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2018.01.11

がん検診最初の一歩~がん検診の基礎がわかるコラム集~


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年間30万人以上が罹患し、3人に1人の死因と言われている「がん」。
もはや国民病とも言われるほど罹患する方が増えていますが、一方で診断と治療の進歩・改善により、今までよりも早期発見・早期治療の道が大きく開かれるようになりました。

しかし、健康意識が高いKenCoM読者にとっても「がん検診」はハードルの高い存在。国立がん研究センターが発表したデータを見ても、受診対象者の50%に届いていないのが現実です。
今回はがん検診を行う意義や、実際にかかる際の頻度・手順などを国立がん研究センター中央病院 検診センター長の松田尚久先生に伺い、7つのコラム形式で紹介します。

どういったタイミングや、どういった場所で受けるべきなのか、その効果は高いのか低いのか、みなさんの疑問にお答えします。

松田尚久(まつだ・たかひさ)先生

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国立がん研究センター 中央病院 検診センター長

【プロフィール】1994年、山形大学医学部卒。1998年国立がん研究センター 中央病院入局。2016年より同センター長に就任。大腸がんをはじめ、多くのがんを発見してきたがん検診のスペシャリスト。日本消化器内視鏡学会 指導医、日本消化器病学会 指導医、日本消化管学会 胃腸科認定医、指導医、日本内科学会 認定医。

がん検診にまつわる疑問、お答えします。

がん検診への疑問1

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同じ「けんしん」と略されるだけに、少々混乱してしまいがちな、健康診断と、検診。その違いは「特定の病気を調べるかどうか」になります。

KenCoM読者が毎年受けている健康診断。これは特定の病気を発見するというよりも、健康状態の確認や疾患を引き起こす危険因子の有無を見るためのものになります。
言い換えれば、睡眠や食事、運動など、普段の健康習慣を見直すことを目的に行われるものです。

それに対し、検査の検の文字を使う『検診』は、特定疾患の早期発見と早期治療による予防効果を目的として、有効性が確立された検査方法で実施されるものです。
特定の病気に特化することで、細部まで調べられたり、判断しづらい部分を明確にしたりできます。

「中でもがんの早期発見、早期治療に特化したのが『がん検診』です。その目的は、日本国民のがんの死亡率を減少させること。そのために発見率の高さや、国民全員にあまねく受けてもらえるように費用対効果なども考えた、様々な検診法が導入されています」(松田先生)

また、がん診療(診断)とがん検診も異なります。もっとも大きな違いは、検診の場合、まだ症状がない人、健康な人を対象に、がんの可能性をふるいわけるのが目的ということです。
診断の場合は、症状が出ている人に対し、そのがんがどこのがんであるかを正しく判断することが目的となります。少しでも症状を感じているなら、検診ではなく専門医の診断を受けましょう。

がん検診への疑問2

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『がん予防』は1次から3次までの3段階に分かれています。
1次予防は、いわゆる『予防疫学』です。どんなものを食べたらがんになりやすいか、など普段の生活で気をつけることができる内容になります。
2次予防の段階が『がん検診』。早期発見・早期治療が目標になります。
3次は治療後に行う『再発防止』の内容になってきます。
この中でも、大事になってくるのが2次予防の『がん検診』です。

「自分の力で対策できる、1次予防も大事ですが、実際にがんができているか、進行しているかなどは調べられません。その役割を担うのが、2次予防のがん検診なのです。しかも、がんは早期に発見して治療すれば、その多くが完治すると言われるまでに医療が進んでおり、そこまで恐れる病気ではなくなってきています」(松田先生)

自分でケアするだけでなく、専門医からの検査を受けることで、さらに安心感を増やすことができるわけです。

がん検診への疑問3

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一口にがん検診といっても、実は『対策型がん検診』と『任意型がん検診』の2つに別れています。そのうち絶対に受けておきたいのが対策型がん検診です。
対策型とは、国が検診を推奨している5つのがん、「胃がん」、「大腸がん」、「肺がん」、「乳がん」、「子宮頸がん」をそれぞれ個別に検査するもの。
これらの検診は国や地方自治体からお金が出るため、自己負担額が少なく済みます。子宮頸がんの診断を除いて、40歳から始めるのが一般的です。

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「対策型がん検診は市区町村が行う住民検診になります。対象者には封書が届き、その中に、どこの施設で、なんの検診を受けるかが書かれています。それに従うだけなので、手軽ですし、価格も500円程度からと非常に安価です。これを受けておくだけでも、出来たばかりのがんを見逃すリスクをかなり下げることができます。封筒をそのまま捨ててしまう人もいるそうですが、とてももったいない話。手間もそこまでかかりませんから、ぜひ時間を作って受診しましょう」(松田先生)

ちなみに、もう1つの任意型がん検診は医療機関が任意で提供する医療サービスであり、個人の疾病リスクを減らすことが目的になる、いわゆる人間ドックのこと。
自治体の補助がつかないので、値段的には10万円以上と高額になりますが、先進的な検査を受けることで、さらにリスクを下げることが期待できます。

がん検診への疑問4

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がんに罹患する割合は50代から年々高くなっていく傾向があります。大腸がんならその予兆として、40代からポリープができるなどの症状が現れてくることも。
対策型がん検診が40歳から受けられるので、その年から受け始めるのが得策です。

