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2018.09.13

分散投資の「分散」の意味を知っていますか|投資で儲けたいと思ったらまずは「基礎固め」


分散投資の「分散」とはどんなことを意味するのだろうか? 料理をイメージするとわかりやすいかもしれない(写真:kou/PIXTA)

分散投資の「分散」とはどんなことを意味するのだろうか? 料理をイメージするとわかりやすいかもしれない(写真:kou/PIXTA)

金融庁が「貯蓄から資産形成へ」の掛け声とともに、NISA(少額投資非課税制度)を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。ファイナンシャルプランナーとしてお客様のライフプラン相談や講演活動をしている筆者自身、日本人の投資マインドは確実に変化していると感じるこの頃です。

もちろんこれはNISAだけではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)の効用もとても大きいものがあります。こちらの管轄は厚生労働省。金融庁と「異例の連携プレー」で、今まで資産形成に関心がなかった人、あるいは投資はギャンブルだと思い込んでいる人にメッセージを発し、「長期・積立・分散投資」という「3つの正しい資産形成の姿」を植え付けているようです。

「分散投資」とはたくさん商品を買うことではない

しかし、筆者には「言葉の一人歩き」が気になっています。3つのうち「長期」や「積み立て」は比較的わかりやすいとして、実は問題なのが「分散投資」の意味です。分散投資は、投資リスクを低減させるために用いられる手法です。具体的には分散には「時間」と「投資先」の2つを指しますが、時間の分散については「積み立て」という言葉で事実上代替しているので、今回は「投資先の分散」について詳しく見ていきましょう。

では投資先の分散とは何を意味するのでしょうか。投資する「商品」をたくさん持って「分散」させればよいということではありません。

あるお客様は、金融機関に勧められるまま購入した投資信託が10本以上になってしまい、「どうしたらよいのかわからない」と言ってご相談に来ました。その後、いろいろな書籍を読みセミナーにも参加していると、「どうも自分がやっている投資は分散投資とは言えないようだ」と心配になったのです。

確かに、投資信託の内訳を見ると、日本の株式に投資をするものが数本、さらに「円だけを持っていては分散になりません」と言われ、複数の国の通貨に投資をするファンドもお持ちでした。本数こそ10本に分かれているものの、これでは分散投資の意味を成しません。

投資方法に絶対的な正解はないかもしれませんが、これから資産形成を考える人にとって、やはり「投資信託」は良い選択です。もちろん投資信託の投資先は必ず明確化されていなければなりません。投資信託(ファンド)の運用責任者にとっては所信表明のようなものであり、たとえば「私(たち)のファンドは、日本の株式市場に上場していて、社会に貢献しつつ成長が期待できる会社に投資をします」といったものです。ファンドによっては、北米の株や、新興国の国債に投資をするものなど、本当にさまざまです。

「どこのマーケットに投資をする投資信託なのか」に着目し、カテゴリー分けをして、リスク低減効果が見込める複数のファンドを組み合わせるのが「分散投資」です。この時のカテゴリーは、日本の株式と債券、先進国の株式と債券の4つを「基本の4資産」と呼びます。ここに新興国の株式と債券が加わり「6資産」と言ったり、日本や先進国の不動産を加えて「8資産」と言ったりすることもあります。

金融庁は、日本の株式と債券、先進国の株式と債券、新興国の株式と債券へ6分の1ずつ分散し、20年間投資を継続したら年平均リターンが4%だったという実績としての証拠(エビデンス)を示しています。したがって、これに倣った(あくまでも過去の実績ですが)分散投資をしたければ、6つの投資カテゴリーを意識して投資信託を選べばよいのです。

「シーソーの関係」にある投資先を組み合わせる

では、投資信託それぞれの投資カテゴリーはどうやって判断すればよいのでしょうか? もちろん金融機関の担当に聞くのもひとつですし、目論見書といういささか不親切な資料や、ちょっと良いことばかりにフォーカスしがちな販売資料(パンフレット)にも書いてありますので、それぞれで確認ができます。あるいは、モーニングスター社など、独自で投資信託の比較分析を掲載するサイトを見るなどしてもよいでしょう。

