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2018.07.09

年の差婚夫婦が直面するマネー「3つの難問」|「アラフォー」「アラフィフ」の老後は大丈夫?


年の差婚夫婦や晩婚夫婦にはマネーの3つの難問が待ちかまえている場合が少なくない(写真:【Tig.】Tokyo image groups / PIXTA)

年の差婚夫婦や晩婚夫婦にはマネーの3つの難問が待ちかまえている場合が少なくない(写真:【Tig.】Tokyo image groups / PIXTA)

今回のマネー相談は、人生の3大支出である「教育費」「住居費」「老後資金」を本気で作らなければならなくなった53歳の会社員・大坪誠也さん(仮名)のケースです。大坪さんは15歳下の妻と再婚して夫婦で子どもを授かったのですが、「年下婚」「再婚」と関係なく実は「3大支出が同時進行」という家庭は少なくはありません。晩婚傾向の今、「子どもの教育費負担が終わってから退職までの7~8年で老後資金を作ればなんとかなる」という家庭は極めて少なくなっています。

50代で「最後の猛烈貯蓄」ができるか

内閣府の「平成29(2017)年版少子化社会対策白書」によりますと、2015年の出生時の母親の平均年齢は、第1子が30.7歳、第2子が32.5歳、第3子が33.5歳。30年前(1985年)は第1子が26.7歳、第2子が29.1歳、第3子が31.4歳でした。今の50代の人は、「教育費負担が終わってこれから本格的に老後資金を貯める」が可能な人も多いでしょう。
しかし、晩婚化、出産年齢の上昇が進む中で「子どもが成人したらすぐ定年」あるいは「定年後も教育費負担、住宅ローンが続く」という、「最後の踏ん張り」の時間がない人は少なくありません。

ご相談者の大坪さんも頭を抱えています。妻の依子さん(38歳・仮名)は、結婚後は派遣社員として仕事をしていたのですが、現在は休んでいます。3年間も不妊治療をした末に授かった待望のお子さんなので、2人ともとても喜んでいるのですが、実は、不妊治療にかなりの費用がかかりました。助成金で賄えない部分は貯蓄を切り崩して支払ったため、600万円あった貯金も、300万円と半減してしまいました。

誠也さんが今の条件で働けるのもあと7年。継続雇用で65歳まで働くつもりですが、収入は大きく下がります。産まれたばかりの子どもの教育費と現在支払い中の住宅ローン、そして老後資金をどう作っていけばいいのでしょうか。

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大坪:7年間でおカネがいちばん増える方法を教えてください。

岩城:7年でも1年でも20年でも、方法は原則として同じです。一般的に株式に投資をするのが平均的にはリターンが高いです。でも7年後に確実に増えるとは言えません。マーケット次第です。大坪さん、お気持ちはわかりますが、落ち着きましょう。今の状況では、間違った商品をすぐ買ってしまいそうです。

一見好条件の豪ドル建て終身保険でおカネを増やせる?

大坪:実は、相談に行ったほかのFPの方にある商品を勧められて、買おうかと考えています。

そう言って大坪さんが差し出したのは「一時払いの豪ドル建て終身保険」でした。今、非常に熱心に売られているものです。1豪ドル=85円で計算されていますので、保険会社に払いこむおカネ(一時払い保険料)は円換算で約300万円です。豪ドルで運用され、20年目に解約すると解約返戻金は豪ドルで支払われます。その返戻率は155%(豪ドルが同じレートなら465万円)にもなるというものです。円建てよりも利率が高いので、保険期間中の死亡保険金額も高くなり、約750万円と示されています。

大坪:「円建てのものの半分くらいの安い保険料で、死亡保障が持てるのでお得」だと言われました。ちょうど子どもが大学に行く頃に満期になるので、それまで増やして、学費に当てればいいと勧められたのです。

岩城:保険料は、予定利率に基づいて計算されます。確かに今は円建ての貯蓄性商品は、予定利率が低いため保険料が高いですね。

しかし、外貨建ての保険は、死亡保険金額も受け取る保険金額も外貨で確定されたものです。この設計書は1豪ドル=85円で計算されています。あくまで為替が変わらないという前提での解約率155%です。しかし、将来、為替がどうなるかはわかりませんよね。為替の変動で受け取り時の円換算額が契約時を下回る可能性もありますよ。

そして、問題がもう1つ。現在の貯蓄額は300万円ということですが、それを全部つぎ込んでしまうことです。今後、まとまったおカネが必要になったときにどうしますか? おカネの大きな特性の1つに「いつでも何にでも自由に使える」ということがあります。「保険」におカネを置いておくと、急に必要になったとき、解約すれば解約控除がかかります。自分の保険から借り入れができる「契約者貸付」という制度もありますが、もちろん利息は取られます。外貨建ての場合、円に換算する手数料もかかります。資産の一部ならまだしも、全財産を流動性が極めて低いところに置くのはいかがなものでしょうか。

大坪:確かに、すぐに使えるおカネがないというのは不安です。

岩城:そうですよね。少なくとも半年分の生活費くらいの備えがあったほうが気持ち的にも安心ですね。そして、おカネを増やすのに、「特別に良い方法」というのはありません。まず、どのくらいリスクが取れるのかを考えて、適切な場所で効率的に運用していくことです。まずは、具体的な数字で、今後どのくらいの貯蓄をすべきかを「見える化」してみましょう。

