足元での家計を見てみます。Aさんは実家暮らしですから家賃の負担はありません。しかし、母親を受取人として生命保険に加入していました。亡くなったお父さんは自営業だったそうで、お母さんには夫の遺族厚生年金はありません。自分の年金だけで暮らしています。

一方でお母さんは「Aさんが万が一先に亡くなったら、生活が厳しいのではないか」と心配、生命保険に加入したそうです。しかしAさんが万が一先に亡くなると、同居のお母さんにはAさんの遺族厚生年金が支給されます。実は、生命保険は必要なさそうです。

さらにAさんご自身の病気に対する不安もあるとのことです。なので、Aさんはいくつか医療保険にも加入していました。しかし会社の組合健保には付加給付があり、実際の医療費の自己負担は1カ月当たり2万5000円が上限であることや傷病手当金のご説明をし、最小限のものに見直すことにしました。

さらに、今まで意識せずに飲み食いに使っていたお金も見直しました。すると「少し節約に気をつける」だけで「2万円は浮きそう」というので、それらはすべてネット銀行の定期預金を利用して貯蓄に回すことにしました。

会社の確定拠出年金は、100%定期預金で運用していたので、今後の掛け金から投資信託に振り向けることにしました。マッチング拠出枠があるので、そこも最大限活用します。Aさんの会社では60歳になると確定拠出年金の加入資格を失うのですが、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金拠出が65歳まで引き上げられるという案も出ているので、様子を見ながら考えることにしました。

ここで「何歳まで働かなければならないのか?」の本題に戻ります。働きたくない理由があるのかとAさんに改めて聞いてみました。するとAさんは「ずっと同じ会社で働いており、自分に特別なスキルがあると思えないし、能力にも自信がない。今は一応役職もあるが、定年以降嘱託という形で職場に残ると給与は減るし仕事が変わるし、うまく立ち回れるだろうかと思うと気が進まない」と言います。

自分自身で会社員生活の卒業時期を決める

それでも、60歳からの5年間については、給与とこれからの貯蓄で十分生活ができること、65歳以降は企業年金と公的年金でやりくりできそうなことがわかって、最後にこう言いました。「実は専門職というのがあって、そこだと今の職場より自分に合っているし、ストレスを感じずに定年以降も働けそうな気がします。『65歳まで働けばよい』というゴールが見えたので、自分に合った職場でしっかり頑張ろうと思えるようになりました」。

60歳定年が世の中の都合で強制的に65歳、70歳と引き上げられ、なんだかやる気が起きないと思っていたAさんですが、自分自身で会社員生活の卒業時期を決めることができ、すっきりしたようです。特別なスキルや能力がないというのは謙遜で、ぜひこれまでの自分に自信を持ってこれからの自分に勇気を持って人生を楽しんでいただきたいと思いました。

Aさんのように「いつまで働けばいいのか」とため息をついている方も少なくありません。まずは退職金、企業年金、公的年金の情報を持ち寄り、60歳以降のキャッシュフローを整理してみることから始めてみてはいかがでしょう? ご自身で働き方を決めることができると、仕事へのモチベーションも変わります。今回の記事が少しでも皆さんのこれからの暮らしにお役に立てれば幸いです。

記事画像

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

アラフィフ世代は「55歳の崖」を知らなすぎる

定年後に稼げない人と稼げる人の決定的な差

毎年マジで貯めないとヤバイ金額はいくらか

提供元:70歳まで働きたくない人の「地道な貯金法」|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

時短勤務にすると、給与はどう変わる?

時短勤務にすると、給与はどう変わる?

年金が2000万円足りないって本当? 定年後は「夫婦でアルバイト」のリアル

年金が2000万円足りないって本当? 定年後は「夫婦でアルバイト」のリアル

効果抜群!たった3つの実践でエアコンの電気代をぐんと下げる節約術

効果抜群!たった3つの実践でエアコンの電気代をぐんと下げる節約術

見逃した人は要チェック!お金・ライフプラン人気記事TOP5

見逃した人は要チェック!お金・ライフプラン人気記事TOP5

戻る