ここで予備知識として持っておいてほしいのが、「分散にふさわしい投資カテゴリーとはなにか」ということです。たとえば株と債券という言葉は対になって表現されることが多いのですが、これはその2つの特性がシーソーのような関係にあるからなのです。つまり、株へ投資をすることは、「出世払いでいいから頑張れ!」とその会社に資金を提供することに近いです。成長にはアップダウンが伴い、利益は変動的です。一方、債券に投資をすることは、「お金を貸すから、ちゃんと利息もつけて返してね」と約束することです。決まった金利と元本償還が原則です。

前者を「変動金利」、後者を「固定金利」とたとえて考えるとわかりやすいです。たとえば住宅ローンを借りようとする場合、今後金利が上昇傾向にあると変動金利は敬遠して固定金利に注目します。一方金利下降の局面であれば固定金利より変動金利に人気が集まります。これは「借りる」場合なので、「投資」の場合は逆になります。いずれにしても一方が上がれば、一方が下がるというシーソーのイメージは湧くのではないでしょうか? シーソー関係にある投資先を組み合わせる、これが「分散投資」のテクニックです。

投資先を日本と海外へ「分散」させることもやはりシーソー関係にあります。為替をイメージするとわかりやすいですが、一方の通貨が高いと一方の通貨は安い、その逆もしかり。先進国の経済が好調だと資金が集まり、新興国経済に期待感が高まると資金は先進国から新興国に流れる、これもやはりシーソーです。

「なるほど、分散とは投資信託を複数持つということではなく、投資先を分けることだな!」とご理解いただけるかと思いますが、6000本以上もある投資信託をカテゴリーで分けて上手に組み合わせるのもなかなか至難の業です。

お弁当箱「バランスファンド」の中身をどう構成するか

そこで登場するのが、シーソー関係にある投資先を専門家が組み合わせてくれている「バランスファンド」です。投資する側からみると、これ1本で分散投資が可能となるのでとても便利です。

しかしここにも注意すべき点があります。投資先を組み合わせる割合です。バランスファンドはいわば投資の「お弁当箱」です。たとえば「育ち盛りの高校生」なら生姜焼きや唐揚げなど肉多めのお弁当もよいでしょうが、メタボが気になる中年はやはり野菜中心が好ましい食事です。それと同じで、つまり投資の目的によってお弁当の中身は調整しなければならないのです。

バランスファンドには、安定型、成長型という表現のものがあります。安定型はお弁当でいうと野菜中心、つまり債券に多めに配分された投資信託です。反対に成長型は、肉多め、株式によりウエートを置いた配分になります。当然ながら、前者と後者を比較するとリスクとリターンは後者のほうがともに高くなります。

最近は8資産均等、6資産均等といったバランスファンドも目立ちます。金融庁が示した6資産に不動産を加えた8つのカテゴリーに12.5%ずつ投資をするのが8資産均等のバランスファンドです。

「マイインデックス」というサイトで過去20年間のそれぞれの資産の経済指数に分散投資をした場合の運用データを調べてみました。すると平均リターンは6.1%、リスクは12.7%、シャープレシオは0.48です。一方6資産均等の平均リターンは5.2%、リスクは12.2%、シャープレシオは0.43と、8資産均等のほうが運用効率はよかったということがわかりました。シャープレシオとは、投資信託の運用成績を測る指標の1つで、数字が大きいほうが高評価ですから、バランスファンドを選ぶ際の参考になるでしょう。

つみたてNISAで選ばれた数少ないアクティブファンドで世界中の株式に投資をする「セゾン資産形成の達人ファンド」は、いわば「100%肉弁当」で、おかずの種類も多く世界の市場の力関係に応じて配分をしているバランスファンドです。こちらの過去10年の実際の運用成績は、平均リターンが10.39%、リスクは17.99%、シャープレシオは0.58です。同社の別のファンドで「バンガード・グローバルバランスファンド」という肉と野菜を半々につめたお弁当は、リターンが4.43%、リスクが12.95%、シャープレシオは0.34でした。

このように「長期・積み立て・分散投資」は印象に残るキーワードですが、3番目の分散投資という言葉をそのまま鵜呑みにせず、もう少し丁寧に理解を深める必要があります。また分散投資を手軽に実現するバランスファンドも、中身を精査せずになんとなく名前で判断してはいけません。今回の記事が、少しでも皆さんの資産形成の参考になれば幸いです。

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【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

「投資信託はこの3本が良い」と言える理由

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貯金したいならやってはいけない3つのこと

提供元:分散投資の「分散」の意味を知っていますか|東洋経済オンライン

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