では「人生設計の基本公式」を使って、大坪ご夫妻のマネー戦略を考えてみましょう。人生設計の基本公式とは、ひとことでいえば「老後いくらで生活をしたいか」を考えて、それを実現するためには「今後手取り年収の何割を貯めるべきか(=必要貯蓄率)を計算するもの」です。年齢などは弾力的に設定できますし、いわゆるフルタイムワークなど第一線を引いてからも収入がある場合などにも対応しています。誰でも3分で計算できますので、詳しくは過去の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をご覧ください。初めての読者の方は、このままケーススタディを眺めつつ、読み進めてください。

「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」 ※外部サイトに遷移します

大坪家は手取り年収の何割を貯める必要があるのか?

大坪誠也さん(53歳)依子さん(38歳)夫婦の家計

子ども1人(0歳)

家計の今後の平均手取り年収(Y)600万円

(今の手取り年収は700万円ほどですが、現在の手取り年収ではなく、残りの現役時代の年数も考え、これからもらえそうな年収を考えて記入します。大坪さんは、55歳時に2割給料が下がりますので今後の平均手取り年収は600万円とします。60歳定年後は65歳まで働きますが、手取り年収は220万円ほどに下がる予定ですので、合計1100万円は現在貯蓄額に算入します。)

老後生活比率(x)0.9倍

(60歳以降、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します。大坪さんの場合、住宅ローンもありますし、子どもさんが成人するまで支出は大きくは減りませんので90%とします。)

年金額(P)270万円

(ねんきん定期便などから計算・夫婦の合計額の見込み額)
現在資産額(A) 1800万円(今保有している貯金額は300万円ですが、教育費を600万円と想定してマイナスに。一時退職金1000万円をプラスし700万円。60歳~65歳までの継続雇用の手取り年収220万円×5年間=1100万円をプラスし1800万円にします。)

現役年数(a)7年

(65歳までは12年ですが、60歳以降、収入が減ってから貯蓄をするのは大変ですので、現役年数は60歳までの7年として計算します。)

老後年数(b)

47年(60歳以降95歳までで35年間ですが、妻が年下のため長めに、47年とします。)

早速計算してみましょう。

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大坪さんの「必要貯蓄率」は、36.82%です(前述のようにローンが減らないので、現役時代の9割の生活水準を維持する前提)。この貯蓄率を守っていけば、老後生活費は毎月約28万4000円です。もし「退職時に住宅ローンの残債を返す」ことを考えているのなら(現在貯蓄額が減るということになります)、貯蓄率をさらに上げる必要があります。そのためにも、大坪家のマネー戦略としては、以下の3つを実行していきましょう。

「3つのマネー戦略」で50代以降を乗り切る

1. 運用をスタートする

これから60歳まで貯蓄を積み上げていくことになりますが、預貯金が300万円あるので、今後は預貯金ではなく株式を積み立てていくといいでしょう。まず、税制優遇の大きいiDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてNISA(少額投資非課税制度)を利用して、低コストの国際分散型の株式投資信託で運用しましょう。 退職金をもらったらその資金の全部または一部をそのときの金利の状況によっては公社債投信に、あるいは、個人向け国債変動10年型にするといいでしょう。

2. 掛け捨ての安い生命保険に加入する

子どもが成人するまでは死亡保障を持っておきましょう。ネット生保の定期保険なら保険料が安くていいでしょう。一例ですが、アクサダイレクト生命保険は今年4月の標準生命表の改定を受け、保険料を値下げしています。大坪さんの年齢ですと、保険期間10年、保険金額1000万円で、これまでより2割くらい保険料が下がり、年間6万円ほどの負担で保障を持てます。

3. 妻もなるべく早くできれば正社員として働く

奥さんの依子さんは不妊治療を優先したので派遣社員として働いていましたが、ぜひ正社員を目指してください。そのとき「家計収入が増えた」と考えないで、生活水準は今の状況をキープします。そうすれば貯蓄額も増えていきますし、また厚生年金に加入することで将来受け取れる年金も増えます。どのくらい年金が増えるかは、以下の式でおおまかに計算できます。

厚生年金額の簡易計算式(平均年収約800万円未満の場合)

生涯の平均年収×0.005481×働いた期間=年金受給額
たとえば平均年収300万円(平均標準報酬額25万円)で20年間働くと、年金受給額は約33万円増えます。これが一生続きます。

いかがでしょうか。今後、ライフプランの変更や学費の支払いなどで貯蓄額が増減するときは、それを式に反映して「必要貯蓄率」を見直しましょう。ぜひ効率的に貯蓄をしていってください。でも最も大切なのは、健康を維持して子どもの成長を見守ることだと思いますので、どうぞ二人とも力を合わせて頑張ってください。

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共働き「ブラックボックス家計」が危険な理由

あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか

49歳「アラフィフ残業貴族」を襲った年収減

提供元:年の差婚夫婦が直面するマネー「3つの難問」|東洋経済オンライン

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