若い女性がかかりやすい子宮頚がんの検診は20歳から受けることができます。こちらは20代から受け始めるのがいいでしょう。

他にも、家族や親戚にがんを発症した方がいる場合、できるだけ早めに検診を受けることが肝心です。まだ対策型がん検診の適応年齢に至っていなくても、多少お金がかかっても任意型がん検診を受けるといいでしょう。
「まだデータがまとまっていませんが、当センターで大腸がんの内視鏡検査をした場合では、検診で発見できたがんの半分は早期がんでした。一方、諸症状を感じてから行った検査の場合、8割近くが進行がんと診断されています。早期がんなら治りも早く、予後も良好なケースが多い。健康面を考えると、任意型がん検診を受けるのもいいでしょう」(松田先生)

がん検診への疑問5

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意外と多い反応がこちら。「がん検診を受けてがんが見つかったらどうしよう……」なんて不安を感じていたりしませんか。健康的に生きて行くことを考えたら、むしろがん検診は積極的に受けたい検診の1つです。
松田先生曰く、がん検診を受けない人で多い反応は3つだそう。
① 自分だけは大丈夫(他の軽い病気だと自己判断してしまう)
② 忙しいので行けない
③ 怖いから行かない
こんな理由からがんを見逃し、長い時間付き合うことになるケースもあるそうです。
特に進行がんが見つかった場合、治療の難しさは、初期に見つかったものに比べて格段にアップするそう。しかも発見からの5年相対生存率(※)も確実に低下してしまいます。

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また、受けた後の対応も肝心。アラートが立っているのに対策をしないと大変なことになります。

「大腸がんで言えば、対策型がん検診の便潜血検査を受けてくれるのは全体のわずか20%だけです。さらにその検査で陽性(危険性あり)となるのは7%程度いるのですが、その先の内視鏡検査まで受けてくれるのは7割前後にとどまっています。怖いからとか、自分は痔なのでそのせいだ、など自己判断せずに早く病院にくれば、それだけ早く治すことができます。恐れずにぜひ来てください」(松田先生)

※がんと診断された場合に、治療で5年後に何%生存しているかを示す指標。一般的にがんは5年間生存した場合、治癒したと考える。

がん検診への疑問6

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1度受けて見つからなかったから、しばらくは受けなくて平気、なんて思っていませんか。検診の精度が上がっているとは言え、1回の検査で完璧に見つけるのはやはり難しいもの。特にがんがまだ小さい状態だと、確認できないことも多いのです。
また、受けていない間に新たにがんを罹患する可能性もあります。だからこそ、毎年受け続けることが大事。

毎年受けることで自分のデータが貯まって行くことも重要です。
同じ検診機関で毎年受けておけば、ちょっとした数値や、体調の変化にも気づけるようになり、がんの発見率が大幅に変わります。

頻度に関しては、そこまで高めなくてもいいそう。むしろ1年に何回も同じ検査を受けると身体の方に負担が増えてしまいます。
世界的に見ても1年に1回、乳がんなどの婦人科系がんの場合は進行が遅いこともあるので2年に1回の診療がスタンダードとなっています。
特に医師からの指示がない場合は、基本的に1年に1回は対策型がん検診を受診することが肝心。

「さらに5年に1度は先端検診が受けられる任意型がん検診を検討してみるのもいいことです。大腸がんや胃がんでの内視鏡検査は、通常の対策型がん検診よりも約10倍近くの発見率です」(松田先生)

がん検診への疑問7

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対策型がん検診と比べ、任意型がん検診は費用がかさむものの、早期がんの発見には非常に役に立つ検診です。
前述の通り、大腸がんならば内視鏡検査を行うことで、がん化する前のポリープを発見・除去できたりするなど、健康を気にする人なら一度は受けておきたい内容になっています。
しかし、病院ごとに設定できるだけに、どんな項目に注目したらいいのかはわかりにくいもの。
松田先生によると、特に気にしたいのが下記の項目だそうです。

胃がん:胃内視鏡検査
大腸がん:大腸内視鏡検査
肺がん:ヘリカルCTスキャン検査
乳がん:エコー検査
子宮頸がん:経膣エコー検査

「金額面での比較も大事ですが、この検査が入っているかにも注目することで、よりレベルの高いがん検診を受けられるようになります」(松田先生)

対象年齢になったら、がん検診を受けよう!

自分には縁遠いものと思いがちながん検診を、少しは身近に感じることはできましたか?

日本は対策型がん検診を安価に受けられるのに、受診率が低いまま推移している珍しい国です。
これをせめて半分である50%まで伸ばすべく、松田先生をはじめ、多くの医療関係者・自治体が広報に力を入れています。

がんは進行する病気です。また、転移するとなかなか治りにくい病気でもあります。健康的に人生を送るためにも、がん検診を上手に活用していきましょう。

(取材・文・撮影 KenCoM編集部)

取材協力

国立がん研究センター ※外部サイトに遷移します

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス 地域がん登録によるがん生存率データ ※外部サイトに遷移します

国立がん研究センター がん情報サービス がん検診受診率 ※外部サイトに遷移します

提供元:がん検診最初の一歩〜がん検診の基礎がわかるコラム集〜│KenCoM

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