2017.12.20
家族構成の変化にあわせて考えたいこと。「万が一」への備え方
社会人になりたての20代は、将来のことをじっくり見極める時期。
その後、30代、40代と年齢を重ねていくうちに、結婚して家族を支える立場になることもあるでしょう。家族が増え、ライフステージが進むと、子どもの教育費、住宅購入などのために、将来の資金計画(マネープラン)を立てることが大切になります。
そして、自分に万が一のことがあったとき、残された家族の生活はどうなるのかについても考える必要があります。
そこで今回は、死亡保険を選ぶときのポイントをまとめました。
子どもが生まれたら死亡保険が必要
シングルのときや結婚しても子どもがいないとき、死亡保障はそこまで多く必要ありません。
しかし子どもが生まれたら、その子が独立するまでのお金をきちんと準備しておくことが大切です。
もしも自分が死んでしまったら、遺された家族が必要なお金にはどのようなものがあるでしょうか。
生活費や住居費、子どもの教育費などがあげられます。子どもがまだ小さければ、ベビーシッター代なども必要になるかもしれません。
家計を支える人に万一のことがあった場合に、残された家族は遺族年金制度によって受け取れるお金があります。
会社員・公務員で平均報酬月額が30万円・妻と子どもが1人の場合、受け取れる月額は、約12.3万円(※1)
自営業で、妻と子どもが1人は、月収額にかかわらず一律で、約8.3万円(※1)となります。
遺族年金の制度で受け取れるお金で、日常の生活費ならまかなえるかもしれません。
ですが、子どもの教育費・車のローンなど、長い人生の間にはいろいろな出費があり、総合的な費用を考えると、大きな金額が不足してしまうこともあるのです。
不足してしまうお金は、保険でカバーする必要があります。
遺族年金や貯蓄額、妻の収入などを考慮して、子どもが独立するまでの費用はきちんと備えておくようにしましょう。
※1 遺族基礎年金は子どもの人数により金額が異なります。(日本年金機構)
遺族厚生年金は、死亡した人の給与(平均標準報酬月額)、死亡した者によって生計を維持されていた、人によって金額が異なります。(日本年金機構)
死亡保障の必要額ってどのくらい?
死亡保険の保険金は多ければ良いというわけではなく、必要額はその人の立場ごとに適正な額があります。
夫婦の職業、住居の状況、子どもの人数で必要額は変わりますが、残された家族が困る度合いに合わせて決めるのが基本です。
実際にどのくらい保障額が必要かをパターン別で紹介します。
独身で養う家族がいない
300万~500万円
葬儀・お墓関連費用他、自動車のローンやクレジットカードの支払など死後整理資金も必要となります。
結婚して共働き
子どもなし:300万~500万円
独身の場合と基本は同じですが、両親など養う家族がいるという人は、残された家族のために適宜備えが必要になります。
出産後:夫・妻とも2,000万~3,000万円
子どもなしの共働きの目安に加えて、子どもの教育費の備えが必要です。
教育費の目安は、1人あたり約1,000万円です。(幼稚園~大学 ※全て国公立)
住宅購入後:夫・妻とも3,000万~4,000万円
夫と妻2人で住宅ローンを組んでいる人は、どちらかに万一のことがあっても、一部は団体信用生命保険で相殺されず、住宅ローンの支払は続きます。
その場合の費用も踏まえて保障を考えるようにしましょう。
結婚していて妻が専業主婦
子どもなし:1,000万円程度
葬儀・お墓関連費用、死後整理資金に加えて、当面の生活を立て直す費用もある程度は必要となります。
出産後:夫は4,000万~5,000万円(夫が自営・自由業の場合は1,000万~2,000万円プラス)、妻は1,000万円程度
子どもなしの場合の備えに加え、子どもの教育費への備えが必要です。
自営・自由業の人は、遺族厚生年金が受け取れないので、その分金額をプラスします。
専業主婦の妻に万一のことがあると、ベビーシッター代や家事代行などの費用がかかることもあります。
ある程度の保障は準備しておきましょう。
住宅購入後:夫は4,000万~5,000万円(夫が自営・自由業の場合は1,000万~2,000万円プラス)、妻は1,000万円程度
夫名義で住宅ローンを組んでいて、万一のことがあっても、団体信用生命保険でローンは相殺されますので、住宅購入後でも、保障額を大きくする必要はありません。
大切なのはコスパがいい保険を選ぶこと!
お金のことが心配だからといって、高額な保険にはいって今の家計を圧迫するのは本末転倒です。
自分の家計の状況やライフプランに合わせて適切な保険を探しましょう
死亡保険には保障される期間や貯蓄性の違いで、大きく3つに分類されます。
終身保険
保障期間:一生涯
貯蓄性:あり(解約返戻金部分)
保険金が必ずもらえるので無駄がなく一見魅力的ですが、その分保険料はかなり割高になっています。
貯蓄性があり、ある一定期間を過ぎれば払込保険料以上の解約返戻金が受け取れます。
定期保険
保障期間:設定年齢で終了
貯蓄性:なし(掛け捨て)
掛け捨てなので保険期間中に万が一のことがなければ払い込んだお金は戻ってきませんが、保険料は割安となっています。
満期後も自動更新できるので、更新しながら必要な期間だけ保障を確保するということも可能です。
収入保障保険
保障期間:設定年齢で終了
貯蓄性:なし(掛け捨て)
保険金をまとめて受け取るのではなく、万が一のことがあったときにそれ以後一定期間にわたって定期的に保険金を受け取ることができます。
必要な期間に毎月定期収入のようにもらえるので、使いやすく人気があります。
満期に近づくほど保険金を受け取れる期間が短くなるので、保障額が少なくなっていくという形となっており、適切に万が一に備えられるコスパの良い保険であると言えます。
万が一のときに備える死亡保険。
必要な金額やどの形の保険を選ぶべきかはその人によって違います。
大事な家族のためにもしっかり備えておきたいですね。
これを機に死亡保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール:酒井富士子(さかいふじこ)
経済ジャーナリスト。(株)回遊舎代表取締役。 日経ホーム出版社(現日経BP社)入社後、「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。その後リクルートに入社。「あるじゃん」「赤すぐ」(赤ちゃんのためにすぐ使う本)副編集長を経て、2003年から経済ジャーナリストとして金融を中心に活動。近著に「60代の得する『働き方』ガイド」(近代セールス社)などがある。